おや……? 盾の勇者の様子が……?   作:やがみ0821

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微グロあり。


ガチャにおけるデスティニー・ドローとわんこの購入とその躾

 

「面白いことになってるわねー」

 

 メリエルはのほほんと奴隷商に告げた。

 奴隷商の方は引きつった笑みをしながら、曖昧な返事をする。

 彼には誰がビラを作って撒いたか、言われなくても分かってしまったが為に。

 

「メルロマルク、下手をすれば滅びますよ?」

「滅びたら私が君臨してあげるわよ。今の連中より、税率は下げるわよ?」

「……それは嬉しいんですが……」

 

 滅ぼすことに対して、色々と思ったりはしないんですかね、と奴隷商は尋ねたかったが、この調子だと蟻の巣を1つ潰しただけでしょ、というような答えが返ってきそうで怖かった。

 

「ちなみに、本気を出せば1ヶ月以内にメルロマルク対周辺国全部みたいな戦争を引き起こせると思う」

「我々の商売もつらくなるんで、勘弁してください」

 

 奴隷商は本気で頭を下げた。

 メリエルはけらけら笑う。

 

「で、メリエル様は今回はどのような?」

「モンスター狩りの休憩に。何か良いのない?」

 

 奴隷商からすれば最上級の客だ。

 だが、下手な対応をすれば物理的に首が飛ぶ。

 

 もう彼女に対してぼったくることは絶対にやめよう、と彼は心に誓った。

 

「ちなみにですが、どのようなものを?」

「女で、忠誠心とかそういうのがいい感じに根付くようなのが欲しい」

 

 また随分と難しい注文だと思いつつ、奴隷商は思い当たる輩がおり、両手を叩いた。

 

「一応、いるにはいます。ウルフ種の少女ですが……」

「ですが?」

「廃棄品ですよ。1年前に大きな犠牲を払って捕獲したらしいのですが、ウルフ種というのは見た目の美しさ、戦闘能力の高さから貴重で……」

「つまり?」

「1年で死にかけです。強気な女を屈服させるのが大好きというご趣味の方々が購入したので」

「現在の状態は?」

 

 興味を持ったらしいメリエルだが、奴隷商は流石に気が引けた。

 

「相当にアレな状態ですよ?」

「構わないわ」

「私は警告しましたからね」

 

 予防線を張って、奴隷商は案内をすることにした。

 

 

 メリエルが案内されたのは檻が立ち並んだあの区画よりも更に奥。

 腐敗臭と死臭の混ざりあった独特な嫌悪感のある臭いが立ち込めており、照明も数える程にしかない。

 そこで奴隷商が従業員に指示し、そのウルフ種の少女を引きずってきた。

 常人ならば目を背け、そして吐き気を覚えるような状態だった。

 

「ご覧の有様です。正直、これを買うなら、その金で安酒でも呑んだ方がマシですよ」

 

 奴隷商はそう告げたが、メリエルは真剣な顔で女を見つめる。

 

「正確な状態は?」

 

 問いに奴隷商は肩を竦める。

 物好きなもんだ、と。

 ともあれ、求められたからには彼は説明を開始する。

 

「片目は抉り取られ、もう一方は潰されています。顔全体に火傷の痕、歯は危険であった為に捕らえられたときに全て抜かれているそうです。自殺防止用に猿ぐつわを噛ませていますが、もう口を動かす力はないでしょう」

「それで?」

「四肢は二の腕、膝から下を切り落とし。ボロ布で覆われていますが、乳房も片方は切り取られ、もう片方も腫れ上がっています。特徴的な耳もどちらも半分くらい切り取られています」

「髪も無造作に引き抜かれた感じね。他は?」

「全身に鞭打ちの痕、性器は勿論、排泄器官は完全に壊されている為、排泄物は垂れ流しです」

 

 道理で臭いがするわけだ、とメリエルは納得する。

 

「経歴は? 部族とかそういうの」

「正確な部族は分かりませんが、もう生き残りは彼女しかいません」

「理由は?」

「どうにか捕獲できたのが彼女だけで、他は殺すしかなかったそうなので。族長の娘らしいですよ。歳は10代半ばだとか」

 

 なるほど、とメリエルは頷く。

 

「ウルフ種を勧めてきた理由は?」

「長と認められれば、己の命を掛けて尽くしてくれますよ。非常に難しいですけど」

「あなたの知る限り、人間を長としたケースは?」

「ありませんね。ウルフ種の方に殺されるか、もしくは主が耐えられずにウルフ種を殺すなり壊すなりしますので」

「買った。いくら?」

 

