俺のWORST物語   作:ユキユキさん

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閑話 ~鈴蘭の先輩方《その1》

ーブッチャーー

 

一年戦争優勝者である月島花の名が広がる中で、同じく一年で一年不参加の龍光寺由紀也がわしの所へ挨拶をしに来た。この男の噂は聞いとる、中学の時から相当腕を鳴らした猛者だ。頭の方もなかなかにキレているようで、岸中の猟犬…そう呼ばれとるらしい。秀吉の旦那達とも繋がりがあるらしく、今年の一年最大の大物であることは確かだ。

 

一派を立ち上げたと奴は言うが、事前に深町が察知しとったから別に驚くこともなかった。敵か味方かっちゅーたら、味方よりと考えてもいい。奴自身の強さは噂でしか知らん、いずれこの目にその強さを見る時が来るかと思う。

 

力自慢のわしは最後に、握手にてわしの力を見せ付けようとした。…が逆に、奴の力をわし自身で知ってしまったわけだが…、噂は本当かも知れんのー。月島花と比べるにしても奴は強い、わしもうかうかしとられん!

 

 

 

 

 

 

龍光寺の奴が帰ってから暫くして、奴の一派を調べていた深町が戻ってきた。戻ってからの最初の一言は、

 

「龍光寺一派はデカい、ウチよりもデカいぜブッチャー! …野間の旦那達が入るってーのは分かっていた、しかし一年の半数以上がこぞってその下にだぜ? …入ってばかりの一年がこうも担がれるか? …これは侮れねー。」

 

引きつった顔でそんなことを言ってきた。…わし等以上!? …マジでか!? …そりゃ確かに侮れねーわい。

 

「一年の半数以上、二年は約二〇人、三年は約一〇人。…鈴蘭の勢力図が変わっちまった、これであの月島もとなるとなかなかに厳しい道になるわな。…どうする? ブッチャー。」

 

深町らしからぬ弱気発言に気を引き締める、コイツがこうなるってことは相当ってことだからな。

 

わしは目を瞑り考える、…が結局は、

 

「変わることはねー、わし等はわし等らしく突っ走るんじゃい! 逆に燃えたぎっとるわい!!」

 

いつも通りが一番ってこと、深町の奴も笑って頷いたしな。この鈴蘭も更に面白くなってきたのー!

 

 

 

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ー岩城軍司ー

 

龍光寺由紀也、コイツには色んな武勇伝がある。その中でも龍光寺を語る上でまず挙がるのが、小学生時に格上である筈の中学生をぶっ飛ばしたという話だろう。中学生を無傷で圧倒、その頃から龍光寺は輝いていた…ということだろう。…まぁやられた中学生がマサってーのには笑った、笑い事じゃねーと怒鳴られたが。

 

後はあれだ、めちゃくちゃ美人な彼女がいるってヤツ。秀吉とマサは顔見知りらしく、かなり出来た娘らしいんだわ。そんな出来た美人の彼女を前に、龍光寺と一年の実力者である迫田は頭が上がらないのだとか。…あの野間ですらその彼女にはたじたじとのこと、…天使には逆らえねーとか何とか。マサの奴は嫉妬丸出しでキレているわけだが、……俺も同じく内心嫉妬しまくっている。…龍光寺の奴、彼女の写真を見せろと言ったら見せてくれるか? スゲー気になる、…美人の彼女。

 

 

 

 

 

 

…で龍光寺と対面したんだがなかなかどうして、一目見ただけで分かったぜ。噂通り…いや、それ以上の男であると一目見て感じた。九里虎とはちょいと違うが、似たような…不思議な感じがする。一年戦争時に見た月島とは違うが同じような魅力を持つ男、…何つーか今年の一年は粒揃いすぎて言葉も出ないわ。

 

挨拶を受け入れてみれば一派を立ち上げたようで、先達としてよろしくと頭を下げてきた。礼儀がある分、九里虎よりは話の分かる奴であるのは確実だな。月島について聞いてみても、興味深いと一言だけ。…いや、自らを壁にして立ちはだかる気満々だ。…この男は面白い、素直にそう思った。

 

 

 

 

 

 

龍光寺が去った後、俺は十希夫にどう思ったか聞いてみた。すると…、

 

「…あいつ、…やばいッスね。全然スキがない、…俺じゃー相手にもならないッス。」

 

自分よりも格が上であると認める発言、…九里虎には噛み付いた癖に龍光寺にはその気がないようだ。…後は月島だな、直に言葉を交わしてみてだな。…フフフ、今年はこの鈴蘭…熱くなりそうだ。


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