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プロローグ
俺の兄貴は、とても変わった人で毎日、山に篭って射撃の練習をしている。何故山に篭って射撃の練習をしているのか俺は知らない。
だけど俺はそれ兄貴に聞こうとは思わなかった。兄貴はいつもぼろぼろになるまで練習をするからだ。だから聞けなかった。
いや、いつでも聞けると思っていたんだ。
だからだろう。
気づけなかったのだ。
兄貴が憎悪の眼を俺に向けていることを。
ある日のことだった。父さんが話があると言って自室に招き入れたのだ。
そして今日、俺は初めて知った。何故兄貴があそこまでぼろぼろになっていたのには、理由があった。我が一族には神器と呼ばれる、凄い物があるそうだ。
その神器という物は正統後継者に選ばれなければ、出現しないらしい。
ここまでの話の流れで俺にはわかった。正統後継者は兄貴ではなく俺に選ばれたということを。父さん曰く兄貴には才能がなかったらしい。だが兄貴は兄貴だ。才能がなくても今までどおりに暮らせると思っていた。
その話を聞いてすぐのことだった。兄貴が俺以外の一族の者を虐殺しはじめたのだった。ある者は、目玉をくり貫かれ、ある者は内臓をぶちまけられ、見るのがおぞましいものだった。
「お前だけは生かしてやる」
唐突に後ろから声がかかってきた。
兄貴の声だった。
慌てて後ろを振り向くと全身血だらけの兄貴がいた。その手には一振りの剣と父さんだったものが握られていた。
声が出なかった。恐怖で体が動かなかった。とにかく此処から一刻も早く逃げたかった。
しばらくすると兄貴は居なくなり、惨たらしい死体だが残った。