 メリエルの言葉に奴隷商は数秒の間をおいて、告げる。

 

「廃棄品ですので、割引しまして、銀貨500枚でどうでしょうか?」

「適正な値段?」

「私の商売人生に賭けて適正です」

 

 メリエルはじーっと奴隷商を見つめて、納得したのか頷いた。

 

「銀のインゴットでいい?」

「……できれば通貨の方がいいのですけど、まあ、手数料ということでそれで」

「商談成立ね」

 

 メリエルは銀のインゴットを一つ作り出して、奴隷商へと渡した。

 

「……どうやって連れて行きます?」

「背負っていくわ」

 

 そう言って、メリエルは汚れるのも構わずに少女を背中に背負った。

 臭いがキツイが、メリエルは顔を顰めることもない。

 

 その胆力に大したものだ、流石勇者と奴隷商は妙なところで感心してしまう。

 そこでメリエルは思い出したように、盾を取り出してウルフ種の少女の血液やらを吸わせ、奴隷商に尋ねる。

 

「ちょっとそこらに落ちている色んな奴隷の血液とか毛とかもらっても?」

「あ、一応、勇者らしいことはされているんですね」

「強化する術があるなら、実行する。当たり前じゃない」

 

 奴隷商としても、別に断る理由もない。

 上客へのサービスだ。

 とはいえ、ただ伝説の武器を強化するというだけで、勇者らしいと形容されてしまうくらいにはメリエルは魔王っぽいが奴隷商はおくびにも出さない。

 

 メリエルがそこらに落ちている毛や血液などを盾に吸わせ終えた後、奴隷商は尋ねる。

 

「ついでに我々の表の商売も見ていきますか? 魔物商なんですよ」

「ええ、見ていくわ」

「それと魔物の卵くじというのがあるんですが……」

「ガチャ! ガチャね!? 回す! ガチャ回す!」

「あっはい、分かりました」

 

 急にテンションが高くなったメリエルに不思議な人だなぁ、と奴隷商は思いつつ、そちらへと案内した。

 

 

 

「当たりは?」

「騎竜ですね。飛行タイプなので、人気ですよ」

「確率は?」

「250分の1です。あ、全部買うとかそういうのは勘弁してください。こちらも商売なので」

 

 メリエルは舌打ちをこれみよがしにしてみせる。

 その反応に奴隷商は考えていたんだな、と冷や汗が流れる。

 

 メリエルの財力がどの程度なのか、男は全く分からなかった。

 

「他には?」

「フィロリアルとかですかね。あれも便利ですよ」

 

 どういう手段であなたが移動をしているのか知りませんが、という言葉が出そうになったが、何とか奴隷商は飲み込んだ。

 気になるところだが、余計な詮索は命に関わりそうだった。

 

「じゃあ2つね。これまで数多の外れに嘆いたのは今、ここで幸運を発揮する為!」

 

 前にくじで大負けした時があったのだろうか、と奴隷商は思いつつ、何を選ぶかじっと見守る。

 

「これが私のデスティニー・ドロー!」

 

 うおおお、と無駄に声を上げて、メリエルは右側にある1個と中央にある1個を選び取った。

 奴隷商もそれが何の卵かまでは流石に把握していない。

 当たりは入れてあるが、どれがそうかまでは帳簿で確認しなければ彼も分からなかった。

 

「では、その卵に記されている印に血を落としてください」

 

 とにもかくにも利益が出たのはいいことだ、と奴隷商は手続きを進めた。

 

 

 

 

 

 

 

「というわけで買ってきた」

「えぇ……」

 

 ラフタリアは困惑した。

 ふらっと出かけたと思ったら、死にかけでかつ、悲惨な状態の亜人と孵化器に入った卵を2個持ってきたのだ。

 

 どうしてそうなったんだ、という疑問しかない。

 

「奴隷商のところに?」

「暇だったので。あ、勿論、変装して色んなものを買い集めてきた」

 

 変身系のアイテムを使えば姿形を変えることなど容易い。

 老若男女、様々な者に変身してメリエルは食料や飲料、薬草類、武器や防具に魔法の書物などなど、大量に購入していた。

 ラフタリアからすれば武器や防具類はメリエルが持っている神話に出てきそうなもので十分だと思うのだが、どうもそういうわけにもいかないらしい。

 ただ単にメリエルがコレクター気質で、異世界の武器や防具というだけで買い集めているなどとはラフタリアには想像もつかなかった。

 

