俺のWORST物語   作:ユキユキさん

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閑話 ~武藤 蓮次《その1》

花が一年戦争を制した。そして俺は、その花の実力と人柄に惹かれた。…俺と同じように迫田も惹かれたようで、俺と迫田は花を鈴蘭の番長にすべく行動することにした。手始めに実力者を…とのことで、一年戦争に参加した奴等に声を掛けることにした。

 

呼び出したのは八板と尾崎、そして何故かいた村川。この三人に俺達の考え、…俺達の目指すモノを語った。月島花を鈴蘭の番長にする、その目標に三人は快諾。しかし八板が一言…、

 

「…この話に乗ったのはいいんだがよー、…龍光寺は誘わねーのか?」

 

と、…それに同調した尾崎と村川。それについて迫田が…、

 

「…由紀也は誘えねー、何せ自分の派閥を立ち上げやがったからな。…言うなら、極めて敵に近いってところか?」

 

そう言った瞬間、龍光寺を知る三人は…、

 

「「「………げぇっ!?」」」

 

思いっきり仰け反って顔を強張らせた。…まぁそうなるよな? 俺も正直…戦いたくはない。

 

 

 

 

 

 

秀吉一派とブッチャー一派が小競り合いをしている中、俺達は今後について語り合う。俺達が団結して花を助けるってことは、当分…花自身にも秘密にすることで一致。そして今は情報収集に全力を、俺達はこの鈴蘭に来てから日が浅すぎる。誰が敵か、そして味方となるのか見極めねーと。急いては事を仕損じるってことだ、……理解しているよな? お前ら。

 

やるべきことが定まった、しかし迫田は難しい顔をしている。…龍光寺のことを考えているんだろう、…幼馴染が敵になりえるのだから。普段の生活は今まで通りにせよ、何かあったらやり合うことは確実。気持ちは分からんでもない、だが…、

 

「…迫田、龍光寺だけを気にするな。…他にもいるだろう? 得体の知れない男がよ。」

 

他にも気にしなきゃならねー奴がいる。

 

「………藤代か。」

 

そう、梅星一家に下宿している兄弟。…天地のことも知っているようだしな、…あいつは何者なんだ?

 

 

 

 

 

 

解散した後に寅と鉢合わせ、花がブッチャー達に挨拶をしに行ったと聞いた。俺の何気ない呟きが寅を傷付け、それを宥めるのに苦労したわけだが…。花の奴、…大丈夫だよな? 人が良いから変なことを吹き込まれなきゃーいいけど。

 

その後…再び迫田達と合流した時、あの男が現れた。

 

「…龍光寺と、……猪瀬だったか?」

 

一年戦争に参加せずとも確かな実力者、龍光寺由紀也。天地にやられたにしても迫田並の実力者と言われている男、猪瀬浩。その二人が俺達の前に現れ、

 

「…既に知っているとは思うがよ、俺はこの鈴蘭で一派を旗揚げしたんだわ。俺の横にいるのが一年顔役の猪瀬浩、…お前達とは長い付き合いになる。…猪瀬共々、一つ…よろしく頼むぜ。」

 

律儀に挨拶をしてきた。…龍光寺がただ挨拶をしに来たなんてあり得ない、何かある筈だ。

 

睨み合いとはいかないが、妙な緊張感が俺達の間にある。そんな中でやはり口を開いたのが…、

 

「武藤に八板、尾崎に村川、そしてタケ。月島を番長にする為につるんでいるんだろ?」

 

………!!? 何でそれを…!? と思ったが、コイツは猟犬だからな。何処にでも目はあるし鼻も利く、それにかなりのキレ者だ。現に…、

 

「…月島なら見たぜ? ある男とやり合う為に鈴蘭を飛び出して行ったよ、番長を目指す上で絶対に避けられねー男の下によ。」

 

と言いやがった。それを聞いて誰の下へ行ったのかを悟った、…花は花木九里虎の下に!!

 

「…感謝しろよ? 早々に出会うよう仕向けてやったんだからよ。」

 

…龍光寺由紀也、…やはりコイツは強大な敵だ。


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