学園艦が鎮守府に着任しました   作:G大佐

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お待たせしました。個人的には満足のいく内容です。

今回もさまざまな曲名が出ます。ほんの少しですが、日本語訳を個人的に解釈した歌詞もあります。運営から言われたら消します。

それでは、どうぞ!

追記)ロシア語表記が間違ってました。何話もミスして申し訳ありません。ご指摘ありがとうございました。


パレードです!

 音楽隊の奏でる曲が変わった。曲名は『玉葱の歌』。フランス陸軍の歌である。

 

≪最初に紹介します学園艦は、BC自由学園であります。フランス文化を取り入れている学校であり、戦車道ではフランス戦車を使用しています!≫

 

「さぁ、行きましょう~」

 

 フリーの掛け声とともに、ルノーFT-17、ソミュアS35、ARL44たちが発進する。戦車を率いての行進に、人々は拍手を送った。すると、彼女は気を良くしたのかフランス語で歌いだしたのである。

 

 『玉葱の歌』の歌詞は、日本語に訳すと「俺たちは玉葱が好きなんだ。玉葱さえあれば獅子になれるぜ!」という内容である。フランス語に詳しいものの中には、思わずクスリと笑ってしまう者もいた。

 

――――さぁ、進もう戦友よ! 前へ前へと!

 

 しかし、美しさもあり力強さも感じるこの歌詞に入った瞬間、拍手はより一層高まった。

 

「お姉さま~!」

「とても美しいのね~!」

 

 そして観客席では、彼女が建造された鎮守府に所属していた艦娘たちが手を振っていた。それに気づいていたフリーは、微笑みながら手を振る。この時、目が合っていないものですら、彼女の笑顔に一瞬見とれてしまった。

 

 

 

 

≪次は、黒森峰女学園です!≫

 

 それと同時に、演奏がうまい具合に繋がり、『パンツァーリート』へと変わる。

 

≪戦車道では、かのドイツ戦車を使用します。その屈強さを感じさせる雄姿にご注目ください!≫

 

「戦車、発進!」

 

 最初は、純粋に戦車の格好良さに拍手する者もいた。しかし、ある戦車を目にした瞬間、驚きのあまり二度見してしまう。

 Ⅲ号戦車、ラング、ティーガーⅠ、ティーガーⅡ、ヤークトティーガーにヤークトパンター、エレファントと戦車たちが行進する中、一際目立つ戦車がいた。そう。超重戦車マウスである。

 

「嘘でしょ!? あの子、マウスなんて持ってたの!?」

「あの人がいた世界って、どうなってんだろ……」

 

 ビスマルクが驚きのあまり、ビールの入った紙コップを握りつぶしてしまう。いっぽうでレーベレヒト・マースことレーベは、黒森峰たちがいた世界のことに、より興味を持った。

 

――――戦車よ進め! 風を裂くのだ!

 

 黒森峰もドイツ語で歌う。その凛々しい姿と歌声に、男女問わず多くの観客が魅了された。

 

 

 

 

≪サンダース大学附属高校は、学園艦娘の中でも最高の戦車保有数を誇ります! 彼女のモデルとなった艦は、戦後の艦であるため、我々にとっては未来艦とも言えるでしょう!≫

 

「全車、Go ahead!」

 

 『リパブリック讃歌』が流れると、拍手よりも前にどよめきが起こる。

 多い。多すぎるのだ。黒森峰もそこそこの数を有していたが、サンダースはそれすらも超える。最高の保有数を誇ると紹介されただけはある。

 戦車は、M4、M4A1、M4A6、いずれもシャーマンと呼ばれているものだ。さらに、17ポンド対戦車砲を搭載したシャーマンファイアフライと呼ばれる車輛までいる。

 

「提督が言うには、出し惜しみはするなって言ってたわよね? なら、この子たちも出しちゃうわよー!」

 

 まばゆい光と共に、さらに多くの戦車が現れた。それは、彼女のジャンクヤードに眠っている戦車たちである。さらに、この世界にとって未来の産物でもあるM1A2エイブラムスまで出してきたのだから、たまったものでは無い。

