俺のWORST物語   作:ユキユキさん

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第13話 ~俺、…が四戦目の代表に?

月本光義を豪快にぶん投げ、勝利の雄叫びを上げるブッチャー。その後…、白目を剥いてぶっ倒れたが俺達鈴蘭の三勝目。…ここまでは原作通り、そして次が問題である。四戦目の代表がまだ決まっていないんだよ、…野間先輩が来なくてね。

 

そのせいで俺達鈴蘭は揉めている、…誰が代表となりタイマンをするのかと。名乗りを上げていたゼットンは怪我の為無理、その他の先輩方も難しい。ならば俺がと一年二年の奴等が騒ぎ出す、…原作では九里虎が現れるんだけど。

 

そんなことを考えていると、…最悪な情報が俺の耳に入ってきた。武装の河内鉄生、美人と二人でこの場に現れる。…何てことしてくれてんだあの人は! 何故に現れる、そして何故に透を連れてくる! そんなことをしたら荒れるぞ、…俺の周囲が!!

 

 

 

 

 

 

堂々とこちらへ向かってくる鉄生さんと透、その視線は俺に固定している。…やはり俺なのか? 何て考えている俺の周囲…はそれほどではないにしても、それ以外…鳳仙側も含めて殺気立っている。原因は鉄生さん、…鉄生さんが女連れで現れたことに殺気立っているのだ。…まぁ、ここにいる奴等はモテないもんね?

 

そうこうしている内に二人はこちら側へ、そして…、

 

「よーっ! 鈴蘭のアホんだら諸君、朝から元気だな!」

 

と挑発するように挨拶をしてくる鉄生さん。当然…、

 

「てめーっコラ鉄生! 何じゃい隣の美人はっ!!」

 

「エテ公! 何でお前が女連れなんだオイッ!!」

 

「自慢か? 自慢なのかコノヤロー!!」

 

いつの間にか復活していたブッチャーやゼットン、岩城を中心に怒号を上げていく。そんな怒号を涼しい顔で流し、こちらを見てニヤリと笑った。…まさか!? と思った矢先、

 

「勘違いすんなや、この娘は彼女じゃなくて妹分! この娘の彼氏はそこにいる、…龍光寺由紀也だ!!」

 

とぶっちゃけやがりました。怒りを鉄生さんに向けていた全員が俺の方へ向く、…凄い形相ですね? 皆さん。…狼狽える俺の肩を、透のことを知っている秀吉先輩がポンッと叩いて目で語ってくる。……諦めろと。

 

 

 

 

 

 

とりあえずここへ来た理由を聞けば、預けていた携帯に野間先輩からの連絡が。階段から落ちて骨折、携帯もぶっ壊して約二週間は入院…ごめんなさいとのこと。本当に…何をやっているんだあの人は、…素直にそう思った。そういうことだから、野間先輩は出れない…ってことになるわけで。やはり代表はこの中の誰かから…、と思ったところで嫌な予感がした。

 

直感的に腰を落とせば、俺の頭上を鉄パイプが通りすぎた。…危ねーっ!? 驚愕する俺に、

 

「野間の代役はテメーだ! さっさと行けこのバカ!!」

 

ゼットンが鉄パイプを俺に向けて怒鳴ってきた。反論しようとしたが悪寒を感じ、横へとずれれば鉄バット。

 

「文句なんて言わせねー! さっさと行かなきゃテメーのクサレキャンタマかっ飛ばすぞ!!」

 

ブッチャーも興奮して俺に敵意を向けてくる。更に角材を手にした岩城、マサ先輩が…、

 

「…お前が強かろうと、囲んで袋にしたら一溜りもないだろ? …まぁ何だ、…行かねーとぶち殺す!!」

 

「由紀也! テメー…羨ましすぎんだよコノヤロー!!」

 

そんなことを言いながら迫ってくる。四面楚歌ってヤツか? …流石に分が悪い。チラリと鉄生さんと透の方へ視線を向ければ、二人でハイタッチしとるし。…こーなることを狙ってやりやがったな? あの二人は。チクショーめ!

 

タイマンの代表に選ばれるのは嬉しい、…がその選ばれ方が嫉妬とかっていうのは何か違う。モヤッとしている俺に対し、先輩方が歯を剥き出し…、

 

「「「「ガルルルルルッ!!」」」」

 

威嚇してきているし。……行きますよ、行けばいいんだろ!

