フェアリー・エフェクト(完結)   作:ヒョロヒョロ

2 / 22
【前回のあらすじ】
ヘロヘロ「お似合いだし、モモンガさんの后にしよう」
ルイ「わーい、綺麗なお義母様だ!」
モモンガ(押し負けて設定を確定する)
アルベド(よっしゃぁああああああ!!)



二重の影、思考する

「──アインズ・ウール・ゴウンに栄光あれ!!」

 

 思わず、至高の御方々に続いて声を張り上げ──()()()()()()()()()()()という事実に、パンドラズ・アクターは愕然とした。

 

 ──自分たちNPCは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 何故、と沸き上がった疑念は、自身の肩口から聞こえた小さな悲鳴によって、すぐさま脇に追いやられた。

「──ルイ殿!」

 予期せぬ声に驚いてか、自身の肩から転げ落ちかけた小妖精を、慌てて手のひらで受け止める。

「お怪我は!?」

「──え、……え?」

 問いかけるも、彼女はひたすら目を白黒させていて、答えられそうもない。

 手のひらの上でへたり込んではいるが、怪我を負った様子はない彼女に、とりあえずは安堵して──脇に置いた疑問が戻ってきた。

(……おかしい)

 ──()()()()()()()()()()()という、これまでどれだけ望んでも不可能だったことが、できている。

「──どういうことだ!?」

 パンドラズ・アクターの疑念に同調するようなタイミングで、モモンガが荒い声を上げた。

「──父上、いえ、モモンガ様……一体、何が起きているのです?」

 咄嗟に口をついて出たのは、己の創造主へ縋るような問い。

 問いかけられたモモンガは、愕然とした様子でこちらへと視線をよこし、

「……GMコールがきかない、強制ログアウトもできない」

「──それは、《リアル》に関連するお言葉でしょうか?」

 知らない単語に、それでも推測を巡らせてそう問えば、モモンガは驚いたようだった。

「……お前、《リアル》についての知識があるのか!?」

「いえ、《リアル》自体については全くの無知です。ただ、モモンガ様のお言葉や、その振る舞いを繋ぎ合わせるに、《ユグドラシル》の外、至高の御方々が本来属する上位世界なのではないか、と推察しております」

「──すごい、だいたい合ってる」

「ルイさん!」

 ルイがポカンとした声を漏らし、それにモモンガが焦った声を上げた。

 ルイは慌てたように自身の口を両手で押さえているが、つまり、この推測は()()()()()()()()訳だ。

 モモンガが、観念したように大きく息をはく。

「──《リアル》と《ユグドラシル》の関係については、お前の解釈でほぼ間違いない。……現状、私達は《リアル》に戻る術を失っている」

「──なんと!?」

 ざっ、と血の気が引くような恐怖に襲われた。

「《ユグドラシル》は今宵()()()のでしょう!? このままでは父上たちまで、その滅びに巻き込まれ──」

「──その時はもう、過ぎた」

 恐慌に陥りかけた頭を冷やしたのは、静かなモモンガの言葉。

「本当なら、その瞬間、私達は強制的に《リアル》へ引き戻されるはずだったのだ。──しかし、現状、ナザリックは変わらず在り続け、《ユグドラシル》から弾かれるはずだった私達は、逆に《リアル》から閉め出される形になっている」

 ──何にせよ、異常事態なのは間違いない、ということか。

「……っていうか、ここ、《ユグドラシル》なんですかね?」

 それまで黙っていたヘロヘロが、ぽつりと呟いた。

「と、おっしゃいますと?」

「えぇっと、皆がどうかはわからないけど……少なくとも私は、身体の感覚がおかしい。──調子が悪い、とかではなくて、逆にすごく感覚が鮮明というか……」

 パンドラズ・アクターの問いに、ヘロヘロは言葉を吟味するような調子で答えを紡ぐ。

「さっき《リアル》と《ユグドラシル》の話が出たけど、私達にとって《ユグドラシル》でのこのアバター(からだ)は、仮初めの器で……感覚も制限されてるし、思うように動かせないところもあった」

 なのに、と呟きながら、全身をぐにぐにと蠢かせて、

「──着ぐるみ越しみたいなもどかしさがさっぱり消えて、完全に自分の身体として馴染んでる……《ユグドラシル》ではあり得なかったことだ」

「……なるほど。そう言われてみれば、私の身にも、《ユグドラシル》ではあり得なかった変化が起きております」

「──何? どこか不調でもあるのか!?」

 父の案じる声を、不謹慎にも嬉しいと感じてしまいつつ、パンドラズ・アクターは答えた。

「いいえ、不調はございません。ですが──私は今、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 ──ずっと、ずっと、願い続けて叶わなかったこと。

(寂しげな父上に声をかけることすらできない己の喉を、これまで何度呪ったか)

 ──それが、今、恐ろしく容易く叶えられている。

「ここが《ユグドラシル》とは異なる法則で成り立つ場所である、という仮定は、一考の余地があるかと」

 その言葉に、父はしばし考え込むように沈黙し──

「──この場にいる皆に問いたい」

 これまで息を飲むようにして、主達とパンドラズ・アクターの問答を聞いていたシモベ達がざわめき、

「──なんなりと」

 守護者統括──そして、モモンガの正后ともなったアルベドが、代表するように答えた。

「今のやりとりを聞いて、皆も察しただろう。──今宵、《ユグドラシル》は滅びる運命にあり、本来はナザリックも共に消滅するはずだった。……私達は、それを阻止する術すら持たぬ、不甲斐ない主であったのだ」

「──っ……!」

 口を開きかけたアルベドを、モモンガはただ手をかざすことで押しとどめた。

「その上で、問いたい。──そんな不甲斐ない私達を、それでも主と思ってくれるか。変わらず、私達に仕えてくれるか」

 応えは、広間中から返ってきた。

「──仕えます!」

 それにモモンガは鷹揚な仕草で頷き、

「では、命じる。──ナザリックの総力を持って、この異変の調査に当たれ!」

「──はっ!」

 シモベたちの大音声が、玉座の間に響き──

 

 ──そうして、ナザリックが動き出した。

 

 




モモンガ(結婚設定書き込むついでに、他もちょっと修正しとこう)
『時折、道化めいたオーバーリアクションを見せたり、ドイツ語を話したりするが、基本的には空気の読める紳士。モモンガの息子であり、ルイの夫である。』
(知恵者設定や、アイテムフェチ関連はそのまま)

設定上で息子認定されて、パンドラ大歓喜。
故に、きっかけとなった妻への感情もすこぶる良好な模様。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。