少年は夢を抱く。
きっかけは些細なものだった。自らが生まれ育った島、その郊外に打ち捨てられた艇を見て、一緒に空を飛んでみたいと思った、ただそれだけの話。
誰しも幼い頃、憧れの人と共に同じ道を歩んでみたいと思ったことがあるだろう。彼にとってはそれが艇だっただけの話だ。
当然生半可な努力では成し得ない。艇はボロボロで、時間をかけて修理しなくては飛ばすどころの騒ぎではないだろう。そもそも、騎空艇の操縦など子供にできるはずもなく、また一朝一夕で習得できる技術ではない。
ならばこそ、少年は努力を怠らなかった。艇の修理を行う傍ら、操舵士の勉強を必死に行った。街に立ち寄る現役の操舵士にも、嫌になる程質問責めを行った。
中には子供だからと相手にしてくれない操舵士も居た。だがいつしか、少年の熱量に負けて懇切丁寧に教鞭を取る。
障害は幾つもあっただろう。だが彼は歩みを止めない。年月が流れ、体は大人になっていても、心だけはあの日の焔を灯し続けた。
そして訪れるのは正に必然。諦めなければ夢は叶う、その言葉を体現したように、青年――ラカムは空へと飛びだたんとする。
準備は万端。艇に存在した欠損は修復済み。艇を操縦する技術も研鑽を怠ったことはない。然るべき代償と引き換えに、彼は夢見た世界へ足を踏み入れようとする。
――――しかし、
現実は非情であった。
騎空艇を浮かべた刹那、ラカムが次に見たのは地面だった。
結果として、騎空艇――グランサイファーは墜落した。まるで今までラカムと共に過ごした日々が無価値であったと言わんばかりに、相も変わらず沈黙を続ける。
当然、もっとも被害を被ったのはラカムだ。そもそも墜落に対する
幸運にも命に別状は無かったものの、ラカムは自分の大切なものが壊れてしまったのだと実感していた。
外側は無事でも、中身は全く別の話。煮崩れしたジャガイモのように、心の中にあった確かな芯は、跡形もなく溶けて消えた。
そこからの彼の人生は、最早語るまでもないだろう。夢に破れた、否、諦めた男の人生ほど醜悪なものはない。
日々は灰色のまま、仮初の笑顔で自分を誤魔化し続け、ふとした瞬間に死にたくなる。
それでもこうして生き永らえているのは、彼にとっては恥でもあるのだ。
月日だけが流れ、未練がましく堕ちた騎空艇を眺めるだけの毎日。されど再び、心に焔が灯ることは決してない。
彼はグランサイファーに裏切られた、と感じていた。
わからない話でもない。操舵士にとって騎空艇は家族に等しい。空を旅する相棒、そう信じて疑わなかったからこそ、自らを地面に叩きつけたグランサイファーに裏切り者の烙印を押した。
だけど、本当は分かっていたのだ。
騎空艇は裏切らない。只の艇に感情は無く、墜落は只の現象に過ぎない。心の持ちようだというのなら、原因は間違いなく自分自身にあるのだ。
修理が完璧でなかった、自分の腕が未熟だった。考えられる原因は星の数ほどあり、今でもどれが該当しているかは定かではない。
ただ一つだけ確かなことは。
本気で取り組んでいれば、グランサイファーはきっと俺に応えてくれた。
何故もっと本気で操舵の練習をしなかった? 本気なら睡眠時間も無くして永遠に学び続けただろう。
何故もっと本気で騎空艇の修理をしなかった? 本気なら内臓の一つや二つ売り払って、最高のパーツを艇に組み込んだだろう。
そんなの阿呆か? 意思の力では現象は捻じ曲げられず、努力が叶う保証もない?
