阿修羅の牙   作:ダブルM

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第一話 虎

東京某所――――

朝の陽光がストリートに明るく降り注いでいた。

道路の両側に建物が並んでいるが、たいていの背は低い。

一階建てか二階建て。せいぜいが四階建ての雑居ビル、といったところだ。

 

その舗道を一人の男が歩いていた。

明るめな金髪に、同じ色の髭を顎に蓄えた男だった。

バッグを一つ、肩越しに右手で引っかけている。

ジーンズに白のTシャツ。

そのTシャツは男の胸筋で驚くほど盛り上がっている。

胸だけではない。腕も、肩も、筋肉でパンパンに、膨れ上がっている。

シャツの袖など、今にも裂けてしまいそうなほどだ。

 

明らかに常人とはかけ離れた肉体であった。

訓練というよりは生まれつき。ステロイドのような「作った」肉ではなく、天然のものである。

この男の周りにだけ、冷たいような、熱いような。形容しがたい空気が流れていた。

やがて男はある建物の前で足を止める。

 

ビルだ。恐らく10階以上はあるだろう。

しかもその壁面には『人が虎を打倒している』様が大きく描かれている。

背の低い建造物が目立つこのストリートでは、ひときわ目立つ。そういうビルだった。

 

入り口の上には筆で書かれた看板がでかでかとかかげられていた。

『神心会本部道場』とある。

 

「…久しぶりだな」

 

男はしばらく看板と壁面の絵を見つめてから、開いているドアの中に入っていった。

正面には受付があり、道着姿の女性が男の方に微笑んでいた。

男は受付まで歩いていき、

 

「愚地独歩館長に会いたいのですが…」

 

太く、しかし誠実そうな声でそういった。

 

女性は微笑みを絶やさずにうなずいた。

 

「館長にお取次ぎ、ですね。かしこまりました。

失礼ですがお名前とご用件をお伺いしてもよろしいでしょうか?」

 

受話器に手を置き、男の反応を待った。

 

「名前は『若槻武士』。要件は…そうだな、電話していただければ、としか」

男は言った。

『猛虎』と呼ばれた男。若槻武士であった。

 

 

神心会本部館長室―――

 

「すいません独歩さん。無理を言ってしまって。」

 

ソファに座り、手を組んだ若槻が苦笑いをしていた。

机を挟んで向こう側のソファにどかっと無造作に腰を下ろしている男もまた、苦笑いをしている。

独歩と呼ばれた男は、髪一本ない頭部をかりかりとかきながらため息をついた。

 

「いいけどよォ。電話していただければ、っておめェ。

受付の姉ちゃん、すげー不審がってたって末藤が言ってたぜ?」

 

愚地独歩。

実戦空手『神心会』の創設者にして生きる伝説。『武神』と呼ばれる男である。

 

「ハハ…すいません。

末藤にも迷惑をかけてしまったな。」

 

若槻は悪びれずに笑った。

今に始まったことではない。10年以上、独歩とはこういう仲だ。

 

「聞いてるぜ。負けたんだって?」

 

秘書と思しき女性が運んできた湯呑を一息にあおりながら、独歩は尋ねた

 

「はい」

虎は湯呑には手を付けず、目を合わせたまま答えた

 

「『牙』?」

「いいえ」

「関林?」

「いいえ」

「初見?」

「いいえ」

「…もしかしてルーキー?」

「はい」

 

「ふうん。

で、もう一度鍛えなおすためにおいらンとこに来た?」

 

「はい。すべてその通りです。」

 

「ふうん」

 

ひとしきり聞き終えた後、独歩は腕を組んだまま、ずりっと足を組んだ。

 

「で、具体的にはどーしたいんだい?」

 

ちらりと組みなおした独歩の脚に目を向けた後、

虎は武神の目を見て、にやりと笑った。

 

「立ち会いたい―――そういうと同時にその足が跳ね上がってきそうだ。」

 

「…っとっといけねえいけねえ」

 

独歩もまた、にやりと笑いながら足を組みなおし、ソファの上で胡坐をかいた。

 

 

「つまりあれだ。

要は闘りてェんだろ?

