学園艦が鎮守府に着任しました   作:G大佐

29 / 54
お待たせしました。いよいよです……!

それでは、どうぞ!


救出作戦、発動!

 横須賀鎮守府の通信室。そこには四人の艦娘が居た。リーナ、知波単、フリー、そして大淀である。リーナは椅子に座って紅茶を飲み、知波単とフリーはまるで臣下のように側に立ち、大淀は巨大な機械の前で暗号を打ち込んでいる。

 

「“秋の日の ヴィオロンの ため息の ひたぶるに 身にしみて うら悲し 北の地にて 飲み交わすべし”」

「この暗号も、久しぶりでありますな」

 

 リーナの暗号を、大淀は佐世保と呉に送る。彼女からすれば不思議な詩だが、これは学園艦娘たちにとっては“大きな意味”を持っていた。

 

「再び集合ね~」

 

 扇子を優雅に扇ぎながら、フリーはクスクスと笑う。彼女は“あの戦い”には参加していなかったが、どういう戦いだったかは知っている。だからこそ、今度は自分もその輪に入ることが出来るのだと内心喜んでいた。

 紅茶を飲んでいたリーナは、ゆっくりと目を開けた。

 

「今回は戦車道が絡むような“お茶会”ではないわ。例えるならば、“大宴会”よ」

 

 その言葉に、知波単とフリーは頷き、気を引き締めた。

 

 

 

 

 

 元帥から呼び出しを受けた横須賀提督は、内心震えていた。少しでも早く救出に向かえるように、リーナに「佐世保と呉に、救出作戦を行いたい旨を伝えてくれ」と頼み込んでいたのだ。まさか、それがバレたのだろうか。緊張しつつも、ドアをノックした。

 

「横須賀提督です」

『入りたまえ』

「失礼します!」

 

 動きが少しぎこちなくなる。それを見ていた元帥は苦笑した。

 

「そう緊張しなくても良い。君を呼んだのは、罰ではなく“任務”を与えるためだよ」

「任務、でありますか」

「うむ。では、改めて言い渡そう、形から入るのも大事だからな」

 

 ゆっくりと立ち上がり、コホンと咳払いをすると、真剣な顔で横須賀提督を見据える。その力強い眼差しに、横須賀提督の気がさらに引き締まる。

 

「君に、『大洗救出作戦』の全指揮権を与える」

「……っ! よろしいので、ありますか……?」

「全ては私が責任を取る! 元帥直々に、横須賀、佐世保、呉の各鎮守府に命ずる! 学園艦『大洗』を救出せよ!」

「はっ!!」

 

 ついに、発動された。元帥が宣言したこの瞬間から、『大洗救出作戦』がスタートした。しかも、佐世保と呉という、強力な仲間にも同じ任務が与えられたのだ。

 

「彼女は、我々にとって希望の一人だ。失う訳にはいかん……。だからこそ、頼む! 大洗を救ってくれ!」

「げ、元帥!? 頭をお上げください!」

 

 深々と頭を下げる元帥に、横須賀提督は慌てた。やがてゆっくりと頭が上がる。

 

「君が大本営に資源を送ってくれていたおかげで、現在の備蓄量は凄まじい事になっている。出撃の際に大量の資源が必要になったら、遠慮なく言ってくれたまえ。無条件で補給させよう」

「あ、ありがとうございます!」

 

 元帥のありがたい言葉に、今度は横須賀提督が深く頭を下げたのだった。

 




読んでいただき、ありがとうございました。

次回もお楽しみに!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。