「で、どうするんですか?」

「治す。でもって、部下にする」

「ウルフ種って誇り高い種族と聞いたことがありますけど……大丈夫ですか?」

「何とかなるから平気」

 

 本当に大丈夫かなぁ、とラフタリアは思ったが、メリエルなので大丈夫だろうという妙な安心感が湧いてきた。

 

「私に使ったようにエリクサーですか?」

「いいえ、今回は巻き戻し薬ね。名前の通りに時間を巻き戻して、状態を回復させる薬。エリクサーよりも貴重だけど、私は捨てる程に持っている」

 

 さりげなくすごいだろ、というアピールをしてくるが、ラフタリアは慣れたもの。

 最初こそ驚いていたものの、1週間もすれば感覚が麻痺して、適当に流せるようになってしまったのだ。

 

「あ、そうですか。じゃあ、私はモンスター狩りをしてくるので」

 

 つれない反応にメリエルはブー垂れた。

 

 

 

 

 メリエルが薬を使ってウルフ種の少女を治すと、すぐさま喉に噛みつかれた。

 思いっきり力を込め、噛み千切ろうとする少女。

 しかし、全く噛み千切れなかった。

 

 喉に食いつくことはできた。

 だが、どれだけ力を込めて引っ張ろうとも、皮膚がちょっと伸びる程度であり、痛みを与えることすらできない。

 

「じゃれついちゃってまぁ……」

 

 よしよし、と少女の頭を優しく撫でるメリエル。

 少女の銀色の髪はさらさらで、手触りが良くメリエルからすれば心地が良い。

 

 対する少女はメリエルに対して全力で殴ったり蹴ったりするが、先程と同じだ。

 メリエルに当たることは当たるが、そこらの人間ならばミンチになってもおかしくはないのに、当たっただけでメリエルには何の害もない。

 メリエルからすればそうする度に少女の胸が揺れるので眼福だ。

 10代半ばと聞いていたが、少女の容姿はかなり良い部類だった。

 

 とはいえこれでは会話もできない、とメリエルは判断する。

 

 「仕方がないわね、少し付き合ってあげるから」

 

 メリエルはその場にどっこいしょ、と座り込んだ。

 少女はその頭に噛み付いた。

 

 

 

「……えっと、メリエル様。何をされているのですか?」

 

 ラフタリアは困惑した。

 モンスター狩りから戻ってきたら、少女がメリエルの頭に噛み付いていたからだ。

 メリエルの顔や体、地面には少女の唾液と思われるものが大量に付着している。

 

「遊んで欲しいみたいなので」

「はぁ……そうですか……」

 

 誇り高いウルフ種って聞いていたが、意外とそうでもないのかな、とラフタリアはそんなことを考えてしまう。

 頭を噛みつかれて何のダメージもないという点に関してはメリエルだから、という理由でラフタリアには納得できた。

 

「ご飯はどうします?」

「先に食べちゃって。この子が満足するまで付き合ってあげるのも大人の責務」

 

 というわけでラフタリアは先にご飯を済ませることにした。

 

 

 

 その会話から3時間程して、ようやく少女はメリエルから離れた。

 

 

「お前は何者だ!」

「盾の勇者だ」

 

 メリエルは証拠として無限倉庫から引っ張り出して、盾を提示してみせた。

 すると、少女は納得したのか、頭を下げた。

 

「盾の勇者様だとは知らずに、ご無礼を……」

「シルトヴェルトの人?」

「いいえ。しかし、伝説についてはよく……」

「ふーん……で、もう遊ばないの?」

 

 メリエルの問いに少女は項垂れた。

 殺す気であったのに、と。

 むしろ、そうだからこそ、只者ではないと少女が理解する原因にもなった。

 

 盾の勇者は防御力に優れていると伝説にあったからだ。

 

「ま、こっちとしてはそこらはどうでもいい。やりたいことは、私をあなたに長と認めさせたいわけよ」

 

 メリエルはそこで言葉を切り、にこりと笑った。

 

「だから、あなたの復讐、叶えてあげる」

「……え?」

 

 少女は呆気にとられた。

 

「実行犯とあなたを買った、私以外の連中ってことでいいかしら?」

 