おいらとは違う、自分を負かした相手と『同じような感じ』の相手とよォ。」

 

「はい。仰る通りです。

表現するのは難しいですが…例えるなら、こう。

しなやかな相手、というべきでしょうか。」

 

独歩の元を訪れた理由。それはかつて敗れた相手…と言うよりはかつて若槻を破った技

 

『鬼鏖』

 

あれを攻略するためだった。

あれを放った相手はもう居ない。だが、あれを放てる相手が居ないとは限らない。

今すぐは出会えないかもしれない。

1年先かもしれない。もしかしたら一生出会えないかもしれない。

だが、1年後には現れるかもしれない。もしかしたら半年後かもしれない、

 

ああいうしなやかさをもつ相手。柳に雪折れなしというか、そういう相手。

そういう男と闘りたいがために、顔の広い独歩の元を訪れたというわけだ。

 

そしてその答えを独歩はドアの向こう側に持っていた。

 

「ならよォ。うってつけがいるぜ。

おーい!入ってきな!!」

 

若槻の向って後方。館長室の入り口に向って大声で呼びかける独歩。

疑問符を浮かべたまま若槻が振り向くと同時に、一人の男が入って来た。

 

「お久しぶりです。若槻さん」

 

武神、愚地独歩の養子にして『現』神心会の長。

『空手界の最終兵器』の異名を持つ男。

愚地克己であった。

 

「君は…克己君…?」

 

「おうよ。克己だ。おいらの息子ではあるんだがよォ」

 

――――違う。

若槻は直感的にそう感じた。以前の愚地克己とはまるで違う。

 

腕がなくなっていることも驚いたが、何よりもあの『甘さ』がない。

才能を鼻にかけた、お調子者のおぼっちゃまリーダー。

友達として付き合うならいいが、とても闘士とみることはできない。いまひとつ覚悟の足りない男。

若槻武士の中での愚地克己とは、そういう男であった。

 

「―――男子三日会わざれば刮目して見よ、とはよく言ったものだ。」

「ハハ…いろいろあったもんで。」

 

故に驚いたのだ。

今の克己からは大きな貫録を感じる。拳願会のベテラン選手のような。大企業のトップのような。一個団体を率いる男の落ち着きと覚悟を確かに感じる。

故に虎は頷いた。

 

「独歩さん。今から道場をお借りしても?」

 

 

神心会本部道場――――

 

「あんまりダラダラやってもアレだしナァ。時間は5分くらいにしとこうや。

ルールは…ン~~~~~…」

 

道場の中心で、道着姿の男が二人向き合っていた。

若槻武士と愚地克己である。剣呑な雰囲気ではないにしろ、二人の間には周りと違う空気が流れていた。心なしか、周囲の風景が歪んているようにさえ見える。

 

周囲には末藤師範代をはじめとする道場生が30人ほど壁際で正座し、これから起こる事柄に期待しながら若槻と克己を見つめている。

独歩は道場の中心で、かつ二人から少し離れたところから腕を組んでひとしきりうなった後、パンッと手をたたいた。

 

「よしッ!テキトーでッ!!」

 

「ハハ…いい加減だなァ、親父」

「昔っからだろう、そういうところは。」

 

笑いながらも構えを取る二人。

克己は無き右腕を前にして体を大きく半身にした、右手右脚前の右構え。

対する若槻も右手右脚前の右構え。克己ほどではないが、こちらも体を半身にして構えている。

 

「ひでえ言い草だなァ、オイ。

じゃあまあ、はじめッ」

 

(すごいな)

 

克己は改めて、若槻を見てそう思った。

構え自体はありきたりなものだが、それでも克己はどっしりとしたすごい構えだと思った。

山だ。巨大な山が道場にそびえている。

どこからどんな攻撃を受けても崩れそうにない。

少し姿勢が前傾するだけで空間がきしむようにさえ感じる。とんでもなく強い男の、ただただ純粋な圧力。

だが、それを受けても尚、克己の眼は穏やかだった。

 

