俺のWORST物語   作:ユキユキさん

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第10話 ~俺、…の先輩がヤラかした。

…知らせを受けて素早く動いたつもりだが、結局マサ先輩は鳳仙の奴にやられてしまった。連絡を受けた俺は、

 

「…すいません、秀吉先輩。ウチの野間が鳳仙をやったばかりにマサ先輩が…、ケジメ付けますんで…。」

 

秀吉先輩に今回の経緯を説明し、深々と頭を下げた。そんな俺に秀吉先輩は…、

 

「お前が悪いわけでもねーし、…野間が悪いわけでもねー。鈴蘭を舐められちまったからにはやる、野間の判断は悪かねぇがしかし…。」

 

野間先輩の行為を不問にした、しかし…握る拳に力が籠っている。…怒りが湧いているのだろう、…そこは俺も同じだが。

 

「…マサを、…家族をやられたからには黙っているわけにはいかねー!!」

 

…久々に本気となった秀吉先輩を見た、伊達に狂犬と呼ばれちゃいない。

 

怒りに震える秀吉先輩に俺は言った。最低限の詫びも籠めて…、

 

「…秀吉先輩、マサ先輩を襲った奴等の足取りは掴んでいます。せめてもの詫びとして、…そいつ等の下まで案内させてください。」

 

秀吉先輩のことだ、一人で(かたき)を討ちたいことだろう。俺はサポートに回る、…それが最善だ。

 

「…ああ、手出しは無用だ由紀也!」

 

俺は素早く数人に電話をして奴等の行方を確認、秀吉先輩と共に行動を開始した。

 

 

 

 

 

 

マサ先輩を襲撃した奴を含めた鳳仙の面々、そいつ等をあるトンネルで捉えた。俺は派閥の奴に指示を出してその退路を断ち、秀吉先輩に鉄パイプを渡す。

 

「…奴等は袋の鼠です、存分にやってください。」

 

手渡された鉄パイプを強く握り、俺の肩をポンッと叩いてから足を踏み出す秀吉先輩。俺はその背を見ながら考える、…これからのことを。

 

これを機に鳳仙が動き出す、月光兄弟を中心に。…秀吉先輩を除いた三年が襲撃され、鈴蘭に在籍する奴等の多くもやられる。まさに電光石火、殺し屋鳳仙といった手腕である。…が、今年はこの俺がいる。奴等を無傷で終わらせるわけにはいかねーし、せめて派閥の奴等だけは守らねーと。…否、…逆に狩るってーのも面白いか。

 

そんなことを考えている間に、秀吉先輩は一人で奴等を制圧。見ていたけど流石は狂犬、容赦なく奴等をぶちのめした。肩で息をする秀吉先輩に近付き…、

 

「…お疲れ様です、秀吉先輩。さぁ…病院へ急ぎましょう、容態をこの目で見なくては。」

 

そう声を掛けて、秀吉先輩と共に病院へと急ぐ。その途中で俺は、派閥の伊東先輩と川尻先輩に連絡をした。鳳仙を狩る、…それだけを言えば直ぐに動いてくれる。

 

 

 

 

 

 

 

病院へ行って容態を聞いてみれば、骨などには異常がないそうだが暫くの入院が必要とのこと。それを聞いて安心した俺達が外へと出れば、岩城と米崎がいて警告されたわけだが、

 

「…先輩方も気を付けてくださいよ、鳳仙を甘く見ないように。」

 

逆に俺の方からも警告をさせて貰った。…どう転ぶかは分からんけども、一応はしとかないとな。つっても先輩方は平和ボケしちまってるし、…たぶんヤラれるんだろうな。まぁ祭りみたいなもんだと考えればいいか、…逆に楽しんでやるぜ。

 

先輩方と別れた俺は、派閥の幹部とそれに準ずる奴等と合流。そして、

 

「…明日、鳳仙が動く。永田駅にて鳳仙のハゲ共が待ち伏せているだろう、…俺達はそれを狩るぞ。元を辿れば俺達が原因だ、…マサ先輩への詫びとして一人も逃がすなよ。」

 

俺がそう言えば全員が気合を入れる。その中でも原因を作った野間先輩が一番、気合が入っていた。


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