新生IS<インフィニット・ストラトス>~英雄達集う~   作:武御雷参型

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お待たせ致しました。実務者研修の勉強の合間を縫って書いていましたw


第十八話~キラの思惑、そして、天災の登場

簪は自分の専用機である“打鉄・弐式”を開発を続けながら、キラから告げられた言葉の意味を考えていた。

 

「(人間、一人ではできない事も、大勢の人間がいれば、何でも出来る。この言葉を頭の隅に入れといて)」

 

「そんなことは私だって判ってる。自分一人じゃ出来る事が限られている事に………だけど、あの人は一人でなんでも出来る、超人なんだ。私だって、あの人に追い付きたい。そして、守られるだけの存在じゃ無いって事を証明するんだ」

 

だが、簪の瞳は黒く濁り、瞳の瞳孔も何処か虚ろになるまでに至っていた。

専用機の開発を中止させる原因となった一夏や千冬に対する復讐といった部類のものでは無い。

ただひたすらに、“あの姉に追い付きたい”…………その思いだけであった。

その思いの強さが為に、自身の幼馴染さえも近づけさせない程のどす黒いオーラを発していた。

 

「私には、あの人に追い付く事も出来ないのかな…………」

 

しかし、簪には判っていた。自分がどれだけ努力をしても、姉の付属品でしか無い事に………

 

「諦めたくないけど…………諦めるしかないのかな……………」

 

簪の手は、いつしか止まっていた。

 

「貴様はそれで良いのか?」

 

「⁉(この声は‼)」

 

簪は声がする方に振り向いた先には、千冬が立っていた。

 

自分がこうなった原因となった人物が前に来たこともあり、彼女に対して目を細めると共に侮蔑と怒りと憎しみを隠す事無く向ける。

アスランとカガリが彼女の様子を見ればたちまち、シンと初めて出会ったユニウス戦役当時の怒りと憎しみに満ち、自分達に怒りと憎しみと暴言、そして侮蔑を隠す事無くぶつけてきた姿に生き写しだ、と言う事だろう。

 

「織斑先生…………何の用です?」

 

「貴様の姉は何でも出来たぞ? だが、貴様は諦めるのか? 簡単に………姉に追い付きたいという思いは、そんな簡単に諦められるものなのか?」

 

「何を言いたいんです……?」

 

「では、簡潔に言ってやろう。貴様のその思いだけでは、姉には追い付けないと言う事だ」

 

「流石は”女の頂点様々”という事はありますね。こっちの事情も知らずに問題を作ってのうのう逃げ遂せ、知った口を利いて高みの見物だなんて…………何様の心算なんですか‼」

 

「ああ、知らないな。私はお前でもなければ、お前の姉でも無いのだからな………だが、お前の状況と似た奴については知っている」

 

千冬はそう言うと、簪の方へと近づいて行く。そして、簪の横に立つと打鉄弐式を見上げる。

 

「この機体は倉持技研で開発される予定だったが、うちの愚弟というイレギュラーの所為で人員を割かれて、最終的にこの機体の開発は出来なくなった。そして、お前が引き取り一人で組むと言った。だが、現実にはどうだ? 組めているのか?」

 

「そうした本人が言える口ですか‼」

 

「まぁ、傍から見ればそうみえるだろうな………だが、実際には少し違う。私はあいつに専用機は不要だし、戦力としては期待外れの足手まといでしかないし、守るよりも守られる方が最善だ。どうしてか判るか、更識?」

 

自身の専用機・打鉄弐式の開発を中断させた張本人に糾弾する簪に、千冬はやんわりと否定し、一夏の専用機を持つ事に対する是非についてを尋ねた。

 

「初心者には扱いきれないからですか?」

 

「半分は間違っているが、半分は当たっている。正確には、あいつには宝の持ち腐れでしかない、という事だ」

 

「…………どういう意味です?」

 

千冬の言葉に簪は意味が判らなかった。

 

「私としては、あいつには安全な場所で暮らしてほしかった。ISそのものに関わる事など一切無く…………だが、現実は非情だ。あいつはISに触れてしまい、初の男性操縦者となってしまった。ISの事など何一つも知らないあいつがだ。私は呪ったよ……理想と現実の違いにな…………」

