屋上へと来てみれば米崎と…誰だ? 見る限りゼットンと呼ばれる男じゃない。ただの小太りデブ、…何者だ? 謎の小太りデブを不審に思いながら挨拶をすれば、
「よーよー! 俺を、この俺亜久津金次を無視すんな!」
小太りデブが絡んできた。…アクツキンジ? …知らん。原作にいたか? 小太りキャラなんて。
「………全く知らないし、挨拶をする程の人ではないと思ったんで。…米崎先輩とかのパシリか何かッスよね?」
そういえばアクツとかいう男は怒り出し、米崎は腹を抱えて大爆笑。…違ったのか?
米崎が笑い終わるのを待ち、ゼットンは何処かと聞いてみれば指を俺に指してくる。そこで気付いた、…原作で月島がやられていたことを思い出す。振り向いたら拳が飛んでくる、そういうわけだな? …気付いてみれば何てことはない、後ろに気配を感じるわ。さて…、どんなもんかな?
俺は振り向きながら身体の軸をずらす。案の定…拳が飛んできたが余裕で避けて…、お返しと言わんばかりにこちらからも拳を突き出す。俺の拳をゼットンは避けるが俺は止まらねー、続け様に拳を振るい…最後には蹴りを一撃。最初の拳は全て避けられたが、最後の蹴りは避けられないようで…。
「…どわっ!?」
ガードごとゼットンをぶっ飛ばす。…チッ! 仕留められる程弱かねぇか。
俺は構えを解かずにぶっ飛んだゼットンを見据える、俺の動きに米崎とアクツは…、
「「……!!?」」
言葉も出ないようだ。ゼットンはというと、直ぐに起き上がり俺をジロリと睨む。俺も負けずに睨み付け…、
「…これが三年の洗礼ってヤツッスか? 俺…加減出来ねぇんですけど、……いいッスか?」
少しの生意気発言。さて、ゼットンはどんな反応を見せる? 腹を立てて襲い掛かってくるか? それとも……。
俺の生意気発言を聞いたゼットンは、一瞬…きょとんとしてからニヤリと笑って、
「…言うねぇボウズ、なら…とことんまでやってみるか?」
…マサ先輩ばりに短気なんじゃねぇか? この人。だがまぁ…やり合いたいって気持ちの方が高いわけで、…構えた拳に力が入っちまう。向こうから仕掛けてきたんだ、…正当防衛だよな?
一触即発の俺達の間に、
「ちょっと落ち着けゼットン! 龍光寺、お前もコイツを挑発すんな!!」
米崎が入ってきてこの場を納めようとしてきた。…その言葉を聞いた俺の方は納まった、ちょいとばかし残念だったが。ゼットンの方は、
「えっ、…何? 冗談だよ? …本気でやり合おうなんて思う筈ないじゃん!」
とか言いながらも青筋を立てとるがな、…本気だったんじゃんこの人。
ゼットンが落ち着いた所でこの人にも挨拶をした。…青筋消えとらんし、どんだけ根に持つんだよ…この人。面倒だからポケットに入れていたツマミを渡せば上機嫌になり、その後は普通に三人…いや四人で会話をした。ある程度の時間が経ち、この場から去ろうと立ち上がれば米崎が、
「…龍光寺、お前はあの男に挑む…なんてことをしたりするのか?」
と聞いてきた。あの男…、たぶん花木九里虎のことだろう。いずれは挑む、それは確実だが今ではない。だから、
「…俺よりもやり合わなきゃならない男がいるでしょう? …番長を目指すのなら、一度ぶつからなきゃならない。」
その答えに米崎は頷き、ゼットンもそれに同調する。……アクツは知らんけど。
「お前もそう思うか? …となるとどうぶつけるかだな。」
………もう少し残ってその話に加わろう、原作通りの出会いの為に助言をば…。