俺のWORST物語   作:ユキユキさん

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閑話 ~鈴蘭の先輩方《その2》

ー加東秀吉ー

 

今年の鈴蘭は騒がしくなる、…俺はそう確信している。それは何故か? …答えは簡単で、中学で派手に名を売りまくったあの男が入ってくるからだ。…龍光寺由紀也、岸中の猟犬と呼ばれ恐れられる男。そして初めて俺が素直に実力を認め、当時イケイケのマサに初めて土を着けた男。その男が鈴蘭に入ってくるんだ、…何か起こるに決まっている。

 

…で始まった一年戦争、由紀也はこれに参戦をせずに帰ったらしい。由紀也に小さくない額を賭けていたマサは白くなって倒れている、初っ端からやりやがったな? あいつ。本命である由紀也に賭けていた奴等の悲鳴が聞こえてくる、……因みに俺は賭けていない。たぶん出ないだろう、…そう予想していたし。…というか、野間達が由紀也達と祝いも兼ねて遊び倒すと言っていた。それを聞いていた癖に賭けるなんて、…本当にマサはバカだな。

 

 

 

 

 

 

一年戦争を制したのは月島花、…番長宣言といい話題に事欠かない。その月島を中心に周囲がざわつく中、由紀也の奴が俺の下へと挨拶をしに来た。絡むマサを難なく退け、自分の派閥を作ったからよろしくと言ってくる。既に知っていたことではあるが、野間達と共に龍光寺一派か…。この短期間で鈴蘭が大いに熱くなっている、退屈していた俺にはありがたいことだ。

 

最後に、由紀也は何かあったら力を貸すと言って出ていった。本来であれば生意気な発言に一言言うんだが、確かな実力を信頼している俺はその発言を素直に受け取った。マサはブツブツ言ってはいるが由紀也を認めている、認めてはいるが…ってヤツだな。…大半が妬みだと思うが、…まぁいいだろう。

 

さぁ由紀也、お前はこの鈴蘭で何をする? 俺は期待しているんだぜ? お前のこの先を…。まぁ鈴蘭は月島を中心に動くだろうが、この街全体を考えれば由紀也が中心になるだろうと予想している。…この街は、既に猟犬のテリトリーだもんな?

 

 

 

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ー米崎隆幸ー

 

鈴蘭に大物が入ってくる、俺の耳に入ってきた噂だ。聞いたことのある岸中の猟犬という異名、武装戦線とも関わりがあるらしい。それに、…萬侍帝國にも顔が利くとか。…そんな噂を持つ大物、龍光寺由紀也がこの鈴蘭に来る。それが本当ならば、この鈴蘭…大いに騒がしくなる。

 

噂通り入ってきた龍光寺、ゼットンがめちゃくちゃ気にしていた。コイツは何だかんだで喧嘩バカだからな、噂通りか否かを試したいんだろう。実力を試す機会はその内来る、それまでコイツを抑えられるかどうか…。

 

 

 

 

 

 

一年戦争優勝者、月島花。…月島を中心にざわめく中であの男が動いた、龍光寺が予想通りに三年の野間と二年の伊東達を入れて派閥を作ったのだ。聞くところによるとかなり大きな派閥とか、…三大派閥から四大派閥になるか。いや…確か秀吉とはそれなりの関係を持っていた筈、将来的には一つになるってこともあり得るな。

 

派閥が出来て程なく、龍光寺が挨拶巡りをしていると知った。試したがっていたゼットンを隠れさせて、俺と金次で龍光寺が来るのを待つ。赴いてきた龍光寺に笑わせられて、その後にゼットンの不意打ちから始まったやり合い、…俺は言葉を失った。

 

ゼットンの不意打ちを難なく避けてからの反撃、そしてぶっ飛ばされたゼットン。確かな実力で名を轟かせているゼットンを!? 俺は龍光寺が噂以上の男であるとこの目で見た、…九里虎に匹敵するんじゃねーか?

 

 

 

 

 

 

本気でやり合いそうな二人を止めて軽く話してみれば、この龍光寺という男は大物であると認めるしかないってことを知った。それに九里虎へ挑むべきは自分ではなく月島、そう言い切ったコイツは頭も相当のものだ。…自分だってやり合いたいだろうに、…こりゃあ敵わないわ。

 

…それから龍光寺を含めてどうするかを考えれば、ゼットンが実力を試してから嘘を吹き込みやり合わせるのが一番ということになった。この短期間で月島の性格を把握していることに脱帽、…こりゃ本当に敵わねー。


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