 問いに少女は軽く頷くとメリエルはうんうんと何度も頷いた。

 

「じゃ、強制転移させるから。うまくぶっ殺しなさいよ? 一族全ての怒りと悲しみと憎しみとその他諸々を込めて」

 

 盾の勇者ってすごい――

 

 ウルフ種の少女は非常に誤った認識を持ってしまった。

 そして、メリエルは流れ星の指輪をつけて、ウィッシュ・アポン・ア・スターを発動した――

 

 

 

 

 

「強いなー」

 

 すっかりメリエルとラフタリアは観客と化していた。

 実行犯である合計30人くらいの屈強そうな戦士達や魔法使い達、そして少女を買ったメリエル以外の買い主達。

 全員、人間だった。

 幸いにも奴隷商は召喚されていなかったので、彼は仕入れて売るというだけの役割だったのだろう。

 

 強制召喚させられた彼らは訳も分からないまま、一方的に少女により嬲り殺しにされていた。

 メリエルにより結界が張られている為、獲物は逃げることは叶わない。

 だからこそ、獲物達には死あるのみだ。

 

「凄いですねー」

 

 ラフタリアも凄惨な光景にも関わらず、のほほんとしていた。

 少女が味わった絶望と憎しみと悲しみを思えばこそ、止めるようなことはしない。

 

「そういえばウルフ種って人間を食べるの?」

「食べませんよ。肉食ですが、人間や亜人、獣人とかは食べません」

「そうなんだー」

 

 のんびりと会話を繰り広げていると、敵の腸を少女がぶちまけていた。

 

「……本当に食べないの?」

「……ちょっと自信がないです」

 

 その様子に問いかけるメリエル、ラフタリアも困った顔だ。

 そんな感じでおよそ1時間程で全ての獲物は少女により狩られた。

 

 全身が返り血で真っ赤に染まった少女にメリエルは無限の水差しとタオルを差し出した。

 

「体、清めて頂戴。そしたら、ご飯を食べましょう」

 

 メリエルの言葉に少女は小さく頷いた。

 

 

 そして、身を清めて綺麗になったところで、少女はお腹を見せるような形で寝そべった。

 

「勇者様、あなたに全てを捧げます」

 

 ラフタリアは物凄い目でメリエルを見つめた。

 何をさせているんだ、と。

 メリエルは私は何もやっていないと首を左右に振る。

 

 すると、そこで少女が助け舟を出した。

 

「ウルフにとって、この格好は抵抗や反抗の意思が完全にないことを意味します。あなたに私の命を捧げましょう」

「あっ、服従のポーズ……」

 

 言われて、メリエルは心当たりがあった。

 彼女は飼ったことがなかったが、飼い犬が主人に対してお腹を見せることがあるらしい。

 それをするのは犬が主人と認めた場合のみだとか。

 

「そういうことだったんですね」

 

 ラフタリアの誤解が解けたところで、メリエルは両腕を組んで、にやりと笑みを浮かべた。

 

「ええ、あなたの忠誠を受けましょう。私はメリエル。あなたは?」

「私はヴィオラです」

「そう、ヴィオラ。じゃあ、歓迎の意を示して……」

 

 メリエルは無限倉庫からユグドラシル産の極上霜降り肉(1ポンド)を取り出した。

 ヴィオラの視線がその肉に釘付けとなった。

 

「待て!」

 

 すぐさま、ヴィオラは服従のポーズから一転して、正座した。

 銀色の長い尻尾がこれでもかと振られている。

 

「待て、待て、待て……」

 

 どんどん前のめりになっているヴィオラ。

 しかし、メリエルは躾が大事だとどっかで聞きかじった知識から、待てと告げる。

 そして20秒くらい経ったところで、メリエルは遂に許可を出す。

 

「よし!」

 

 ヴィオラに向けて肉を放り投げた。

 瞬時に彼女はジャンプして放り投げられた肉をキャッチ。

 そのまま満面の笑みで肉を咀嚼する。

 

 あまりにも幸せそうな顔にメリエルとラフタリアは和んだ。

 

「美味しい!」

 

 よく味わって飲み込んだヴィオラの目はきらきら輝いている。

 

「私のものになった以上、あなたは毎日三食とおやつで美味いものを食べる権利があるわ。遠慮せず、食え」

 

 ヴィオラは幸せのあまりに身を震わせた。

 ラフタリアは自分も同じだった為、ヴィオラの気持ちが分かるとばかりに何度も頷いていた。

 

