ー河内鉄生ー
鈴蘭に単身乗り込んだ時に喧嘩を売ってきた男、黒澤の奴がなかなかに良いタイマンを見せてくれた。刃物を持ったバカに言った言葉も良い! やりやがるな、…あの野郎!
そしてブッチャーと月本光義のタイマン、手に汗握る…熱いタイマンだった! 最後にブッチャーの背負い投げ、ボロボロの状態で投げられりゃー一溜りもないわな! …なかなかどうして、本当に今日は来て良かったぜ!!
隣にいる透も楽しんでいるようだな、喧嘩が苦手とか言っているが由紀也の彼女だけある。さて、次は三年同士のタイマンに移るわけだがどうなるんだ? …鈴蘭の怪獣王がいねーけど。そんなことを考えていると、何処からともなく聞こえてくる着信音? 誰のだ…っていうか透しかいねーわ。透の方を見れば、
「…ユキ君の携帯、…あっ、野間さんからのようです。」
由紀也の携帯を持っていたのかよ。どうしようかと悩む透に俺は言った。
「由紀也は向こうだし、とりあえず出ればいいじゃねーか。内容聞いてからどーするか、…決めればいいと思うぜ?」
透は俺の言葉に従い携帯に出る。普通に話しているみたいだが、…知り合いなんか? …え、…中学時代の先輩?
…話し終えた時に内容を聞いてみれば、怪獣王は今日の朝方…階段から落ちて骨折したらしい。そん時に自分の携帯をぶっ壊し、連絡出来ぬままに病院へ。先程治療を終えて、病院の電話から連絡してきたとのこと。何やっているんだ? …あのおっさんは。
骨折の為に不参加、そのことを知らせないといけない。透はそう言って由紀也の携帯から誰かに連絡しようとするが、…俺はそれを止めた。怪訝な顔をする透に俺は、
「…怪獣王の代わりに由紀也を戦わせる案を思い付いた。…透も由紀也のタイマン、それを見たいよな?」
そう言えば大きく頷く。…なら、由紀也に戦って貰おうじゃねーか。それには透の協力が必要だ、…注目を浴びることになっても大丈夫だよな?
とりあえず思い付いた案を透に話し、了承されたから行動を開始する。案っていうか作戦っていうか、ただ単純に奴等の方へ向かうだけ。それも鳳仙よりの方からな! 由紀也のことを詳しく知らないだろうから見れば騒ぐだろう、透のことを知らないだろうし俺もいるし。ケケケ…、どうなるのか楽しみだぜ!!
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ー金山丈ー
真島に続き光義までもが負けた。これでわし等の三敗、流石は鈴蘭じゃのー。予想通りの展開だからわしは気にならんが、光信以下…殆んどの奴等が呆然としている。自分達こそが最強と驕り高まっていたんだ、良い薬になるんじゃなかろうか?
「…元々お前等が望んだ事じゃろーが。…悔しいがのー、鈴蘭は鳳仙より上っちゅー事じゃ。」
そう言えば光信は膝を付き項垂れる、他の奴等も同じように。…はぁ~っ、…何だか情けないのー。
わしは項垂れる光信に対して、
「…立て! 胸を張れ! まだわしとお前が残っとるじゃろーが! 後輩共に…光政に…、鳳仙の喧嘩ってもん見せるんじゃろーが!」
その言葉を聞いた光信は、目を見開いてから静かに立ち上がった。…そうじゃ、それでいいんじゃ。勝つだけが全てじゃないんだぜ? 負けて得るモノもあるっちゅーこっちゃ!
光信も立ち直ったし、そろそろ次へ行くかのー。そう思った時に響いたのは、
「ぶ…武装の河内鉄生が現れたぞーーーっ!! 隣に美人も連れてーーーっ!!」
と言う叫び声。…武装の河内鉄生? …