(すごいな)

 

若槻は、克己を見て改めてそう思った。

片腕がない。

これが格闘技においてどれほどのディスアドバンテージになるかは考えるまでもないことだが、そんなことなどみじんも伺えないほど今の克己からは隙が伺えなかった。

柔かい枝を相手にしているような。打ち込んだところで手ごたえがあるのか。そういうイメージが脳裏に浮かぶ。

だが、それを感じて尚、若槻は笑った。

(これだ。俺はこういう相手を待ち望んでいたんだ。)

 

そう思った瞬間、虎は跳んだ。

重力と自重の乗った左手を振りかぶり、力任せに打ち下ろす。

狙いは克己の顔面及び頭頂。

右腕のない克己に対する、挨拶代わりの初手である。

 

――――――――ゴッ

という音がした。

 

「~~~~~~~~ッッ!?!?」

 

頭突きである。克己の頭部が若槻の顔面に叩き込まれた音だった。瞬時にスイッチした克己が若槻の左拳の横すれすれを通り、側頭部での頭突きを見舞ったのだ。

カウンターの頭突きにより若槻の目の前が発光する。実際に光っているわけではないが、脳への衝撃と鼻っ柱への痛みにより一瞬のホワイトアウトが生じた。

 

「シッ!!」

 

間髪入れずに克己の裏拳が虎の顔へとめり込む。めきり、という音が響いた。手ごたえはある。

もう一つ――――若き天才は宙に浮いたままの若槻の胴に、ダメ押しの右足刀を叩き込んだ。狙いは水月。

 

「かっ!!」

 

虎の口からたまらず呼吸が漏れる。

 

「3連撃ッッッ!!クリーンヒットォッッ!!!」

 

末藤師範代が大声で叫ぶ。

勝ちを確信した叫びだった。頭突き、顔面への裏拳、水月への足刀。常人なら悪くすると死ぬ。最低でもダウンは免れない。

それを愚地克己が行ったのだ。末藤自身、あれを食らえば今日一日は起き上がれない自信がある。

 

「~~~~~~ッッッッ!!???」

だから、驚愕した。

 

「驚いたな…」

 

猛虎がなんなく着地し。ただ、鼻血を拭っただけという事実に。

 

「克己君。いつの間にここまでのしなやかさを…」

 

鼻を一拭いしただけで血が止まる。

克己からすれば会心の手ごたえだった。だが、同時にこの程度で倒れるわけがないことも確信していた。

なんでもありの拳願試合で300戦のキャリアを持ち、数多くの強敵を討ち果たしてきた男がこの程度で終るわけなどないとわかっていたからだ。

 

「簡単なことではありませんでした…

しかし、失ったことで新たに得るものがあった。そう思っています。」

 

「フフ…」

 

克己が微笑むのを確認した独歩も微笑む。つられて若槻も微笑んだ。

 

「ハハ…さて、仕切り直しだ。」

 

若槻が笑みを消し、さきほどのように構えなおす。

克己も笑みを消し、構えなおす。

 

ドンッ

 

「「「「消えッ!!!」」」」

 

直後、虎の姿が消える。

前に踏み込む。空手を10年以上やっている道場生達ですら、虎のその動作を捉えることができなかった。

193センチ、193キロの肉塊が恐ろしいスピードで突っ込みながら拳を前に突き出す。

刻み突き。ボクシングでいうところのジャブ、いわゆるリードパンチであるが、超人体質の若槻が行うそれは、優に人間一人を絶命しうる力を持つ。

同時に濡れた手ぬぐいをはたくような音が聞こえる。

ローだ。若き天才は、阿修羅にさえかわし切れなかった刻み突きを『確認』してから体をそらし、拳が空を切ると同時にローを放った。

そのローが虎の太ももに当たって、跳ね返された。

すさまじい筋肉の束だ。

脚を戻す前に、虎が距離を詰める。

 

なんという男だ。

もう眼の前に若槻が迫ってきている。

だが克己は退がらない。退がれば圧力に飲み込まれると確信したからだ。

 

「フッ」

 

故に、自ら前に出る。同時に腰を高速で切り、その勢いで右肩が前に出る。

『右正拳の』動きだ。

 

(克己君、どういう――――!?)