 

「あの姉ちゃん……。デケェなぁ……」

「どこ見て言ってんのよ、クソ提督!」

 

 パレードを見に来た提督たちの中には、彼女の胸部装甲に鼻の下を伸ばす者も居たとか。

 なお、反学園艦娘派の人間は、黒森峰のマウスで驚き、サンダースの戦車保有数で顔を青くした(エイブラムスでは無いのは、現代戦車を知らないため)。彼らの受難(?)はまだまだ続くが、同情の余地はない。

 

 

 

 

≪次は、プラウダ高校です! 彼女もサンダースと同じく、未来艦であります! 彼女の容姿のモデルとなった人物は、彼女を強豪へと導いた隊長であるとの事です!≫

 

「Урааааааааа!!」

 

 幼い見た目ながらも勇ましい掛け声とともに、アレンジされたロシア民謡『カチューシャ』が流れる。最初こそその見た目に笑うものも居たが、気にする様子も見せずに堂々と行進するその姿に、その者は閉口した。

 行進する戦車は、T-34/76、T-34/85、IS-2、KV-2といったソ連戦車である。

 

「プラウダの奴め。パレードまで戦車は見せられないと言っていたが、こういう事か。ふふっ、これは祝杯だな!」

 

 呉で彼女の建造に立ち会ったガングートは、プラウダが頑なに見せなかった戦車たちを見ることが出来ると、嬉しそうに笑った。そして、どこに入れていたのかウォッカを出すと、紙コップに注いでプラウダに向けて乾杯をした。

 

 

 

 

≪次は、聖グロリアーナ女学院です! イギリス戦車を使用しています。美しく優雅であれという彼女の姿を、ぜひご覧ください!≫

 

「全車、発進」

 

 静かに、しかし凛とした声で告げると、『ブリティッシュ・グレナディアーズ』が流れる。この場には三つのため息が漏れた。一つは、リーナの美しさにため息が漏れた者。もう一つは、戦車たちの隊列の美しさにため息が漏れた者。そして、両方にため息をつく者だ。

 チャーチル歩兵戦車Mk.Ⅶ、マチルダⅡ歩兵戦車Ⅲ/Ⅳ、クルセイダーMk.Ⅲのほか、クロムウェル巡航戦車といった戦車たちが行進する。今までリーナの戦車をハッキリと見ることのなかった横須賀鎮守府の艦娘たちは、盛り上がっていた。

 

「リーナ~! とってもbeautifulネ~!」

「見事な隊列だ。さぞかし練度が良いのだろう」

 

 長門が感心したように頷いているが、彼女は知らない。リーナの戦車妖精さんたちは、戦車道において紅茶を一滴たりとも溢さないと言われるほどの実力を持つということを。

 

 

 

 

≪アンツィオ高校です! 彼女はイタリアの戦車を使います! 傷付いた艦娘を癒し励ますことから、多くの艦娘から姐さんと呼び親しまれています!≫

 

「Avanti!」

 

 黒いマントをなびかせて、掛け声とともに鞭を振るう。流れる曲は当然、『フニクリ・フニクラ』だ。

 

「黒森峰やプラウダたちには劣るかもしれんが、アンツィオは弱くない……じゃなかった、強い!」

 

 カルロ・ヴェローチェCV33にセモヴェンテM41、そして切り札でもあるP40を行進させる。妖精さん達の中には、楽しさのあまりキューポラから身を乗り出し、手を振る者もいた。

 

「カッコいいですね、アンツィオさんは!」

「提督~、今日はお姉さまのことを『ドゥーチェ』って呼びましょう~」

「はい! ドゥーチェ! ドゥーチェ!」

「ドゥーチェ! ドゥーチェ!」

 

 ドゥーチェコールに気を良くしたのか、その後のアンツィオは決めポーズを披露するなどして、場を更に盛り上がらせた。

 

 

 

 

≪次は継続高校ですが、残念ながら戦車のみの参加となります。フィンランド文化を取り入れている高校です。未来では、様々な国の文化を取り入れようとしていると言うことです≫

 

