銀河英雄伝説 若きルドルフが目指したもの。 作:朝日奈 快英
話の内容に法律や権利について触れていますが
【作者は法関係なんてさっぱりわかっていません。】
なのでツッコミどころ満載な上に意味不明な箇所がたくさんありますが
【この宇宙はそういうことになってるんだなぁ。】
ってことで流してください。
人権主義者やら、右翼・左翼等の言葉が出てきますが
【あくまでフィクションです。現実とは一切関係ありません。】
ってことでよろしくお願いします。
本当にお願いしますよ?
ここまで読んで嫌だと思った人は速攻でブラウザバック!違う宇宙に飛び立ちましょう!!
俺は唯一無二の親友であり天下無双の大悪党の執務室に向かっている。奴がブチ上げた壮大なホラ話を冷やかして誂うためだ。
「やあルドルフ、仕事の方は順調かい?」
「・・・ああ、クレーフェか。やることが多すぎてなかなか進まない。やるべきこと、進むべき方向は決まったが信頼できる人材が少ないからな。正直手が足りん。寝る暇もないくらいだ。」
「あははは。銀河連邦を潰して民主制から独裁制にしようってんだ。しかも自分を皇帝陛下様に仕立て上げるってんだからな。頭のネジがぶっ飛んだかドラッグに溺れたか、もしくは神の啓示を受けて目覚めたとしか思えん発想だ。」
「俺は正気だよクレーフェ。本気だし真面目だ。」
ちょっと誂い過ぎたか?言葉は冷静だが目が怒っている。こいつを怒らせるとあとが怖いからな。
「まあ落ち着けルドルフ。お前があれだけ壮大な話をしたんだ、真剣に考えてるのはよくわかってるよ。だが内容が内容だ。こっちとしては半信半疑にならざるを得ない。お前を信じてないから半信半疑になるじゃない。話の内容に理解が追いつかないからだ。そこがわかってるから最初に俺に話してどんな反応をするか確認したんだろ?」
「・・・よくわかってるな。」
「当たり前だろ親友。ガキの頃からの付き合いだ。そのくらいはわかるさ。」
「ありがとうよ親友。どんな立場になっても変わらないお前の口の悪さはとても信用できるよ。」
「言ったな親友。俺の口の悪さはお前の性格の悪さが伝染ったからだ。この大悪党め。」
「おう。俺は大悪党さ。なんせ民主主義を潰そうとしている選挙で選ばれた政治家だからな。」
「はぁ・・・そこで開き直るなよ。まあ、お前らしいっちゃお前らしいんだがな。」
落ち着いてくれたか。俺たちが親友同士だってことも改めて確認できたし、これからの信頼関係も揺るぎないだろう。話をもとに戻すか。
「それでルドルフ。一体何に手こずってるんだ?」
「いろいろあるんだが一番でかい物がある。こいつをどうにかしなきゃ社会を立て直しても人間を立て直すことはできない。人間を立て直さなきゃ社会の立て直しなんかやっても無駄だ。」
「ずいぶんと大きく出たな。で、その一番でかいものってのは何だ?」
「・・・基本的人権を取り上げて、その尊重を破壊したい。」
「・・・はぁ?」
「基本的人権とその尊重を消し去る。消し去って二度と復活するようなことがないようにする。」
「おいおい、お前は自分が何を言ってるのかわかってるのか?自分で自分を人間じゃないって言ってるようなもんだぞ。」
「だから問題なんだ。」
「・・・・・はぁ?どこがよ??」
「・・・なぁクレーフェ。人間って何だと思う?」
「人間?とはなにか?哲学的なことか?」
「いや、根本的なことだ。哲学的と言えなくもないがな。」
「根本的で哲学的?人間の本質ってことか?・・・人間は社会性動物。群れて生きる動物。こんなことくらいしか思い浮かばんな。」
「そうだ。人間は動物なんだ。他の動物と違うのは知性が特化したことだけであとは同じなんだ。」
「同じ?」
「欲や感情を止められないってことだ。理性で欲や感情を止めることができるのは一部の人間だけ。ほとんどの人間が刑法で罰されることを恐れているから止めるんだ。道徳的判断で止めてるんじゃない。損得勘定で止めてるんだ。損得が見合えば簡単に人を殺す。感情が暴走して欲が勝てば簡単に人を陥れる。理性が働かなれば簡単に堕落し享楽にふける。それが人間なんだ。」
