やっぱり、未プレイだとしても、しっかり調べないといけませんね。
「まもなく、佐世保鎮守府に到着します」
運転手が、助手席に座る横須賀提督に声をかける。すると、彼は続けて後ろに座る女性たちにも声をかけた。
「お三方も、どうぞ。もう大丈夫です」
「ふう~、何事もなくてよかったわ~」
「中将さんが、色々と根回しをしてくれたおかげね」
「本当に、あの方には感謝しかありませんな」
学園艦娘を連れての移動。それには当然、大きなリスクが伴う。彼女たちを快く思わない一部の上官が動きかねない。そのため、中将が移動の際に色々と根回しをしてくれたのだ。
いま車を運転している老齢の男性も、その『根回し』の一つである。彼は中将の良き友であり、かつては憲兵隊長も務めていたという経歴の持ち主だ。
しかし、念には念をということで、佐世保につくまでの間、大洗たち三人は変装をしていたのである。
大洗は翔鶴に。知波単は赤城に。そしてリーナは残念ながら、まだアークロイヤルが日本に派遣されていないため、お忍びで来られた貴族の娘という設定の変装だった。
横須賀提督と学園艦娘を乗せた車は、佐世保鎮守府の敷地内へと入っていった。
「遠いところからありがとうございます、せんぱ……じゃなくて、横須賀提督!」
「ははは。元気そうで何よりだよ」
佐世保提督がビシッと敬礼すると、横須賀提督も笑いながら敬礼で返す。そして、握手をした。
「しっかりと鎮守府の運営は出来てるようだな」
「はい。皆さんが色々とサポートをしてくれてるお陰です」
「そのサポートを充分に活かせるかどうかだ。お前は活かすことが出来てる。よくやってるよ」
「あ、ありがとうございます!」
士官学校以来の再会を2人が懐かしんでる間、学園艦娘たちも再会を喜んでいた。
「大洗~! やっぱりこっちの世界に来てたのね! 信じてたわー!」
「ムギュッ! サ、サンダースさんも元気そうで何よりです~……」
「やれやれ、相変わらず激しいスキンシップだなぁ。聖グロに知波単も、よく来たな!」
「佐世保にはアンツィオとサンダースが来てたのね。ふふふ、多くの学校が集結ね」
「アンツィオ殿、お久しぶりであります!」
サンダースが大洗にハグをし、そんな様子に苦笑しながらも歓迎するアンツィオ。多くの学園艦が集まりつつある事に微笑むリーナに、ビシッと敬礼をして挨拶をする知波単。場はとても賑やかなものとなっていた。
こうして挨拶を終えた後、横須賀提督が話題を切り出した。
「さて、佐世保提督。我々だけで少し話をしたい。どこか別の場所で話さないか?」
「となると、応接室が良いでしょうか」
「構わない。学園艦娘のお二人もこちらに」
「What? 何かしら?」
「大洗、何か知ってるか?」
「はい~。でも、ここではちょっと~」
(ここでは話せない、大切な事ですか……)
サンダースとアンツィオ、そして佐世保提督は悟った。きっと他の人には聞かせられない、大切な事があるのだと。そのために、横須賀からわざわざやって来たのだと。
横須賀提督の目的は何なのか。三人は少し警戒しつつ、応接室へと案内した。
短めでしたが、読んでいただき、ありがとうございます。
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果たして、横須賀提督の目的とは……? 次回をお楽しみに!