俺のWORST物語   作:ユキユキさん

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閑話 ~迫田武文《その3》

由紀也と(たもと)を分かち、花を鈴蘭の番長にと決意した日から相当の時が流れた。第三次鈴蘭・鳳仙抗争、イレズミ野郎との揉め事、岸中の後輩関連のこと。色んなことがこの短期間であった、その中でも一番良かった出来事っつったら遊園地で遊んだことだよなー。

 

由紀也と透のお陰でわゆちゃんと出会えることが出来たわけだし、…あれからちょくちょく連絡を取り合って遊びに行ったりしているしな! その事実を花や蓮次に言った時の悔しそうな顔、…生きてて良かったと心から思った。

 

 

 

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夏休みが終わり鈴蘭へと行けば、女の子…わゆちゃんと仲良くやっていることがバレて追われる日々。何処から漏れた? …つってもどうせ花だろうが。…これもバラ色人生の試練と考えれば辛くない、…ドンと来いや!

 

 

 

 

 

 

慌ただしくも充実した日々。しかしそんな俺…、いや…鈴蘭にまたしても事件が。ブッチャー一派の奴が『漆黒の蠍』とかいう奴等にやられたそうな、…で頭のブッチャーも病院送り。そして由紀也ん所の川尻先輩もやられて彼女も怪我をしたと聞いた、…許せねー! 川尻先輩は中学ん時からの付き合いだし、その彼女のことも知っている。川尻先輩は仕方ないにしても、あの優しい彼女に怪我を与えたってーのは万死に値する!

 

聞く所によると九里虎も女をやられたそうで、あの魔王様も怒りまくっているとか。…自分のことに置き換えるとだ、…わゆちゃんが襲われたってことになる。……コレはアレだ、…俺も蠍狩りに加わらなきゃならねーわな。今は大丈夫でも、…後にわゆちゃんが襲われたって聞いたら。……正気を保てる気がしねー! …少しでもその危険性を排除しなくては!

 

 

 

 

 

 

一人気合を入れる俺に凶報が入った。…蓮次が、…蓮次が蠍にやられて病院送りとなったらしい。しかも打ちどころが悪かったらしく、…ヘタしたら死んでいたかもと。…蠍! …テメェ等絶対に許さねー! 女に手を上げるは、人を殺しかけるは…。寄って(たか)ってでしか能のねークソ野郎共に地獄を見せてやる! 首を洗って待ってろや!

 

 

 

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…怒気を内に秘めた俺、勿論…花達も怒りまくっている。そんな俺達に蠍を見付けたとの一報が! しかも蓮次をやったと思われる田原とかいうクソ野郎らしい、それを聞いた俺達は急いでそこへと走る。…拓海の奴、良い仕事しやがるぜ!

 

呼び出された場所へ行くと、拓海とその友達とかいう山口がいた。…で蠍の奴等はというと、花が見た所…人数は二八人。凶器持ちが十二人、…対する俺達はたったの七人。普通に考えたらスルーするべきもの、だが…それは出来ねー。同中で別派閥だけど仲の良い川尻先輩にその彼女、そして…蓮次がやられたんだ。それに放置してわゆちゃんが襲われでもしたら…、自分自身が許せなくなる。だから俺は行くぜ? …たとえ一人だとしてもな!

 

 

 

 

 

 

…結局、花達も揃って蠍へ襲い掛かることに。奇襲だし、夜に紛れているしで大成功。蠍の奴等は混乱し、俺達はその大半をぶちのめした。そこらでやっとこ立て直した蠍の奴等、しかし遅すぎたわけで。凶器を持っていようが無かろうか、平等にぶちのめしていけば後…数人。その数人の中に田原とかいうクソ野郎が…!

 

「…田原! コイツ等フツーじゃねー!!」

 

「…ぐっ、…クソッ! ここは退いて鎌田と伴、アイツ等と合流しようぜ!!」

 

田原以下数人がこの場から逃げようとする。…逃がすわけにはいかねー! 俺は奴等の後を追いかける、そんな俺に続いて花も一緒に…って花の方が速い! あっという間に俺を追い抜かし、田原以外の数人を、

 

「だりゃーっ!!」

 

ドッ!!

 

「…ぐぁっ!?」

 

一人は勢いのままに飛び蹴りを。威力がありすぎてかっ飛んでいく、…続いて、

 

「ふんがっ!!」

 

ゴッ!!

 

「………っ!?」

 

強烈な右ストレート、殴られた相手は数mもバウンドしてすっ飛んでいった。

 

流石の俺も唖然としたが、

 

「迫田っ! そいつは譲るからやっちまいなよ! 雑魚は引き受けるからさ!!」

 

花が俺に向けてそう言ってきた為、気を取り直して田原へと襲い掛かる。

 

「これが川尻先輩の分!」

 

ドスッ!!

 

「むごっ!?」

 

無防備な腹に一発。

 

「…その彼女の分!」

 

ガッ!

 

「ぐはっ!?」

 

横っ面に一発。

 

「…蓮次の分!」

 

ゴガッ!!

 

「ぐぁぁぁぁぁっ!!?」

 

髪を掴んで頭突きを一発。そして…、

 

「バラ色人生の為に死ねっ!!」

 

頭突きで怯んだ田原を、

 

ドスンッ!!

 

「………っ!!?」

 

襟元を掴んで一本背負い、無抵抗の田原は白目を剥いて泡を吹いている。

 

(かたき)は取ったし未来も守られた! …スッキリした俺は花の方へと振り向きピースサイン。きょとんとしていた花だが、直ぐ様笑顔とピースサインで返してくれた。


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