「お前ふざけてんのか。人間をバカにしすぎだ!」
「じゃあ今を見てみろ!どれだけの人間が堕落しきったと思ってる!!」
「てめぇ!!」
「・・・いいかクレーフェ、現実を見るんだ。今の銀河連邦を連邦政府をよく見るんだ。政府は、いや、政治家たちは私腹を肥やすことに夢中だ。汚職や横領は当たり前でやりたい放題。警察組織は賄賂を受け取ることが当たり前になり金をチラつかせれば平気で犯罪を見逃している。企業は利益を追求することばかり考えて脱税し放題。社会貢献なんて無駄だと切り捨てる。産業は生み出す製品が杜撰になって不良品が当たり前になった。汚染された産業廃棄物も垂れ流しだ。マスコミもそうだ。ゴミみたいにくだらいことを面白おかしく書き立て垂れ流して販売部数を伸ばすことばかりに躍起になって事実と真実を誠実に情報提供するなんてことはない。働いている市民たちも社会に貢献なんて微塵も考えちゃいない。自分のやりたいことしかしないし不満があれば簡単に暴発する。真面目に働いても会社が雇用費を払うのを渋って給料が増えないからな。そんな世の中で真面目に働く市民がいると思うか?いるわけがない。真面目に働かないから個人所得は下落する一方で所得格差が広がり続けて目も当てられん状態だ。クレーフェ。犯罪発生率を見たことがあるか?特に軽犯罪の再犯率だ。所得格差が強烈な差別社会を増長させたんだ。真面目に働いても金を稼げない。働いても意味はない。でも、金がなきゃ生きていけない。なら、持ってるやつから奪ってしまえだ。奪った金を生活費に当てるならまだいい。殆どが酒や麻薬の購入費に変わっている。奪うにしたって金を持ってる悪徳政治家や悪徳企業・金融機関が狙われるんじゃない。女子供が身売りしたり性売買して辛い思いをしながらやっと稼いだ金を暴力で奪っているんだ。強きものが弱者を搾取し、その弱者がより弱いものを狙って搾取している。これは弱肉強食だ。野生動物と一緒だ。人間は野生動物と何も変わらないところにまで落ちぶれたんだ。・・・俺とお前はこんな社会から生まれた政治家だ。生まれたと言ってもその過程は碌なもんじゃなかった。ただでさえ低い投票率のなかで少しでも得票しようと駆けずり回った。恥も外聞も忘れて票を奪い合った。皆に俺たちを認めさせようと必死に叫んだが誰も聞いちゃくれなかった。『うるせぇ!』と言われて生卵をぶつけられたこともある。俺たちが当選できたのは俺たちが市民に認められたからじゃない。他の有力候補者が賄賂で票を稼いだことが世間にばれていなくなったからだ。代わりに候補になる存在がいなかったから仕方なく投票された結果だ。信頼なんて欠片もない投票で生まれたのが俺たちだ。そんな政治家、誰が信用するんだ?そんなやつの言葉も誰が聞こうっていうんだ!?そんな状態で俺達にどうしろっていうんだよ!!」
いつからか奴は俺の胸ぐらを掴みながら叫んでいた。叫びながら泣いていた。泣きながら俺を睨んでいた。俺を睨みながら何かを探していた。
・・・出口を探して彷徨い歩く、か弱い迷子のような目だった・・・
「ルドルフ、お前・・・人間に絶望しちまったのか?・・・」
「・・・そうだな・・・そうだと思う。でも、一番絶望したのは俺自身にだよ。知りながら、知っていながら世の中を変えることができない。このままでは破滅することがわかっているのに救うことができない。考えるばかりで行動することができない。自分の無力さに絶望したよ・・・」
「・・・そうか。でも諦めることもできなかったんだろ?」
「当たり前だ。諦めたらこの世は終わる。俺が俺であることも終わっちまう。」
「あははは。正義感の強い熱血漢。おまけに諦めが悪い。確かに、諦めることはお前が終わっちまうことと同じだな。」
「ああ。」
「だがな、熱くなったら暴走しだす癖は早く治せよ。」
「何のことだ?」
「あのなぁ・・・お前は『基本的人権を取り上げて、その尊重を破壊したい。』って言ったんだぞ。その理由を聞きたかったのに、いきなり熱く語り始めやがって・・・」
「・・・」
奴は俺の顔から目をそらして頬をかいている。・・・照れてるのか?
