一学期最後の日、この街に五人の挑戦者が現れる。
鈴蘭にて確固たる地位にいる男、ゼットンこと花澤三郎。この男に挑むのはブッチャーこと神戸好克。
梅星一家に籍を持ち黒咲工業に通う男、藤代拓海。挑むのは転校してきた男、山口善次郎。
この街最強と言われている男、花木九里虎。この最強に挑むのは六代目武装戦線の頭となった河内鉄生。
そして最強花木九里虎に匹敵すると言われ始めた男、龍光寺由紀也。この男に挑むのは東京よりやって来た二人の男、その名は………。
────────────────────
ー龍光寺由紀也ー
青い空、白い雲、輝く太陽。こんな快晴の日に単車をかっ飛ばしたら気持ちいいんだろうなぁ~…、勿論後ろに透を乗せて。…がしかし、現実は残酷である。何故なら…、
「谷さんが認めてるからって調子に乗んなよ龍光寺! 俺は弱い奴なんざ認めねー!!」
「その通りだ! 認めて欲しかったら実力を見せろや!!」
暑苦しい男が二人、俺の前で吠えているからだ。…この二人は知り合いではあるが短気、…で無駄に絡んでくるバカなのだ。
「………どうせ嫉妬だろ? この間送った俺と透の…「「うるせぇっ!!」」…図星かよ。」
本当にコイツ等は…。
俺の前で唸っているのは東京町田から全国に名を轟かせている萬侍帝國、そこの猛者で名を火口周次と比留間有志という。同い年でその実力はかなり高い、…が俺の方がめっちゃ強いけどな。…まぁそんな知り合いである二人が俺に挑んできた、理由は嫉妬が大半だろうがもう一度言う…俺に挑んできた。…そこが重要、勿論…高く買い取るのがこの俺だ!
最初に向かってきたのは周次、キレのある拳と蹴りが俺を襲う。俺の方が強いのは間違いないが流石は萬侍の男、避けきれずに何発か食らってしまった。…久々にイテー思いをしたよ、攻撃力がハンパない。ガードを越えて衝撃が来るからな、…やりやがる。…だが!
ゴッ!
「…ぐぇっ!?」
「…胴ががら空きなのは頂けねーな、…周次!」
攻撃に重きを置いているが為、守りに関しては無いに等しい。あえて拳を受けてからの腹パン一発、憐れ周次…地に沈む。
続けて有志が向かってきて、俺の顔面に拳を入れてきた。…なかなかにイテーがそれだけ、俺はニヤリと笑みを浮かべてからその拳を掴んで引き寄せ、そこからの頭突き。
ガッ!
「…ぐぁぁぁぁぁっ!!」
仰け反る有志の首と足に手を、そして腰に頭を付けて持ち上げる。タワーブリッジを掛けて回せば…、
「ぎゃぁぁぁぁぁっ!?」
有志が悲鳴を上げる。ある程度回した後に、蹲る周次へ向かって投げ付ければ…、
「「うごっ!!?」」
二人揃って白目を剥いて失神、俺の完全勝利となった。
…にしてもマジでイテーな、やっぱこの二人…強いわ。
暫くしてから二人は目覚め、腹が減ったから共に飯を食う。…これが俺達の関係だから怒ることもない、仲良く飯を食って軽くダベってから解散。単車に跨がる二人へ、
「谷さんによろしくな、近い内に顔を見せるってよ。」
と言えば、
「「おうっ!」」
と返事をしてから走り去っていった。
そんな日常の一コマ、…透がいないと喧嘩ばかりだな。