馬鹿か貴様ら。諦めなければ夢は絶対に叶うんだよ。
だって――――
「創生せよ、天に描いた星辰を────我らは煌めく流れ星」
目の前の少年は、こうも本気で生きているではないか。
自分より一回り幼いであろう少年は、こんな絶望的な状況でも諦めていない。大勢の兵士に囲まれ、銃を突きつけられてなお、その闘志に陰りの一切を感じさせなかった。
彼の仲間らしき少女が、何かを大声で叫んでいる。焦燥の表情から、きっと彼の身体を心配しているのだろう。
そりゃそうだ。あんな人間離れした動き、何のデメリット無しに行使できる筈が無い。
踏み込んだ地面は抉れ、少年に蹴り飛ばされた兵士は遥か彼方に吹き飛ばされる。手にした刀からは爆光が煌めき、切り付けられたものは何一つとして残らない。
背後から飛んできた銃弾を難なく躱し、特攻する兵士は死を感じる間もなく蒸発する。
絵に描いたような
必然――支払う代償は安くない。
なんの前触れもなく、少年は信じられない量の血を吐いた。ラカムが見ている限り、一切の負傷が無いにも関わらず、だ。
カリオストロの怒号が響く中、それでもラカムは、まるで少年のようにグランを見つめていた。
目を焼かれようとも構わない。今この姿を焼き付けておかなくてはならないと、他ならぬ自分自身が決めたから。
彼は本気で怒っている、彼は本気で挑んでいる、本気で、本気で、
全身全霊の本気で。余分な考えなど一切ないほどの本気で
身体の崩壊に頓着せず、顔も知らない誰かの為に闘う
いいはずなんて何処にもない。
だから、行こう。
これからの人生、せめて胸を張れるように生きていたいから。
青年は、かつての宿した焔と共に、大きな一歩を踏み出した。
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時間は少し前まで巻き戻る。
シェロカルテから課せられた依頼は思わぬ形で幕を閉じ、新たな仲間を紹介しようとグラン達が遺跡の出口に向かう最中、世間話のような気軽さで真実が語られていた。
「先に言っとくが……ルリアに関しては流石のオレ様もお手上げだ。これから調べていくしかねえな」
「そうなんですか……」
グランとカリオストロの間に結ばれた契約。その内訳は、平たく言うと知識の譲渡にある。
一つはルリアの真実。これに関してはさしもの錬金術師も手の出しようがない。ある程度の推測はできるものの、それが本当に合っているか試しようが無いのだ。これからの情報収集に期待といったところだろう。
ゆえにカリオストロに落胆は見えず、口角は邪悪に吊り上がる。
「ただしその刀については、この空の世界でオレ様が1番詳しいだろうな」
邪悪に表情を歪める錬金術師だが、その裏には確固たる自信が見え隠れしていた。正に全知全能。その自負が彼女の風格を形作っている。
言葉に対する返答はない。黙して従えと言わんばかりに、グランもルリアも口を噤み錬金術師の言葉を待っている。
そして独白のように語られる真実。
「かつて覇空戦争で星の民が使用した兵器……広く知られているのは星晶獣だが、その刀はそれと同質だ。星の力を人の身に宿すという意味では、ミニサイズの星晶獣といっても過言じゃねえ」
空の彼方から飛来してきたとされる星の民は、今から二千年ほど前に星晶獣を用いて空の世界を管理、支配していた。その支配から抜け出すために、空の民が反旗を翻したのが約五百年前に起きた覇空戦争だ。
「といっても、規模という点では星晶獣に大きく劣る。あれは文字通り規格外だからな、大量殺戮を起こすのなら出力の落ちるこれを使う必要はない。ゆえにほとんど使われる事もなく、歴史に名を刻むことはなかった」
「なら、どうしてカリオストロさんは知っているんですか?」
「興味が湧いたからさ。遊び半分で作成されたであろうこいつらは、その実見逃せない点が幾つかある」
これこそが話の肝だと錬金術師は言外に語る。お前たちは運がいいと得意げに零しながら、自らが発見した新事実をこれ見よがしにひけらかす。
「最も注目すべきなのは、星の力を行使できる所だ。条件さえ満たしてしまえば、例え空の民であろうと超常の力を行使できる」
「その、さっきから気になっていたんですけど、星の力って何ですか?」
「いい質問だな、ルリアは教え甲斐があって嬉しいぜ」
「えへへ、ありがとうございます!」
「それに比べてこの堅物は…… おい、ちゃんと聞いてんだろうな」
