俺のWORST物語   作:ユキユキさん

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閑話 ~迫田 武文《その2》

一年戦争を制した月島花を鈴蘭の番長にすべく、信頼の置ける実力者に声を掛けることにした俺と蓮次。勿論…由紀也にも声を掛けようとしたんだが、

 

「…タケ、俺は派閥を立ち上げることにした。周りに推されたってーのもあるが、やりたいことをする為には派閥が必要であるってーのに気付いてな。…一応聞くけどよ、…お前はどうする?」

 

派閥を立ち上げる、…それを聞いた瞬間に由紀也は敵になりえると確信しちまった。…花を番長にする、その為にいずれはやり合う。…そう思ったってーことは、由紀也の誘いに乗る気がないってことになるよな?

 

自分の気持ちに嘘を吐ける筈もなく、由紀也の誘いを断った俺。そんな俺に由紀也は、一瞬だけ顔を歪め…、

 

「…そうか、分かったぜ。…こうなることは予想してたけどよ、…わりと複雑な気持ちになるもんなんだな?」

 

そう言って笑みを浮かべた。俺に背を向けて立ち去る時、

 

「…これで俺達の関係が終わるってーのはなしだぜ? コレはコレってヤツだ。…そこんとこよろしくな?…タケ。」

 

由紀也は確かにそう言った。…俺だって終わらせる気なんてねーよ、コレはコレってことぐらい分かるわボケ。

 

 

 

 

 

 

八板、尾崎、村川を加えた俺と蓮次は密かに花一家を結成、最初の仕事は情報収集ってことになった。鈴蘭のことは八板達に任せることにして、俺と蓮次は梅星一家の兄弟である藤代を調べることにした。その矢先に俺達の前に現れたのが由紀也、そしてその一派に加わった猪瀬だった。

 

妙な緊張感の中で由紀也が言った言葉に驚愕する、…由紀也は俺達のことを既に知っている。そして花を…、花を花木九里虎の下へと誘導したってーことにも驚かされた。番長になる為には絶対に避けられねー存在、それは俺にだって分かっていた。しかしこんなに早くぶつかることはねーと思っていただけに、ただただ驚くことしか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

その夜、梅星一家にて花が、

 

「花木九里虎ってスゲー人だな、手も足も出なかったよ! …聞いた話とは違っていたけど、実際はどんな人なのかな?」

 

顔にバンソウコーを貼りながら、いつものニコニコ顔でそんなことを言う。花的には花木九里虎と出会ったこと、かなりのプラスになったようだ。…由紀也の奴、これを見越して二人をぶつけたんだろうか? …あり得るからコエー。

 

 

 

 

 

 

…で次の日、街で藤代を見掛けた俺達。悪いと思いながらも後を付けていけば、誰かと外れの方で話し込んでいやがる。…丁度いい、話相手を見れば藤代がどんな奴か見えてくる筈。蓮次がそう言ってきたから近付いて…、

 

「拓海ーっ! ……っと明じゃねーかよ!?」

 

藤代と話し込んでいたのは兄弟分の奈良明だった。…ということは、藤代は武装と繋がりがあるってことか?

 

とりあえず俺は明に聞いてみた。

 

「明…、お前…拓海と知り合いだったのか?」

 

と聞けば、明の奴も目を丸くして、

 

「いや…武文、お前こそ何で拓海を知ってんだよ…。ん…? そういえば下宿するって言っていたけどよー、…同じ所か?」

 

と逆に聞き返してきた。…まぁとりあえず、

 

「「拓海ーっ! 説明しろやっ!!」」

 

藤代に説明を求めるのが一番だ、明も同じことを考えたようで声がハモった。

 

藤代が言うには、武装の村田将五とはガキの頃からの付き合いだとか。武装に誘われてはいるが、今のところその気はないそうだ。明の方もとりあえずは納得している、俺達と藤代の関係が下宿先からだということに。

 

納得した俺と明に藤代が逆に聞いてきた。

 

「お前達はどういった関係なんだ? …接点なんかないだろーに。」

 

その問いに蓮次も同調、だから言ってやった。

 

「「由紀也も含めて、俺達は兄弟分よ!!」」

 

俺と明、そして由紀也が兄弟分。そのことに驚く藤代と蓮次、…そこまで驚くもんなのかね?


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