 

「…………」

 

「長話になってしまったな。邪魔をしてすまなかった」

 

千冬は言葉を切ると、整備室を後にしようとした。だが、簪がそれを止めた。

 

「待って下さい‼ 私はどうしたら良いのですか⁉」

 

簪の悲痛な叫びに、千冬は背を向けながらも一つのアドバイスをする。

 

「簡単な事だ。周りを頼れ。お前には仲の良い友人がいるのだろ? 最初はその友人にでも頼め。そして、最終的には、周りの人間を頼れ。そうすれば、自ずと私の言葉の意味が理解できるだろう。ではな」

 

そう言って、千冬は整備室を後にするのであった。

 

整備室を後にした千冬はキラとすれ違った。

 

「ヤマト、後は頼むぞ」

 

「貴女も人が悪いですね、織斑先生………昨日の事を見ていたなんて」

 

「見ていたのでは無い。聞こえたのだよ」

 

そう言うと、千冬は職員室へと向かって行く。

キラはそんな千冬の背中を見ながら、これからの計画の事についてを考えていた。

 

「僕に出来る事はこれだけだからね………後は君自身がどうするかだよ、更識さん……」

 

キラはそのまま整備室へと向かって行く。

 

そのまま予約を入れていた場所へ向かい、ストライクフリーダムをアクティブモードで起動させる。

 

「昨日は外見や大まかな事しか見ていないけど、内部はどうなっているのかもう少し詰めた方が良いかもね」

 

キラは独り言を呟き、ストライクフリーダムのフレームを外し、内部のコード等を調べて行く。

 

「やっぱり……消耗が激しいね。 少し無理をさせ過ぎたのかな………」

 

キラの視線の先は、ストライクフリーダムの関節部分を向いていた。

その関節部分が、過度の摩擦による消耗が激しい事に気付く。

 

「部品のストックが無いのが厳しいね……今は良いかも知れないけど、これから戦闘が始まった時は、無理をさせない程度で動かさないと、動けなくなって使い物にならなくなってしまうなぁ………」

 

キラの手は全く止まらず、機体の内部チェックを済ましていく。

 

あと一息と言う所で、キラは作業の手を止める。

 

「出ておいでよ、更識簪さん」

 

「…………いつから気付いていたの?」

 

「僕がここに来た(とき)から、君の視線を感じたんだ。それで……君は僕に何か様なの?」

 

「う、うん………機体の開発を手伝って欲しいの………ダメかな?」

 

簪は顔を傾げながらキラに尋ねる。

キラはどうしようか迷っていた。

 

キラ一人でも正直な所をいうと機体の機体の開発は出来るが、相手は日本の代表候補生。

キラは今の所、アスラン達五人も含めてどの国家にも所属をしていない。

 

従ってキラ自身も一つの国家に肩を入れてしまうと、他の国家から抗議が殺到する事は目に見えていた。

 

「手伝う事は出来るけど、正直言って、他の人と一緒に取り組んだ方が良いんじゃないかな?」

 

「どう言う事?」

 

「考えてみて? 僕はある意味でイレギュラーな存在であり、どの国家にも所属していない。だけど、君の機体の開発に関わっていたとなると、僕は日本に所属していると思われてしまうんだ。そうなると、君の立場も危うい事になりかねないんだ」

 

「それは、困るかも…………」

 

キラの説明に簪はただ、短く答えて肯く。

 

「僕自身は手伝ってあげるけど、ここに所属している整備課の人達にも一緒にやってもらった方が良いんじゃないかな? それに僕の場合は、機体のデータの一部だけしか渡せないけど………それでも良いの?」

 

キラの言葉に簪は迷う。

 

簪としては、キラに手伝ってもらいたいと言う思いであった。

というのも、前回キラから言われた言葉が頭から離れず、いつの日か、キラ本人に尋ねようと思っていたからである。

 

「それでも良い。 私にはこの子を完成させてあげたいから………」

 

「判った。僕も手伝える事はするよ」

 

キラの協力の元、簪の専用機である打鉄弐型の開発が始まるのだった。

 

 

 

その同じ頃、とある施設では四人の男女が狭い通路を走っていた。

 

「シユ、走るんだ‼」

 