「問題ない」
驚愕の事実の連続だというのに表情一つ変えないグランを不服に思っているが、カリオストロはコホンと咳ばらいをしつつルリアの質問に答えた。
「星の力は……まあオレ様が勝手に呼んでいるだけで正確な名称は分からん。ただ大雑把に言うなら、
「あすと、らる?」
「この世界を満遍なく覆う物質だよ。目には見えねえが、この世に生きる総ての生物が触れ、体内に取り入れている」
今度こそ、ルリアは絶句する。今までカタリナから受けていた座学ではそんな物質の話は一度も出てこなかったし、そもそも誰も知らないような事ではないかと懸念する。
その直感は正しく、星辰体の存在は現状、カリオストロしか知らない。でなければ、今頃世界は大騒ぎになっていたことだろう。
「いつ、どこから現れたかはオレ様にもわからねえ。おそらくは星の民の出現と共に姿を見せたとは思うが、そんなことはどうでもいい。重要なのはその刀が媒体となり、星辰体と大規模な感応を行えるってことだ」
「方法は」
「そう急くなよ。別に誰でも力を振るえるってわけじゃねえんだ。星辰体を扱う者……便宜上、
グランは力を求めている。自分が目指す勝利の為、如何なる犠牲を払おうとも彼は決して止まらない。
ゆえに今回の邂逅、予想外ではあったが僥倖とも言えるだろう。人体としての限界を感じ始めていた彼にとって、星辰体感応奏者への変革は必要不可欠ともいえる。
「その点、お前は十分に資格を満たしていると言っていい。恐らくルリアとリンクしているおかげだろうな」
「なら、私でもえすぺらんと? になれるんですか?」
「問題は無い。だがおすすめはしねぇな。下手すりゃ死ぬ」
その言葉に、意を唱える者はいなかった。グランはもとより、心優しいルリアでさえもだ。グランとリンクしている彼女にとって、彼の死は自らの終焉を意味する。しかし、死へ向かう片翼を静止する声は出てこなかった。
「ルリアは賢いな。どうせこのバカは止めても意味が無い。自分の命なんざ前に進む燃料程度にしか思っちゃいねえのさ」
「……すまん、そして誓おう。その覚悟を無駄にすることは決してない」
「はい、信じてます……!」
両者の命を賭け金に契約は為された。例え進む先が他者の血で彩られる花道であったとしても、二人で歩いていくことを誓ったのだ。
「早速始めろ。危険が伴っていようとも、早いに越したことはない」
「
ここにきて始めて、グランの眉間に皺が寄る。
「どうやったかは企業秘密ってとこだな。ただ保証はしてやる。お前は正真正銘、
およそこの世の叡智を極めたカリオストロ。であれば、グランに知覚されることなく調律を済ませられるのだろうか。
答えは恐らく否。だが実際に、グランは超常の力を身に着けた。一見ありえないような事でも、他に答えがなければそれが真実だろう。
「こんなあっさり……」
「お前は元々化物みたいな奴だから変化は感じにくいだろうな。それに
「……まだ聞かなくてはならない事が多いみたいだな」
「そこらへんの話は地上に出てからだな。とりあえずの試運転もしなきゃならねえし、何よりこんな埃っぽい所にいたら、オレ様の美貌が掠れちまう」
事実、遺跡の出口はもうすぐだ。未だ語られていない話は多いものの、それは腰を落ち着けてからでも問題は無いだろう。
そう判断したカリオストロは、一旦この話を打ち止めとし、悠久の時を超えて目にする外の世界に、年甲斐もなくはしゃいでいた。
その姿は正しく少女の容貌。しかし、すぐさま錬金術師の覇気を溢れ出させ――
「力を行使するときの
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そして、現在。
街に戻ったグラン達が目にしたのは、帝国の兵士に囲まれた住人の姿。であれば、グランが動くのは必然だろう。瞬く間に数人の兵士を斬り捨て、協力――というより命令されたカリオストロも、自らが操る人工蛇、ウロボロスを駆り兵士を捕食する。
だが、如何せん分が悪い。人数といった点では圧倒的に敗北しており、カタリナもいるものの、彼女は住民の避難により手が回らない。
そして特筆すべきなのは、帝国軍の武器だ。なんの変哲もない銃器だが、民間人を殺傷するには役不足だろう。グラン、カリオストロにとって脅威ではないものの、流れ弾が住民に向かえばいくらグランといえど止めることは不可能。それは彼の目指す勝利とは程遠い。
