ー龍光寺由紀也ー
その日の夕方、俺達は行動を開始した。蠍の頭である山本は見逃す、ラリっている奴は今回に置いては白だからな。藤枝って奴は九里虎に任せ、裏切り者の伴はブッチャー一派と原田一派がやる。田原は月島一家に譲り、俺達は鎌田をターゲットにする。他の奴等はどーするのか分からない、分からないが俺達は…潰す。鎌田…、俺達に目を付けられるとは運の無い奴。この街じゃ生きられないようにしてやる…!
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鎌田チームの
「…クソッ! 田原達と合流するぞ! …このままじゃヤベェ!!」
鎌田らしき男が声を上げ逃げ出す、それに続いて蠍のメンバーも。…くははははは、さぁ…逃げろ逃げろ!
俺達を避けて他チームと合流したいんだろうがそれは出来ねー、既にありとあらゆる道に派閥の各チームが配置されている。その隙を突いて逃れることは不可能、そして…誘導されていることに気付いていない。お前達が逃げる先は神社、…龍光寺一派の狩り場だぜ?
そして追い詰められた鎌田チームは、神社の境内にて混乱している。何故なら、この境内には龍光寺一派が待ち構えていたのだから。しかもそこの中心にいるのは伊東先輩、相棒の川尻先輩をやられて内心キレまくっている。この場にいる奴等全員、女を乱暴しようとした蠍を許さない。男の風上にも置けない蠍をぶっ潰す、…俺達の意志は統一されている。
混乱している鎌田チームの前に俺は立つ。
「…テメェは猟犬と呼ばれて調子に乗っていやがるガキ! こんなことしてどうなるか分かっていやがるのか!? テメェの女も俺達が…「黙れ!」…!!?」
鎌田がバカなことを言おうとしてきたが遮る、…自分達の立場が分かっていねーみたいだ。それに俺の彼女、…透にも何かやらかそうと少しでも考えているのなら、
「鎌田とか言ったか? …お前。なかなかどうして、派手にやらかしてきたみてーだがよ。
怒気を含めながら語り掛ければ、鎌田を含めた蠍の奴等が怯む。そこへ反対側にいる伊東先輩が、
「女に手を出す屑はよー、噛み砕いて棄てるのが俺等の常識なんだわ。後に禍根の種を残すわけにはいかねー、…この意味が分かるよな?」
ニヤけてそう言うが目がヤバイ、視線で人が殺せるのでは? と思う程の眼力である。更に怯む奴等に、
「誰一人逃すな、全員ぶち殺せ! 群れの恐怖、味合わせたれぇぇぇぇぇっ!!」
そう号令を掛ければ、怒りまくった群れの仲間達が蠍を噛み砕かんと襲い掛かっていく。
蠍を仲間達が蹂躙している中、俺の獲物は当然…鎌田。それに気付いた鎌田は、恐慌状態に陥りながらも、
「く…くそがぁぁぁぁぁっ!?」
俺に向かってくるが、その突き出した拳を俺は手で受け止め、
「…ふんっ!」
ゴガッ!!
「ぐぁぁぁぁぁっ!?」
引き寄せてからの頭突きを食らわせる。その一撃に頭を抑えて
ドゴッ!!
「………っ!?」
強烈な膝蹴りを一発、勢いで顔を上げた鎌田の横っ面に、
ガゴッ!!
「…がはっ!!?」
右ストレートをぶち当てれば、奴は何度かバウンドした後に動かなくなる。俺は動かない鎌田を見て、
「…バカが。」
そう吐き捨てた。
俺達龍光寺一派は、この場にいる全ての蠍を噛み砕いた。…ダメ押しに、
「…コイツ等をひん剥いて大通りにでも転がしておけ。…『女に手を出した屑』ってーのを油性ペンで書くのも忘れずにな!」
そう指示を出せば伊東先輩が、
「…エグいな。」
と笑っていた。屑に情けは無用、…奴等は二度とバカなことをしなくなるだろう。……トラウマになるかもな、…自業自得だが。