「ま、いいや。とりあえず、お前が人間に絶望してるのはわかった。だけど熱く語り始めるほど人間が好きってこともわかった。」
「おい。」
「そう照れるなって。人間に絶望して大嫌いってのよりはいいことさ。まずはシャワーを浴びて、その泣きっ面をなんとかしてこい。落ち着いたら続きを聞いてやるから。」
「てめぇ!俺をからかって遊んでやがるな!?」
「あはは。未来の皇帝陛下様にそんな不敬を働くようなことはしませんよ。」
「こんのやろうがあ!その口、塞いで使えなくしてやるぅ!!」
「ぎゃっはっはっ!やれるもんならやってみやがれぃ!!」
俺はわざとらしく笑う。奴も俺につられて笑い始めた。それを見て俺は本当に笑えた。安心した。俺たちは笑い合える。
笑い合えるなら大丈夫。まだ頑張れる。こいつが笑えなくなりそうになったら、また俺が笑わしてやる。こいつが潰れそうになったら俺が全力で支えてやる。
こいつが皇帝陛下になるなら今よりマシな世の中になるのは間違いない。心の中でこっそりと未来の皇帝陛下に忠誠を誓った。
はてさて、時は進んでルドルフがシャワーから帰ってきた。
「おかえり、牛乳があるぞ。」
「ありがとう。だが俺はみっくちゅじゅ○ちゅがいい。」
「贅沢抜かすな。我慢して飲め。」
「ツッコミはなしか・・・わかったよ。」
「サ○ガリアは神。異論は認めない。で?」
「あのな・・・まぁいいや。基本的人権を取り上げて、その尊重を破壊したいと思っている。なぜなら現在において基本的人権の利用方法が悪意に満ちたものに落ちてしまったからだ。」
「悪意に満ちた?」
「まず基本的人権について説明しよう。『wikiるかググれ。』以上だ。」
「いきなり投げやりになったな。」
「そうじゃない。基本的人権は誰もが知ってる権利だ。だが誰も真剣に基本的人権を知ろうとしない。知ろうと思えば簡単に知れるのにな。」
「基本的人権の名前は知ってるがその詳しい内容は誰も知ろうとしない・理解してないってことか?」
「ああ。基本的人権ってのは時代や国ごとに意味合いが変化したり増えたり減ったりしている不確定な権利なんだ。個人の思惑で左右されやすいんだよ。顕著なのは戦時になれば鳴りを潜め誰も見向きもしない役立たずになるが、平時になるといきなり現れてギャンギャンと叫びだしたりする。」
「過激左翼主義者達だな。人命の尊重と人類平等を謳ってるが、批判されると暴言を吐きまくるし暴力を振るうことにも戸惑いがない。言ってることとやってることのチグハグさに呆れることもあった。」
「うん。思想の自由、言論の自由、表現の自由を認めているのも基本的人権だ。連中に言わせると法を遵守して権利を行使しているだけらしい。刑法から見れば彼等のやってることは暴力以外の何物でもないのだがな。そこに左翼政治家が絡みだしたりすると心の底からウンザリすることになる。だが、左翼主義者だけが基本的人権の恩恵を賜っているわけじゃない。当たり前だがすべての人に平等に権利を与えているのが基本的人権だ。その権利を保護・守護しているのが憲法だ。」
「だな。それで?」
「基本的人権は法で定められた権利だ。権利である以上行使することに問題はない。ちゃんと義務を果たしていればな。問題なのは法を遵守してない、義務を果たしていない人間が基本的人権を声高に使っていることだ。」
「どういうことだ?」