 『サッキヤルヴェン・ポルッカ』が流れると、BT-42が走り出す。その軽快な動きに「おぉ~」と声を漏らす者もいた。

 

(全くもう。楽しい風が吹いてるわよ、継続。だから早く来なさいよ……)

 

 行進するプラウダは、心の中でそんなことを呟いていた。

 

 そして、流れるように次の曲へと繋がる。しかし、その曲が流れた瞬間にざわめきが大きくなった。

 

≪知波単学園! 使用戦車は、我が国日本の戦車です! 凛としていながらも、時に勇猛な突撃を行なう戦法を得意としています!≫

 

「戦車前進!」

 

 『雪の進軍』が流れるとともに、これまた多くの戦車たちが動き出す。九七式中戦車の旧砲塔型と新砲塔型、九五式軽戦車、特二式内火艇といった日本の戦車たちが、観客からの歓声を浴びていた。反学園艦娘派の人間以外の軍人も、陸海空問わずに拍手を送る。

 

(いやはや、すべての戦車を出しての行進とは、提督も考えますな!)

 

 手を振りながらも、知波単は今回のパレードで提督から言われたことを思い出す。

 彼女たちは横須賀提督から、「出し惜しみせずに、保有している車両全部を出してくれ」と言われたのだ。サンダースがジャンクヤードに眠っている戦車たちを開放したのも、そのためである。

 

(最後は頼みましたよ、大洗殿!)

 

 

 

 

≪いよいよ最後になります。最後は、我が鎮守府にて最初に建造された学園艦です! その名は、大洗女子学園!≫

 

 横須賀提督の声と共に、『戦車道行進曲 パンツァーフォー!』が演奏される。人々の視線が一点に集中してるにも関わらず、大洗は緊張する様子を見せていない。ペコリと一礼すると、笑顔で行進し始めた。

 Ⅳ号戦車H型、Ⅲ号突撃砲F型、ヘッツァー、ポルシェティーガー、M3中戦車リー、ルノーB1bis、八九式中戦車甲型、三式中戦車、Mk.Ⅳ戦車が走る。観客の中には、「統一性が無いな」と言う者も居たが、大洗自身は気にしない。彼女にとって、自分を助けてくれた戦車たちである。出さなきゃ良かったなんて思う戦車など、一両も無い。

 妖精さん達は、キューポラ等から身を乗り出して大きく手を振っている。みんな笑顔なのを見ると、彼女も嬉しく感じた。

 

(この子たちのおかげで、私は大切な思い出が沢山出来ました。そして今も……。ありがとう、皆さん)

 

 大洗は妖精さん達に微笑むと、彼女もまた輝く笑顔で、観客たちに手を振るのだった。

 

 

 

 

 

 元帥など、一部の高官が座れる特別席にて、彼の隣に座る女性は涙を流していた。妻が泣いているのを見て、元帥は慌てる。

 

「や、大和……。具合が悪いのか?」

 

 そう。この女性の名は『大和』。かつては艦娘『大和』として戦い続け、今は後継者に自身の力を託し、元帥の妻となった女性である。

 

「そうではありません……。私は……嬉しいのです……!」

「嬉しい?」

「はい。未来では、あのように戦争の兵器だったものが街や競技の物となって、平和になっている……! これほど嬉しいものはありません……!」

「だが大和。彼女たちは……」

「分かっています。異なる世界の者であることも。ですが、彼女たちの世界でも『私たち』は戦い、そして沈んだのでしょう。それにも関わらず平和な未来もある……! そのことに私は感動しているのです……!」

 

 祖国を守るために戦い、そして沈んだ大和。だからこそ、学園艦娘たちの在り方に感動するものがあるのだろう。

 涙を流す妻に、元帥はそっと、ハンカチを差し出すのだった。

 

 




どうでしたでしょうか? サンダースのエイブラムスは、あくまでデモンストレーション用の為、今後は使われないかもしれません。何より、艦これ世界においてはオーバーテクノロジーかもしれませんし……。

次回は、ちょっとしたおまけを考えています。それでは、次回もお楽しみに!
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