俺のWORST物語   作:ユキユキさん

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閑話 ~集まった奴等《その1》

ー武藤蓮次ー

 

三年の先輩方と龍光寺が計画したらしい抗争の決着、その場所に選ばれたのが天狗の森。朝早くだっていうのに俺達を含めて多くの男達が集まっている、…多少の緊張感が漂う場所の筈なんだが…、

 

「こんな(とこ)でおにぎり食ってんじゃねーよ!」

 

迫田が叫んだように、俺達月島一家に緊張感というものがない。花は勿論、八板と村川は仲良くマリ姉のおにぎりを食っている。…ギラギラしている中でのほのぼの感、…ある意味異様だ。

 

花達は放っておいてだ、…俺は周囲を観察する。どいつもこいつも、…今か今かとその時を待っている。隣の尾崎もよく集まったと驚いてはいるが、俺としては当然であると思っている。ここにいる奴等は全員、無駄に血が多すぎる。血が多すぎて、たまにこーやって抜かねーと腐っちまう。…そんなもんなんだよ、俺達っていう存在は。こうして見回してみりゃー一目了然、どいつもこいつもそんな(つら)してるじゃねーか!

 

…で立会人が登場して場が盛り上がる、大物…中島信助。まさか立会人としてこの場に出てくるとは、…鳳仙も粋な計らいをしやがるぜ!

 

 

 

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ー河内鉄生ー

 

俺は丘の上公園の第二駐車場に原チャリを停め、大きな欠伸をする。普段の俺ならこんな朝っぱらから行動なんてしねー、未だ夢の中にいる筈だ。しかし、何かしらの面白いイベントがあるのなら別である。…今日この公園にある天狗の森にて、鈴蘭と鳳仙の大規模な喧嘩があると聞けば早起きするのも当然。ましてや、由紀也の彼女であり俺が妹分として可愛がっている透のお願いだ、…断るなんて選択肢はねーのである!

 

無駄にテンションが高い俺は軽いスキップで待ち合わせ場所へ、…そこには俺的超絶美人の妹分で由紀也の彼女、

 

「あっ、…鉄生さん!」

 

透が俺に向かって小さく手を振りながら近付いてくる。うん…今日も可愛い、この娘は俺が育てた! 早起きは何ちゃらの得っていうけど本当なんだなー、今日は良いことがありそうだ。

 

 

 

 

 

 

喧嘩がよく見えそうな場所に二人で陣取りその時を待つ、…飯を食ってきてねーから腹へった。そう思っていると、出来る妹分である透が今回のお礼として…弁当をくれた。俺はそれに感動し涙する、…食えば美味すぎて言葉も出ない。そして更に、ゲストとして中島のおっさんまでもが登場とかって! ビビる程の幸運に内心驚く、…何なんだ今日はよー!!

 

 

 

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ー中島信助ー

 

遠くへ引っ越した俺の下へ、かつて競い合った金山丈が訪ねてきた。鈴蘭との揉め事に対し、月光兄弟からの苦言。…所謂愚痴ってヤツを聞かされた、だから俺は言ってやったんだ。喧嘩すんのが怖ーなら始めから突っ張んな、花火を上げるのなら今の内だぞってな。そう言えばスッキリしたような顔をする丈、そのまま帰っていきやがった。…後日、俺は丈に再び呼び出された。

 

 

 

 

 

 

鈴蘭と鳳仙の抗争、その決着を見届ける立会人として呼び出された俺。…そういう理由であるのなら、呼び出された甲斐があるってもんだ。丈曰く、合図を出したらコレで飛び出して来いとロープを渡された。そうした方が目立ってカッコイイ、……ならやってやろうじゃねーかと合図を待つ。

 

…で合図を受けて飛び出してみりゃー高すぎだ! そのまま地面に落ちて腰を強く打ちつけた。凄まじくイテー、…そして恥ずかしい! 目立ってカッコイイではなく、目立って赤っ恥をかいちまった。…クソ! 丈の口車に乗らなきゃよかったぜ!

 

 

 

 

 

 

痛みが引き、落ち着いた俺はまず丈に文句を言う。次に秀吉と絡んだ後に…、

 

「勝負は五対五! 各校一年一人、二年二人、三年二人! …五対五のタイマン勝負だ!」

 

そう叫んだ。俺が仕切るんだ、十分…楽しませて貰うぜ?


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