「人間社会は雑多な思惑の上でいろいろなものが急激であったり緩やかであったりしながら流れていく。それは言葉だったり金銭だったり情報だったり本当にいろいろだ。それらを循環させて様々な人に分け隔てなく届くよう、必要な人に必要なだけ届くようにする。社会の円滑化だな。法を整備することで社会の円滑化を促進して発展させていく。発展させていく上で求められるのが権利だ。何かを作る、何かを運ぶ、何かを使う。他にもいろいろとあるが全てに権利が絡んでくる。だが、欲に溺れた人間は法を無視して権利だけを主張してくる場合がある。基本的人権の範囲で一番関わるのは何かを使うことだ。法を遵守しないで使う何かと言えば麻薬が一番わかり易い。彼等は違法な手段で麻薬に手を出して中毒になったり障害を持つようになった。サイオキシン麻薬の催奇性は特に恐ろしい障害だ。女性は二度と健常な赤子を生むことが出来なくなるからな。運良くサイオキシン麻薬から脱却した若い女性がいるが体はボロボロで妊娠なんて出来ようもない状態だった。だが彼女は妊娠した。性売買で生活費を稼いでいたんだ。避妊に失敗した彼女は当然堕胎しようと思ったが生活に困窮していたので費用がなかった。彼女はとある慈善団体に助けを求めた。その慈善団体ってのがなかなかのやり手で善人ヅラがよく似合う悪党だった。連中は彼女をそそのかして出産させる決意をさせた。生まれてくるのが奇形児だと承知の上でね。そして生まれてきた赤子を盾に基本的人権を主張させた。人として生きるために必要な生活費や医療費を求めたのさ。さて、クレーフェ、君はどう思う?どう判断したらいいと思う?」
「情報が足りないな。彼女はどうしてサイオキシン麻薬に手を出したんだ?」
「簡単に言えば若気の至りってやつさ。ヤンチャして遊び回って挙げ句にサイオキシン麻薬に手を出した。基本的人権の観点から言えば思想の自由・行動の自由の行使ってことだな。」
「麻薬に手を出したんだ。当然薬物違反で逮捕されたんだろ?」
「もちろん逮捕されて実刑も受けた。だがサイオキシン麻薬の中毒者を刑務所に入れるのは危険だ。隔離病棟で薬物治療に専念することになったよ。周りから手厚い看護を受けてね。」
「手厚い看護?」
「ああ。裁判で弁護士が声高に基本的人権を振り回してね。人として治療を受けるのは当然の権利。市民なのだから税で治療費を賄うのが妥当。隔離病棟に監禁されるのは刑務所に入って自由を拘束されるのと同義。他にもいろいろいろと持論をブチ上げたらしい。」
「で、裁判の結果は?」
「実刑が何年になったか忘れたが、隔離病棟に入ってた期間と刑務所に入る期間を相殺。結果として入院期間が実刑年数を超過したので刑務所に行くことはなかった。」
「なんだそれ?そんなことが可能なのか?」
「実際そうなったんだから可能なんだろうね。弁護士がやり手だったのか検事が腑抜けだったのか裁判員が人権主義者だったのか。どうであれ判決は出て、それを覆すようなことはなかった。」
「善人ヅラした慈善団体ってのはなんだ?」
「弱者救済を掲げた慈善団体でね、身体障害者や精神疾患のあるものを一箇所に集めて集団生活をさせてたのさ。生活保護費を狙ってね。」
「生活保護か・・・」
「ああ。医者と結託して保護費を限度額の限界まで引っ張り出せるように診断書を偽造。代理受取人を慈善団体の代表者にした。集団生活を送っていた施設は相当に劣悪な環境だったらしい。粗末な食事しか与えられておらず、生きてはいるがいつ死んでもおかしくないような状態だったらしい。裏では男性は暴行の的として、女性は性売買の道具として売られていたらしい。」
「らしいの連発だな。確証はなかったのか?」