 

虎の思考は一瞬そこで途切れた。目に何かが当たった。

袖だ。本来あるべき場所に腕がないため、右正拳を打つ動きで道着の袖が予測しがたい軌道で飛んでくる。

 

「クウッ!?」

 

直後。虎の右脚に強烈な何かが刺さる。

ローだ。先ほどとは違い、完全に見えず予測できないタイミングで飛んできたため、深々と突き刺さった。巨大な鉈が食い込んだようなイメージが若槻の脳内をよぎる。

だがそれでもなお。若槻は前に出た。

 

ドグン!!

 

「~~~~~~~~~ッッッ!!」

 

若き天才が宙を舞う。もらったのは下突き―――のはずであるが、克己としてはまだ軽トラックに衝突されたといわれた方が納得のいく威力だった。

かろうじてガードが間に合った左腕であるが、腕そのものが弱点になってしまったかのような鋭い衝撃が消えない。

着地と同時に、虎が目の前に現れる。

体を前傾させての下突き―――と見せかけてのロー。

 

「ッッッッ!!!!」

 

これもなんとか反応はできたものの、体が少し崩れる。これこそが若槻の狙いだった。

体をさらに前傾させて懐に入り――――

 

「ラッシュだッッッ!!!下突きのッッッ!!」

「フルコン系の動きだッッッ!!!」

 

突き。

 

突き。

 

突き。

 

突き。

右。

 

左。

 

左。

 

右。

 

右。

ではなく左。

 

「克己よ」

 

左腕で捌いている。

 

もう一度左。上体をねじる。

 

ねじりきれず、もう一度捌くはめになる。

もらう。

 

重。

 

もら。

 

ひび。

 

ぎり捌。

痺。

 

 

 

ここ。

 

「それでいい」

 

武神は笑った。

 

 

 

 

(なんて男だ―――)

 

本日何度目の驚愕か。

とにかく勝ちに行っている自分の得意パターンを、左腕一本と絶妙な足さばきによる上体ずらしでクリーンヒットを避けている。

こんな真似は拳願試合の誰も―――十鬼蛇ですら不可能だろう。

しかし同時にわかることもある。この状態が続けば、間違いなく勝つのは自分であると。

 

(距離を取ったところに追い打ちをかけるのも悪い手ではない。

しかしこの距離では『撃てない』だろう?)

 

これが現在の若槻が考えうる『鬼鏖殺』であった。

あの技然り、そもそもカウンターというものが、基本的には相手の力と『勢い』を利用し、自身の力を最大に叩き込むものである。

ド密着のクロスレンジならばその『勢い』はつきようがない。加えて、この距離から満足のいく威力を出せる存在は自分を置いて他にない。

『牙』の龍弾という例外はあるものの、そもそも『牙』自体がこういったタイプではないので、クロスレンジに持ち込む必要もない。

 

(慢心も油断もない!!戦ってわかる!!

拳願試合の猛者達と比べても!!あの十鬼蛇と比べても!!

克己君はなんらそん色がない!!過小評価などできるわけがない!!)

 

何発撃っただろうか。本人でさえ覚えていないような下突きの一発が、ついに克己の胴体に突き刺さる。

 

「~~~~~~ッッッ!!!」

 

―――――――――――――今ッッ!!

 

 

こらえきれずに九の字にまがった克己の胴体にダメ押しの下突きを入れんと更に前傾する若槻。瞬間、克己の腕が動く。

 

(左!?

 

距離

 

 

無視

 

 

下)

 

瞬時に虎の脳はそれを無視すべしと判断し、そのまま下突きを放つ。

そこで克己の姿が消えた。

 

「…ッッ!!」

 

否。消えたわけではない。確かにいる。

しかしこれは。

なんという。なんという男だ。

 

「…」

(俺の肩で…倒立を!?)

