ー龍光寺由紀也ー
よろけながらも秀吉先輩が立ち上がり、キングジョーは仰向けのまま動かず。誰が見ても秀吉先輩の勝利、…最後の最後にやったじゃないかと思った。満身創痍の勝利、俺の知る中で最高のタイマンであったと言える。…全部見ましたよ、焼き付けさせて貰いましたわ。
立ち尽くす秀吉先輩の下へ行こうと思った時、
「「「「「うぉぉぉぉぉっ!!!」」」」」
氏家とかいう奴を先頭に、鳳仙の奴等が無粋にも突っ込んでくる。…立会人のルールを無視しての暴挙、…キングジョーも可哀想な人だよな? 下の者達がこんなんじゃー堪ったもんじゃねーわ。…だが、そっちがその気なら、
「クソハゲ共がルールを破ってからに! ぶっ殺す!!」
「せっかくの勝利に水を差すんじゃねー! ツルッパゲのバカ共が!!」
ぶつかり合う両校の奴等を見てタメ息を一つ、そして当然ながらこの俺も……、
「…よくもまぁやってくれたな、…粉々にしてくれるわ!!」
拳を握り締めて突っ込んでいく。ハゲタカ共がっ! ぶっ潰してやる!!
雨の中を暴れまくった後、俺は頃合いを見て帰ることにした。単純に飽きたってーのと、秀吉先輩を送り届けようと思ってな。…流石の鳳仙もズタボロの秀吉先輩を襲うようなことはしなかった、そこは評価出来るわな。肩を貸して最寄りの駅へと歩き、バイクにニケツして帰ったよ。
…勿論俺の家、姉貴に秀吉先輩を預けたってわけ。ズタボロの秀吉先輩を見た時、
「…何だその怪我!? …喧嘩? …強敵に勝利した名誉の負傷? …ふ~ん、まぁそれよりも先に手当てをしないとね♪」
めっちゃ驚いていたがすぐに笑顔となって引き摺っていった。…愛されとるねー秀吉先輩、良きこと哉。
…さてと、今日はこのまま学校をサボるとしますか。朝のアレでお腹一杯だからな、…それがいい。
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第三次鈴蘭・鳳仙抗争から暫く経ち、とりあえず平穏である。マヌケをやらかした野間先輩も来たしな、…松葉杖姿だったから爆笑しちまったよ。まぁキレることを期待してたんだけど、…めっちゃ落ち込み始めたから罪悪感ハンパないけど。…それほど喧嘩したかったんだな、…この人。
後…鉄生さんにも鉢合わせてね、ヘラヘラしていたから取っ捕まえて投げ飛ばしたよ。橋の上から川へね、…いい気味だわな。
因みに透にもお仕置きをしたさ、…と言っても鉄生さんみたいに川へ投げ飛ばしたりはしない。女の子だからね、手を上げずに暫くの間…無視をしただけ。…それだけだったんだけど、透的にかなり堪えたみたい。自宅へ泣きながら謝りに来たわけよ、………何か悪いことをしたなーっていう罪悪感が。
そんな日々の中で、
『…由紀也、…お前に聞きたいことがある。』
という連絡を貰った。…武装戦線の副
内容を聞けば驚いたよ、五代目
…で聞きたいことっつーのは良い病院を知らないかってこと。…病院ねー、…病院かー。心当たりならある、それを紹介しよう。臣次さんは勿論、好誠さんには色々と世話になったからな。少しでも恩義を返さねばならない、…えーと確かあの病院はっと。
そして好誠さんが東京の病院へ行く前日、その好誠さんに呼び出されて行ってみれば今回の礼と共に、
「これを受け取ってくれないか? 由紀也。…別に武装へ入れとは言わねー、ただ…お前に貰って欲しくてよ。」
好誠さんのライダースを貰いました。あのイカす革ジャン、…嬉しいんだけど複雑ッス。困惑する俺を見てニヤリと笑った好誠さん、
「…じゃあな由紀也! 何処かでまた会おうぜ!」
と爽やかに帰っていったよ。……どうすっぺ。