「警察組織は弱体化している。まともな捜査能力は皆無と言っていいよ。慈善団体との癒着もあるかもしれないね。」
「はあぁ・・・どうしょうもねぇな・・・で、女性の方は裁判で生活費やらを勝ち取れたのかい?」
「裁判では勝った。だが生活費を受け取ることはなかった。」
「どういうこった?」
「死んだよ。勝訴して生活の安定を手に入れた数日後に死んだ。死因は心不全だったらしい。」
「死んだ?子供はどうなったんだ?」
「慈善団体行きさ。生活保護で生活することになった。ここで面白い事実があるんだが、彼女の裁判を担当した弁護士なんだが慈善団体が準備した人間だった。そして彼女の勝ち取った生活費等の代理受け取り人は慈善団体の代表者だ。」
「おい!それって!!」
「君の想像通りなら慈善団体の計画犯罪ってことなんだろうね。ただし証拠は何一つない。慈善団体がキレイに消し去ったのか、警察が無能を晒したのかわからんがね。」
「・・・・最後の質問だ。その慈善団体の名は?」
「・・・・地球教。弱者救済を謳い文句に信者を増やし続けている地球を唯一神と見立てた信仰をしている宗教家集団さ。」
「・・・そうか・・・」
「さて、クレーフェ。君の質問には全部答えたと思う。彼女の事をどう思うんだ?」
「彼女は麻薬に手を出した。それはどんなことを言い訳にしようと許されることじゃない。性売買で生活してたことも認められるようなことじゃない。生まれてくる子供を盾に保護費を手に入れようとしたってのは微妙だな。純粋に生まれてくる子供の生活を守ろうとしたのか自分の生活を守るために子供を利用したのか本人に聞かなきゃ判断できないからね。だが生まれてきた子供に罪はないと断言できるよ。」
「模範的な回答だね。基本的人権については?」
「法は人間社会を運営する上で必要な道具だ。権利は法によって認められた行為を肯定する証明書みたいないなもの、道具の一部と言えるだろうな。基本的人権とは様々な自己主張をする為に必要な法で認められた強力な後ろ盾だな。」
「そうだね。権利は法で認められた行為を肯定するもの。基本的人権があるということは法に則り人が人として生きる事を認めた証明書を持ったと言えることだね。」
「運転免許証がいい例だな。車を運転する権利を法が認めた証明書だ。」
「わかりやすい例えをありがとう。」
「どういたしまして、皇帝陛下。」
「・・・」
「・・・」
「・・・さて、基本的人権というのは法から生まれた人間の至宝だ。人間が生まれながらに人間として生きることを認めた権利だからな。正しく使用・運用されれば人類の未来は明るいものになっただろう。だが現状は明るい未来なんて欠片も見えない。なぜか?人間が人間であることをやめてしまったからさ。人間は欲に溺れて野生動物と変わらないほどに落ちぶれた。弱肉強食と言っていい世の中に変わって平等・公正なんて遠くの昔に消え去った。今あるのは欲に溺れて法を遵守しようなんて欠片も思っちゃいない連中だ。法を遵守しようなんてしないのに法で守られた権利は主張する。欲に欲を重ねて私腹を肥やすために自分勝手で権利を振り回すのさ。最悪だよ。人間は法を遵守できない野生動物に成り下がったが権利を使う知性は残っていたんだ。こんなことが続けば善良な人間なんていなくなって当たり前だ。」
「人間は遵法精神を忘れて傲慢になった・・・か。」
「そうだ。そして人間が傲慢になった原因は基本的人権にあると俺は見ている。」
「そりゃまたなんでだ?」
「子供さ。」
「子供?」