 

 

 

「ラフタリア、メリエル様って……何?」

「盾の勇者兼大魔王ってところですね」

 

 食事も済んで、ヴィオラのレベリングをしようということでメリエル達は適当な狩場に赴いた。

 基本的にメリエル達がいる未開の場所はモンスター達による生存競争が激しい為、例えばメルロマルクの城下町周辺とは比べ物にならない程に強いモンスター達しかいない。

 ヴィオラであっても1匹1匹が手こずりそうなモンスター達であったが、メリエルはそんなモンスター達をワンパンチで虫の息にしてしまう。

 

 ヴィオラとラフタリアはそんな瀕死のモンスター達にトドメを刺して、ラクラク経験値をゲットという寸法だった。

 しかもここにメリエルの盾とユグドラシルのアイテム、装備による経験値ブースト。

 ぐんぐんとヴィオラのレベルが上がる。

 

「盾の勇者ってよりも大魔王の方が強そうじゃない? 名前的に」

「それは、そうですけど……」

 

 メリエル本人の言葉にもヴィオラは何となく納得がいかない。

 彼女からすれば自分の体を治してもらい、更には復讐を手伝ってもらった、恩人なのである。

 まさに勇者だった。

 

「ヴィオラさん、振る舞いを見ていれば勇者よりも大魔王って分かりますよ」

「そーゆーもんなの?」

「そーゆーもんです」

 

 そんな会話をしながらも、どんどんレベル上げは進む。

 ある程度狩り終えたところで、メリエルは2人に向かって告げる。

 

「レベルだけ上げても、技術が追いついてこないから、そろそろ私と戦おっか」

 

 にっこりと笑ってそう言われ、ラフタリアとヴィオラは互いに顔を見合わせた。

 

 ドラゴンとかをワンパンで瀕死にさせる輩を相手に回して戦う?

 

 無理無理とラフタリアとヴィオラはすぐに首を左右に振るが、メリエルは戦闘に関してはシビアだ。

 

「ダメ。ちゃんと手加減するし、死にかけたら回復するから。それと即死を防ぐアイテムも使うから」

 

 だから、とメリエルは続ける。

 

「死ぬ気で、掛かってきなさい」

 

 ラフタリアとヴィオラは逃げられるわけもなかった。

 

 

 

 

 

 数時間後、疲労困憊で倒れ伏すラフタリアとヴィオラの姿があった。

 彼女達は一撃で自分の体がバラバラになるくらいのパンチやキックを何度も食らったが、メリエルにより時間制限付きだが、必ずHP1で耐えるアイテムを何度も使用され、あまりの激痛により死んだほうがマシの状況を味わった。

 だが、死にはしないが気絶することはできる。

 しかし、それもメリエルによりすぐに意識を回復させられてしまう。

 

 地獄を味わった結果として2人のメンタルは、とても強くなった。

 

 

 ぴこーん

 

 ラフタリアのレベルが上がった!

 ヴィオラのレベルが上がった!

 

 2人はスキル:不屈の闘志を獲得した!

 

 

 そんな表示を見てしまったメリエルは考えた。

 これ、私と戦った方が速く強くなるんじゃね、と。

 

 モンスターを相手にワンパンするのと、成長を見ながらラフタリアとヴィオラを鍛えるのでは後者のほうがまだ楽しいだろう。

 

「何なら、ユグドラシルのワールドエネミーとかを湧かせて戦わせるのも面白そうね。2人がやれるところまでやった後は時間は掛かるけど、私が処理すればいいし」

 

 とりあえずストーリーのラスボス、九曜の世界喰いなら、ソロで5分で倒せるから、2人のチュートリアルにちょうどいいだろうとメリエルは考えた。

 

 幸か不幸か、ユグドラシルにおけるワールドエネミーや各種レイドボス、はては通常の雑魚敵とエンカウントする為のアイテム類をメリエルはたっぷりと持っていた。

 ユグドラシル末期に実装されたイベントなどを省略して、アイテムを使用するだけで戦える優れものだ。

 

「何なら、波に対してワールドエネミーをぶつけてみるのも面白そう」

 

 世界の脅威に対抗するには世界の脅威をぶつけるのが一番だろう、とメリエルは考えた。

 

「とりあえず、これからが楽しみね」

 

 メリエルは大満足だった。

 

 

 

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