 

 

 

────────────────────

 

 

 

ー月本光信ー

 

丈に一喝されてやる気になった俺だが、突如現れた武装の河内鉄生と見知らぬ美人のせいでやる気が削がれた。…というか殺意が芽生えた、…あのヤロー! 自慢の為にここへ来たのか!? そう考えるだけで怒りが湧いてくる、…どうしてくれようか!

 

その二人は揉め事を起こしている鈴蘭側へ行ったかと思えば、こっちにまで響く程の怒号を上げだした。見てみりゃ一人の男に対し、ゼットン達が寄って(たか)って襲い掛かっている。…何をやっているんだあいつ等は! イライラが募る俺、…舐めやがって!!

 

 

 

 

 

 

暫くしてからこちらへ向かってきたのはゼットン達三年ではなく、…龍光寺とかいうガキ! なおのこと舐めやがって! …一年を出してくるたー完全なルール違反じゃねーか! 審判である中島にそう言えば、

 

「…光信、お前あの龍光寺が怖いのか? だったらそう言えよ。『私は龍光寺という一年が怖いです、だからせめて怪我でボロボロのゼットン君にして下さい!』…そういうことなら、俺が立会人として掛け合ってやるが?」

 

とか抜かしやがった! そんな交渉されちまったら一年にビビっている情けない男と見られちまう。

 

……………クソが! 今の話はなしにしてやる。俺の優しさ(・・・)を袖にしやがって、…一年だからって手は抜かねー。…覚悟しろや! 怒りとやる気で気合MAXの俺に、氏家が頬に力強くビンタをしてきた。当然怒鳴ったが、氏家はあのガキにやられたとのことで俺に気合を注入したかったらしい。その氏家の気持ちも汲んで向かおうとしたら…、

 

「…あいつ、…マジでツエーからな! ……死ぬなよ!!」

 

……!? …つ、強いと言ってもたかが一年! …ぶっ潰してやらぁ~っ!!

 

 

 

────────────────────

 

 

 

ー龍光寺由紀也ー

 

「ノブーッ! やれー!! その一年坊をぶっ殺せ!!」

 

「気合い入れろ光信! そんなクサレリア充に負けんじゃねーぞ!!」

 

「その通りだ! 二度とイチャつけねーようにバキバキにしたれーっ!!」

 

「光信! お前こそが俺達の希望だ! …モテる男なんざ粉々にしてしまえーっ!!」

 

「透に愛想尽かされるぐらいに痛め付けろ! 光信…! お前なら出来る筈だーっ!!」

 

鈴蘭の代表である筈なのに、鳳仙よりも身内からの野次が酷いのは何故? …しかも最後のはマサ先輩だな? …後でぶっ殺してやる!! …くはははははっ、…マジで腹が立ってきた! 全てが終わったら鉄生さんと透、…二人ともしっかり話さねーと。

 

内心怒りに震えながら、横目で鉄生さんと透の姿を捉えていると、

 

「うぉぉぉぉぉっ!!」

 

光信とかいう鳳仙の代表が不意打ちのつもりで襲い掛かってきた。…見え見えだぜ? 光信さんよー! アンタに恨みはないが、…死んでもらうぜ? 恨むのは鈴蘭ウチの先輩方にしてくれよな!!

 

迫り来る拳を横回転で避け…、その勢いを利用して光信の後頭部に強烈な肘鉄を見舞う。自分を称賛したい程の一撃、現に光信は糸の切れた操り人形が如く崩れ落ちたし。…くはははははっ! あまりの電光石火な展開に、……みんな固まっていやがる! どーよ? これが俺の実力だ!!

 

歓声を上げてくれているのは俺の派閥と鉄生さん&透のみ、他の奴等は口を大きく開けて固まっているだけ。まぁそんなこたーどうでもいい、…今の俺にはやらなきゃならねーことがある!

 

「政成ーーーっ!! ぶっ殺してやるっ!!」

 

そう叫んで俺はマサ先輩目掛けて走る。俺の叫びを聞いたマサ先輩は…、

 

「何で俺の野次だけ正確に聞き取ってんだよ! …しかもマジギレしてやがる、ヤベェ…殺される!!」

 

そう言って逃げ出した。…逃がさねーからな、小林政成!!


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