で、あれば。
「創生せよ、天に描いた星辰を──我らは煌めく流れ星」
場に響き渡るのは、
覚醒の序説を唱えた瞬間、爆発的な速度でグランの身体が
その結果――
「ぎいやぁぁぁぁァァ!!?」
グランの振るった一刀が、兵士の身体にほんの少し触れた。兵士は確かに躱したのだ。よって傷がついたのは、布越しのほんの薄皮一枚程度。
だが現状はどうだろう。掠めた箇所を抑えながら、兵士はその場にのたうち回る。いい大人が鼻水と涙を撒き散らしながら地面を転がったのだ。
その有様を見たカリオストロは、未知の光景に一つの仮説を立てる。
「さっさとそれを仕舞えッ!!」
傍から見ている分には、明らかに喜ばしい筈のグランの進化。これ程の力があるのなら、犠牲者を一人も出さずにこの場を制圧できるだろう。
だが現実は、そううまくいかない。大きな力の代償は、必然的に大きくなる。
「か、は……っ」
使用者である筈のグランだが、それは予想もできないほど唐突に現れた。今まで一切のダメージを負ってこなかった彼だが、ふとした拍子に大量の喀血を起こした。
その間にも兵士たちの特攻は止まらない。
グランの身体を蝕むもの、その正体。
それはこの世界の誰もが知る事の無い現象であった。
有体に言えば、
英雄の
彼の星は
先程、掠めただけの兵士がのたうち回ったのはそういう事。ただ掠めただけの残滓であっても、激痛の光は体内で泡のように弾け細胞の一つ一つを破壊する。当然そんなものを直接喰らえば、後には何も残らない。
一片の闇をも許さぬ光。絶望と悪を、己の敵を、余さず総て焼き払う絶対の焔。邪悪を滅ぼす死の光。
万象総てを滅亡させる
だが当然、得られるのは恩恵だけではない。生物である以上、死の光からは何人たりとも逃れられないのだ。
それは使用者であるグランも例外ではなく、彼が星辰光を行使している間、
ゆえに常に激痛が襲い、ゆえに身体は内部崩壊を続ける。
一撃が地面を割り、空を裂き、ひとたび踏み込めば目で追う事も叶わない。煌めく刃から目を焼くほどの光が放出され、何人もの兵士達が瞬時に蒸発する。
確かな英雄譚は、しかし多大な犠牲の上に成り立っていた。
「もう、やめてください……」
それを遠くで眺める蒼き少女は、決して止まらない
リンクした先から流れてくるのは、彼の感情、そして痛み。勿論すべてが流れ込んでいるわけではない。元より感覚の共有などできず、しかし流れ込んでくるのはどういう理屈か。
答えは単純、量が多すぎるのだ。
激痛は常人であれば発狂する域にまで達しており、彼の中で行き場を失った痛みが、ほんの少しルリアの中に流れ込んでいる。それほどまでに傷ついて、それでも止まらないのは何故?
そしてなにより悲しい事は、彼の原動力が怒りだという事。
痛みと同じく、彼の中に入り切らない怒りがルリアに伝わる。グランは本気で怒っていた。島の住民を傷つける輩、そして自分たちの利益のためなら何をしてもいいと考えている帝国に、心の底から
そして、討たれるべき悪はというと――
「なんなんだよ……! なんなんだよアイツはッ!」
こちらも憤慨していた。突如として現れた英雄に、フュリアスの目論見は完全に破壊されたのだ。
既に勝利は彼の手に。残った悪役は、死の光に呑まれて消え去るのみ。
だがその程度で諦めないのがこの男だろう。頭は悪くないが、かといって賢しいわけでもない。感情に身を任せ、自ら死へと向かっていくのだ。
「おい! お前らも闘えよッ! あいつの首を持ってこい!!」
「いやいや、あれは無理ですって将軍様? 大人しく帰りましょ?」
「お前と意見が合うのは癪だが…… 一度体制を立て直した方が無難だろうな」
もしもの時の為に控えさせていた二人に声をかけるも、その返答は芳しくない。
青い髪のエルーン、ドランクは軽薄そうな態度を崩さずに撤退を促し、赤い髪のドラフ、スツルムも嫌そうな顔をしながらドランクに賛同していた。
それが気に喰わないのか、フュリアスは顔を真っ赤に染め上げて叫ぶ。
「僕に指図するなッ!! いいからお前らもあのクソカスに――」
「――捉えたぞ」
言い終わる前に、英雄の刃がフュリアスに振り下ろされる。既に兵士は戦意を喪失しており、いともたやすく上官への道を開いてしまった。
直撃すれば消滅は免れない、正に必殺の刃。それが今にも悪を討つ間際、
「……させるか」
スツルムの刃が、間に割って入っていた。