「基本的人権は人間が生まれながらに人間として生きることを認めた権利だ。では人間として生きるとはどういうことだ?人間の社会の中で生きるってことだ。では人間の社会とは何だ?法と道徳を守ること前提で運営される組織ってことだ。繰り返すが基本的人権は人間が生まれながらに人間として生きることを認めた権利だ。が、生まれたばかりの人間が法と道徳を守って生きるなんてできるか?できるわけがない。生まれたばかりの赤ん坊が法と道徳を知ってるわけがないんだからな。」
「子供を標的にするのか?それこそ左翼主義者が躍起になって檄を飛ばしてくるぞ。右翼主義者も中道の連中もいい顔はしないだろう。」
「子供を標的にして責めてるわけじゃない。甘やかすなと言いたいのさ。」
「甘やかすね・・・青少年保護法かい?」
「正確には青少年保護育成条例だな。未成年者は社会的未熟児であるから法で保護して正しく教育しましょうって趣旨なんだが意味が歪みまくってる。現状としては青少年犯罪者は社会的未熟児であるから保護して守りましょうって使い方が多いんだ。青少年犯罪者の刑事責任能力の判断は刑法で定められてる。育成条例なんて欠片も関係ないんだが、ここで基本的人権が絡んでくるのさ。」
「子供の人権が云々とか騒いでる連中か。」
「人権主義者だけとも言えんのさ。子を持つ親にとって子供は一種の爆弾さ。お菓子を強請ってギャン泣きするなんてのは可愛い方で、いつ重犯するかわからない怖さがある。子の罪は親の責任で賠償しなきゃならんからな。賠償責任って聞けば子を持たない人間だって忌避するんだ。人権主義者共と一緒になって騒ぎ立てて当たり前なのさ。いつ自分の子が同じようなことを仕出かすかわからんのだからな。青少年保護育成条例と基本的人権をミックスして騒ぎ立てて賠償を少しでも減らそうって頑張ってるのが連中の本質なのさ。そして連中の行動は大体が成功している。法廷で子供に罪の責任を問うってのは精神的にキツイものがあるらしい。甘い判決が出るのは人間としては仕方ない結果なのかもしれん。で、子供は勘違いするのさ。大人だったら刑務所行きだが子供のうちは怒られて終わりだってな。反省してるふりをすれば誤魔化せる。誤魔化せればこっちのもの。周りの大人が勝手に騒いで減刑してくれる。うまく行けば無罪放免ってな。その根拠は基本的人権にあると確信するだろう。」
「はぁ・・・そこまで子供が知恵を回すものかね?」
「知恵を与えたのは大人さ。裁判で勝って成功したい弁護士だよ。弁護士って生き物は法を武器に飯を食ってる連中だ。俺たちなんかと比べたら雲泥の差があるほど法の知識も使う技術も卓越している。未成年の犯罪事件ってのは連中から見れば美味しい案件なのさ。人権主義者が騒ぎ立てて罪を軽くするように圧力をかけてくれるからな。勝ちパターンが決定してるようなもんだ。よほどのことがなきゃ成功報酬と名声が手に入る。人権主義者達と太いパイプを作ることだってできる。それができたらあとは楽勝ってなもんだ。」
「親の賠償責任逃れ、人権主義者の持論拡大、弁護士の欲。検事は子供の罪と向き合う前にそいつと戦わなきゃならんのか。」
「おまけに警察組織は弱体化。まともな捜査能力なんてない。ないから強力な証拠を集めるなんてこともできない。場合によっちゃ検事は証拠という武器無しで法廷で戦うことになる。負け確の状況で真面目に法廷に立とうなんて考える検事がいると思うか?いるわけがない。法廷はただの劇場と変わらなくなった。法廷が機能しなくなったんだ。罪には罰を。これができなくなった。社会を構成している人間を是正できないんだ。権利を使って是正させることを不可能にさせてるんだ。本末転倒だよ。世の中は・・・人間は腐っていく一方だ。」