 

克己の出した左腕はカウンターを狙ったものではない。

肩だ。若槻の山脈のような肩に手を置き。そこで倒立を行うことで、下突きのラッシュを回避せしめんとするためのものだった。

サーカス生まれの克己ならではの、アクロバティックな回避方法だった。

 

「シィッ!!!」

 

若槻が驚愕に目を染めたその瞬間。

重力と自重で勢いのついた右足を。思いっきり虎の顔面に打ち付けた。

 

「がはッッ!!」

 

どうっ。

193キロの体が転倒し、道場が揺れる。

視界がドロドロに歪み、立ち上がることがままならない。

 

「…痛ってェ~~~~…」

 

しかし下突きをもろにうけた克己も無事では済まず。

着地と同時に片膝をついた。

口元から血が零れる。

たっぷり10秒ほどかかった後、

 

「…俺は、まだ、やれるッッッ」

「来いやァ…」

 

両者、ゆっくりと、ダメージを抱えたまま立ち上がった。

 

「残り一分」

 

武神の声と同時に、二人が構えた。

だが、先ほどとは構えが明らかに異なる。

 

(まさかこれを出すことになるとは思わなかったが…)

 

猛虎は右ひざをつき。

左手を前に出し、右手をたたみ、拳を握った。どういうガードもしていない。

 

(一撃必殺?)

 

克己の脳裏に4字がよぎる。

フルコンタクト系の空手でこのような構えはない。

琉球空手のアーナンコにも、ナイハンチンの中にも、このような構えはない。

だが、その構えは明確に予告していた。

この右拳を当てるぞ―――と。

 

(似てるなァ)

 

その姿を見て克己は思い出した。喧嘩師、花山薫のことを。

大きく身をひねり、単純にパンチを繰り出す豪快なあの男のことを。

恐らく、若槻も同じだろう。あの技には『受け』が通用しない。

先ほどまでのような小細工も通じないだろう。

それ以上の打撃を当てて倒すしかない。

 

(極上の打撃を…)

 

 

 

(なんだ…?克己君の構えが…?)

 

先ほどの半身の構えとは打って変わり、体全体をこちらに向けている。

それどころか手を上げてすらいない。いやいや、それ以前に体全体で力が入っている部分すら見受けられない。全身の緊張をドロドロに緩め、完全に脱力しきっている。

空手家の魂と言える拳ですら、武器であることを拒否しているかのように握らず、それでいて開いていない。

その手の形は、例えるなら菩薩の―――――

(構わない。最後に立っているのは、俺だ。)

 

お互いが必殺の構えに移行し、迂闊に動くことができない。

実際は10秒にも満たない時間だが、永遠ともいえる静寂が辺りを包む。

 

若槻の体が、少しづつ丸く縮んでいき――――

克己の体が、少しづつ緩んでいき――――――

道場生の誰かが、唾をのむ。

 

ドンッ

 

 

限界まで縮めたばねを一気に解き放つように。

通常の人間の52倍の筋密度を持つ若槻が、筋肉を体の中心に目いっぱい収縮させ、一気に解き放った。

伝統派空手におけるノーモーションの逆突きに似たこの技を、若槻は『爆芯』と呼んだ。

 

天才、愚地克己によって放たれた左正拳は――――

存在しない想像(イメージ)による無数の関節で加速され。

加速され。音の壁すらも超える。

近代体育の粋であるこの技を、克己は『マッハ突き』と呼んだ。

 

 

 

ドガァッ!!!

 

「なんだッッッ!!」

「どうなったッッッ!!!」

「いねえぞッッ!!」

 

マッハ突きと爆芯。

お互いの最強と最強をぶつけあった二人は――――

 

「よし…」

 

お互いの胸を捉えて吹き飛び。

 

「…」

「…」

 

道場の壁にぶち当たって気絶していた。

 

「それまで」

 

武神の呼び声も夢の中の闘士達には届かず。

 

「ダブルノックダウン…ッッ!!??」

「引き分けだッッ!!!」

「バカヤロウッッッ!!そんなこと言ってる場合かッッッ!!!早くお二人を医務室にッッッ!!!」

 

これにて決着!!

 

 

 

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