そこからの切り替えは早く、グランは即座に対象をスツルムに向ける。女性とは思えないほどの膂力を発揮するスツルムだが、しかし相手が悪いだろう。覚醒した英雄を前に凡人は消え去るしかない。
だが更なる妨害が入る。
スツルムを避け、更にグランの急所を狙う浮遊した球。ドランクの操る蒼と紅の二球が、彼女を守る様に絶妙のタイミングで割り込んでいた。
「提案なんだけどさぁ、一旦引いてくれない? 僕たち大人しく帰るからさ」
「――笑止」
「ですよねー」
飄々としたドランクから発せられる殺気。それをものともせずグランは手を休めない。納刀した刃と手に持つ両刀を入れ替えながら、二対一という劣勢を手数で覆す。
有利なはずのドランクたちが追い込まれるという異常事態。勝利はおろか、死なないように立ち回るのでやっとの現状に終止符を打ったのは、悪の根源であった。
「ッ! お前ら僕が逃げるまで時間稼ぎしてろ!!」
間近で見る英雄の剣幕にようやく事態を把握したのか、フュリアスが選択したのは撤退。しかも兵士たちの命を犠牲にした最悪の選択だった。
通常であれば、謀叛、或いは、その命令から逃げる者もいるだろう。だが帝国兵にとって上官の命令は絶対。特に相手がフュリアスであれば、命令違反は即座に死へと繋がる。
ならばこそ彼らが選んだのは命を、勝利を捨てた特攻だった。
ドランク、スツルムに気を取られている隙に、背後から次々襲い掛かる残りの兵士達。さしものグランも身動きは取れず、またカリオストロも逃げるフュリアスを追いかける足を持っていない。
「スツルム殿、僕たちも逃げよう」
「だが……」
「言いたいことは分かる。でも僕たちは帝国の兵士じゃないんだ。直属の上司は別に居るわけだし、此処で逃げてもちょっと嫌味を言われるくらいだよ」
いつになく真面目なドランクの様子から、スツルムは特に何も言わずに頷いた。それは兵士たちを見捨てる選択にほかならず、だがこの場で最良の選択でもあっただろう。
この場を離れんとする二人をグランは追いかけようとするが、しがみつく兵士たちから意識を逸らすことはできない。帰り道を失った人間ほど恐ろしいものはない。自分の命を掛け金としている以上、時にありえない結果を齎すこともあるだろう。
「帝国、万歳ァァィ!」
「おおおぉぉォッ、万ッ、歳ァァァァィ!!」
事実、突撃は功を奏していた。正真正銘の
……彼らの勇姿を、肯定的に捉えるにはそう表現する他ない。
かくして大損害を与えられながらも、フュリアス達は命からがら逃げおおせたのだった。
新たに高評価を入れてくださった方々
一応漏れが無いよう確認していますが、万一呼ばれてねえぞこのタコという方は連絡ください。
あと呼ばれたくない人はご一報くださると嬉しいです。
☆10
あんころもち0 様
次、と言いつつ一ヶ月以上かかってしまいました。ごめんなさい。
なるべく更新速度上げます。
紫宛 様
閣下にインストールされるのなら本望。
ポカエモン 様
thank you veri much.
血に酔った狩人 様
悪を滅ぼす死の光、悪の敵になりたいのだ!
匂い立つなぁ……
ミッフィー41世 様
ようこそトンチキワールドへ。
古の隣人 様
これをグランと言っていいのか(白目)
気になったらクリストファー・ヴァルゼライドで検索を。
カッシー 様
気合と根性で因果律崩壊できます。
ご注文はヤンデレですか? 様
シンプルに嬉しいです。ありがとうございます。
甲子エノキ 様
続きが遅くなって本当にごめんなさい。
かささぎ 様
ぶっちゃけパクりです。気になったらシルヴァリオヴェンデッタで是非検索を。
☆9 (敬称略)
シャーマン ファイアフライ
良い旅、夢気分
神崎涼
ただのしがないウルカヌス
二つ海
野村
社畜のきなこ餅
課長
コーク厨
粉みかん
chisa
とんこつ0929
SAMADA
六十一寸法師
ヨッシー
ronj
パンナコッタ11
神代 雪花
チャーチルダウンズ
ノリタマ
ペロリン村
翁さん
コスモス@騎空士
UMP9
金霧屋
ALPHA-JBF
キーチ
まるてん
爆焔特攻ドワーフ
エルスレイン0
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ボルケリーノ
ゴリスク
ゼガザダーン゛
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