「はぁ・・・考えるのが億劫になる。」
「クレーフェ、まだまだ終わりじゃないぞ。」
「え?」
「いいか、この世は情報化社会なんだ。FTL通信の発達で情報は光の速さを超えて拡散するんだ。情報を手に入れることは簡単になって大人も子供も最新情報を気軽に手に入れることができるんだ。そんななかで子供たちが犯罪逃れをするための知恵を手に入れてみろ。何を仕出かすかわかったもんじゃないぞ。いや、実際に仕出かしたんだ。」
「何をしたんだ?」
「教師の体罰をでっち上げたんだ。退職に追い込んで学校から追い出そうと計画した。親は子供の言葉を鵜呑みにして賠償金を要求した。人権主義者も大騒ぎして子供を保護した。弁護士は無気力で教師の弁護を真面目にやろうとはしなかった。この件は一人の生徒の密告により全部バレて有耶無耶になったが残った結果はむごたらしい事になった。教師はこの件で精神を病んでしまい、最終的には自殺した。体罰をでっち上げた生徒たちは人権主義者と親たちが騒ぎに騒いで『ごめんなさい』の一言だけでお咎め無しになった。自殺に追い込んだにもかかわらず彼等は『自殺には関係ない』の一点張りで反省なんて欠片もなかった。密告した生徒はいじめにあった。訴えたが人権主義者にとっては恥をかかされた敵だからな。『いじめられる方が悪い』って言いふらされて転校する事になった。碌なもんじゃないだろ?」
「ほんとうに碌でもないな。」
「彼等は学んだのさ。基本的人権とそれを主張する人権主義者の使い方をな。そして実践した。実践して体感したはずだ。基本的人権と人権主義者を使えば罪を作り出すことも罪から逃げることも簡単だってな。そして、この情報はFTL通信でまたたく間に拡散された。子供の未熟な精神と悪知恵が融合したんだ。そんな子供が大人になったらどんな事を仕出かすか想像できるだろう?」
「・・・基本的人権を使って己の欲を満たすガチガチの人権主義者の誕生だな。」
「そのとおりだ。基本的人権は個人の思惑で左右されやすいってのはこういうことさ。これを傲慢と言わずになんという?」
「・・・傲慢だな。そして悪辣だ。俺も人間ってやつに反吐が出てきたよ。」
「ようこそ、こちらの世界へ。お前を歓迎するよ。」
「まったくもって嬉しくないな。」
「・・・少し休憩しようか。甘いものでリフレッシュしないと心が折れるよ。」
「そうしよう。」
「こ○わりのミルクセーキがある。こいつにしよう。」
「へぇ、こだわりねぇ。興味があるな。お前が何にこだわったか気になる。」
「?・・・お前は何を言ってるんだ?まあ飲めばわかるか。」
「はぁ?・・・ってこのやろう!『こだわり○ミルクセーキ』ってまんま商品名かよ!!」
「サンガリ○は神。異論は認めん。」
「やかましいわ!!」
あとがきまで読んでくださった方ありがとうございます。
あなたのスキルは進化して忍耐レベル2になりました。
おめでとうございます。
短編で切り捨てるつもりでしたが気が乗って二話目です。
長期連載する気はありません。文章書くってすっごいしんどいからw
話の途中でブチ切れてますが三話目がいつになるかわかりません。
書いてて思う。長期連載してる人ってマジすごい。
気軽に「早く書け!」って言えないです。まあ、思ってはいるんですけどねw
ではまた次回に会いましょう。