「これ以上、速く走れないわ‼」

 

「ユーレン‼ もう少しで出口よ‼」

 

「ヴィア‼ あいつらも来ているんだろうな‼」

 

「出口で待ってくれてるわ」

 

「急ぐぞ‼」

 

四人が出口に差しかかろうとした瞬間、銃声が鳴った。

 

「アグッ⁉」

 

「ユーレン⁉」

 

「「ヒビキ博士‼」」

 

撃たれたのはキラとカガリの実の父親、ユーレン・ヒビキだった。

 

ユーレンは足を撃たれ、その場に崩れ落ち、キラとカガリの母親、ヴィアは慌てて夫の許に駆け寄る。

 

「先に行ってくれ‼ なんとしてでも委員会に行くんだ‼」

 

「いやよっ‼ あなたと一緒じゃ無かったら私は………もう、一人にはさせないわ‼」

 

「行け‼ シユ、アレン。ヴィアの事を頼む………もう私はここでお終いのようだ」

 

「そうですよ………今更、あなた方が生きる術は無いのですわ」

 

カツカツと、靴を鳴らしてユーレン達に近づいて来る一人の女性の手には、一丁の銃が握られていた。

 

 

 

「まさか、お前がロゴスの手先になっていた……とは、思いもしなかったぞ。樟葉(くずは)

 

ユーレンは、後ろから来た女性、樟葉に話しかける。

 

「私にとってここは、ある意味で故郷なのですわ。それを裏切る者は全て排除するまでです」

 

「それは…………自分達の悪という理想をかなえる為に、憎悪で満たして全てを滅ぼしてでも、か?」

 

樟葉は銃をユーレンに向ける。

 

「ここで死ぬ貴方達が知る必要はありません。さよならですわ、ヒビキ博士……いえ、お父様」

 

「くっ……(すまない、キラ、カガリ……また、お前達に会えないまま逝ってしまう私を、許してくれ……)」

 

樟葉は引き金に手を掛けた。

 

ユーレンは”最早ここまでか”と諦観し、ここに居ない息子と娘に心の内で申し訳ない気持ちで一杯になった。

 

だが次のその瞬間、天井が破られ一機の機体が舞い降りた。

 

『その言葉、そっくりそのまま返させてもらうね~』

 

「なっ⁉ そ、その声は‼」

 

天井を破って入って来た機体は、Vアンテナにツインアイ、そして赤、青、白のトリコロールの機体であった。

 

その機体の搭乗者の声は、その場にいる誰しもが聞き覚えのある声だった。

 

『私としては、このまま見過ごしても良かったんだけどさ~…………そうもいかなくなったんだよね~』

 

「どうして………どうして貴女がここにいるのですか‼」

 

『絶賛国際指名手配中の私がここにいる理由? 簡単な事だよ。私はこの人たちを助ける様に、”ある人”から言われて来たんだよね~』

 

束はそう言うとふざけた口調から、冷やかな声に切り替わる。

 

『だからさ……さよなら、死んで?』

 

束はビームライフルを掲げると、樟葉に向けて引き金を引いた。

 

「私はまだ、理想をかなえて現実にする為にも、死ねないんですわ‼」

 

樟葉は一瞬の隙をついて、その場を離脱し、見えなくなってしまった。

 

『ちぇっ、逃がしちゃった…………まぁ、いっか』

 

彼女は脅威が無い事を確認すると、機体を量子変換させ姿を現すのであった。

 

「改めて、もすもす終日(ひねもす)~‼ 私がISを開発したみんなの愛しのアイドル、篠ノ之束さんだよ~‼ ブイブイ‼‼」

 

「「「「………………………………」」」」

 

彼女こそが、ISを開発した張本人で現在世界中に指名手配されて行方をくらましている天才こと天才()、篠ノ之束であった。

 

束の自己紹介に、全員が呆けてしまう。

 

「あれっ、どうしたのかな? かな? あっ、判った‼ 天才でラブリーな束さんを見て、気が動転してるんだね‼ いぇい♪」

 

彼らの印象として、束は残念美人で頭のイタイまるで駄目な女という認識をされているのだが、それを一切感じさせなかったのである。




修正を行いました。

機体設定について(セカンドシフト機体)

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