学園艦が鎮守府に着任しました   作:G大佐

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さて、黒森峰が登場しました。呉提督はどんな対応をするのでしょうか?

では、どうぞ!


呉鎮守府に学園艦が着任しました(黒森峰)

 呉鎮守府は、「初めて」とつく功績を2つ持っている。

 1つは、「初めて」海外艦娘を建造したこと。ドイツから派遣されたレーベレヒト・マースと、マックス・シュルツ。この二人を所属させたことで、戦艦「ビスマルク」を建造することに成功したのだ。

 そして2つ目は……「初めて」の女性提督だということである。

 

 

 

 

 

 白い軍服を着ている女性、呉提督は、目の前の艦娘に困惑していた。初めて海外艦の建造に成功したおかげ(せい)で、建造レシピの任務が優先的に回されている。今日も今日とて任務を消化するかと軽い気持ちで建造を行なったところ、未知の艦娘が現れたのである。

 

 まず、姿は空母『グラーフ・ツェッペリン』に似ている。だが髪は茶髪で、着ている服もダークグレーを基調としている。そして胸元にある黒十字には、「黒森峰」という文字が刻まれていた。

 

「ど、どうしよう? 何か日本っぽいような、ドイツっぽいような艦娘が来ちゃったんだけど!?」

 

 呉提督はヒソヒソ声で、秘書艦であるビスマルクに相談する。

 

「どうしようって言われたって困るわよ! 何か、グラーフっぽいけど……」

 

 チラリと彼女を見る。工廠内をキョロキョロと見回していた。すぐに呉提督へと向き直った。

 

「目つきが違うわよ! 正直、怖いわよ!?」

「しかも学園艦って名乗ったよね!? 何、学校? でも空母みたいな甲板持ってるし、どっちなの!?」

「それは、その、本人に聞くしか……」

 

「指揮官。何かトラブルか?」

「ひゅいっ!?」

 

 黒森峰の声は凛とした声で尋ねるが、さっきまで困惑していたこともあり、呉提督は変な声を出してしまう。

 

「な、何でしょうか……?」

「そう緊張しないでくれ。私が何者なのか、その説明をしなければならないからな」

 

 困ったような笑みを浮かべる黒森峰。先ほどの凛々しさとは一変している。そのギャップに、呉提督とビスマルクは少しだけキュンとした。

 

「そ、そうね。何者なのか説明してもらおうかしら」

「了解した。そもそも私の世界は――――――」

 

 こうして、黒森峰から見た前世の説明が始まった。

 

 

 

 

 

 黒森峰が話し終わった。今は、良かったらと差し出されたコーヒーを飲んでいる。その間にも呉提督は内心頭を抱えていた。

 

(空母だけれども、保有しているのは主に戦車ですって? 参ったわね……。大本営のジジイとか陸軍の髭とかがちょっかい出してきそう……)

 

 実は、そうなりかけているという事を、彼女はまだ知らない。

 

(でも、戦争で使われていたものが、競技や生活の場として活かされている世界か……。ぜひとも色んな人に知ってもらうべきよね?)

 

 座っていたソファから立ち上がると、いつも書類仕事している机へと向かう。手に取ったのは黒電話だ。

 

「ちょっと待っててね、黒森峰ちゃん。今から『頼りになるお方』に電話するから」

「ちゃんって……」

「嫌?」

「そういう訳では……。しかし、私の威厳が……」

「あら、私は良いと思うわよ?」

「ビスマルク、お前まで……」

 

 ドイツ文化を取り入れている艦だからか、話している間にビスマルクと黒森峰は、すっかり打ち解けていた。「今度二人でビールを飲みながら語り合おう」なんて言っていたのも、バッチリと聞いている。

 

「もしもし」

≪もしもし? ……あぁ、呉提督くんか。久しぶりだね≫

「お久しぶりです、中将」

 

 電話を掛けた先は、大本営にいる中将だった。彼女にとっての中将とは、士官学校時代の恩師である。

 ここで察しの良い読者は気付いただろう。そう。彼女は横須賀提督の同期でもあるのだ。

 

「実は、新たな艦娘を建造しまして」

≪ほう? 艦種は何かね?≫

「自らを、学園艦と名乗っておりました。空母に似た姿をしていますが……」

≪ちょっと待て! 回線を変えるぞ!≫

「っ!?」

 

 突然の回線変更に戸惑いながらも、承知した。そして再び中将と繋がる。

 

≪いやぁ、すまなかったね。今回建造された艦娘に関しては、トップシークレットでな……≫

「中将は、学園艦のことをご存知なのですか?」

≪あぁ。学園艦娘は、すでに他の所で建造されている。横須賀と佐世保だ。もっとも、佐世保に所属してるうちの一隻は別の小さな鎮守府で建造されたらしいがな≫

 

――――――横須賀の奴と、おチビちゃんがねぇ……。

 

 まさか同期と後輩がすでに建造していたとは驚きだ。内心の驚きを口にすることなく、中将の言葉に耳を傾ける。

 

≪君も感じてはいると思うだろうが、空母であり、戦車を保有するという学園艦娘は、一部の人間から疎まれている≫

「今は足を引っ張りあってる場合ではないでしょうに……」

≪全く、嘆かわしいことだよ。……そこで、横須賀提督が面白い案を考えてくれた。今は彼は佐世保にいるはずだ≫

(なるほど……。回線を変えたのは、このことを盗聴されないためね)

≪詳しくは、彼から直接聞いてくれ。佐世保鎮守府の電話番号は分かるかな?≫

「ご心配なく。何度か演習もしている仲ですので」

≪それは安心した。……わし達が他の連中を抑えとるうちに、な。頼んだぞ≫

「分かりました」

 

 そして、電話が切られる。その時の彼女の口角は上がっていた。

 面白い案とは何だろうか。学園艦娘と関係のあることだから、きっと凄いものに違いない!

 先ほどまでの困惑とはうって変わって、大きな期待が彼女にあった。

 

「黒森峰ちゃん、おまたせ~」

「やはり、ちゃん付けは決定事項なのか……」

「ドンマイ」

「さっき電話してみたんだけど、どうやら黒森峰ちゃんの他にも、学園艦娘がいるらしいの」

「本当か!?」

 

 子供のようにパァァと目が輝く黒森峰。実は案外、可愛い性格なのかもしれない。

 

「えぇ、本当よ。横須賀と佐世保。しかも佐世保には二隻居るらしいから、三隻は居ることになるわね」

 

 彼女は知らない。横須賀だけで三隻もおり、佐世保と合わせて五隻もいるという事を。

 

「幸い、どちらも知り合いだから連絡してみるわ。楽しみにしててね?」

「あぁ、そうさせてもらおう」

 

 期待してる様子を隠しきれてない黒森峰にクスリと笑みを浮かべつつ、再び電話を取ったのだった。

 

 

 

 

 

~おまけ~

 

≪そういう訳で、呉に来て♪≫

「お前、ふざけんな! 移動って結構気を遣うんだぞ!」

≪良いのかしら~? あんた士官学校時代に、講師の一人だった鹿島さんに告白して玉砕……≫

「だあぁぁぁ分かった! 分かったから古傷抉るの止めろぉ!」

 

 そんなやり取りが、電話を通じてあったとか無かったとか……。

 




いよいよ明日ですね……ガルパン最終章の4D上映! 休日に観に行きたいけど、天気が心配だなぁ……。

それでは、次回もお楽しみに!
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