さて、今回も胸糞です。どうやら鎮守府の方で緊急事態が起きたようですよ。
それでは、急ごしらえのお話ですが、どうぞ!
時間は、学園艦娘たちがツ級達から歓迎された頃に遡る。
横須賀鎮守府では、提督がリーナから送られてくる無線に耳を傾けていた。
「何? 友好的な深海棲艦? 艦の種類は? ……全員flagshipだと!?」
横須賀提督の驚きの声に、佐世保と呉の2人も顔を見合わせる。
「大洗の情報を持っている、か……。うーむ………」
「どうしましたか?」
「相手に敵意が無く、むしろ友好的だそうだ。大洗の居場所も知っているらしい」
「上位個体では無いのに言葉を話すというのは、ほんとうだったのね……」
「……大洗を救出するためだ。やむを得ん。相手と接触してくれ。だが警戒は怠るな」
深海棲艦から大洗の居場所を教えてもらうように指示を与えた時、執務室にある男が入ってきた。
「いけませんなぁ、作戦指揮官殿」
「……少将? 今は作戦中です」
少将と呼ばれたこの男は、反学園艦娘派の代表である。そのような人間がいきなりやって来たことを、横須賀提督たちは不審に思った。
「事前連絡も無しに訪問とは、それほど大事な用でしょうか?」
「えぇ、とても大切です」
その瞬間、執務室内に憲兵隊が突入してきた。
「
佐世保提督と呉提督が、憲兵隊によって拘束される。
「なっ!? 何するんですか!」
「ちょっと、離しなさいよ!」
横須賀提督も拘束されるが、必死に抵抗して少将へと詰め寄る。
「近辺に勤めている憲兵たちではない……! これはどういう事ですか、少将!」
「黙れ、反逆者め! 学園艦『大洗』が既に洗脳されていることを承知で、貴様は他の鎮守府と結託し、残りの学園艦娘を引き渡すのだろう! 今まで大本営に送っていた資源も、敵から貰ってきたものだという事は調べがついている!」
「それは言いがかり……いや、もはやそれを越えている!」
「だが、後にそれは『真実』となる」
少将はニヤリと笑みを浮かべた。
この男は自身の権力を使って捏造するつもりなのだ。その事を悟った横須賀提督は憲兵を振り払い、少将へ突進する。
「少将! 貴様ぁぁ!」
「反逆罪だけではなく、上官侮辱罪も追加せねばな」
少将は懐から拳銃を取り出し、銃口を向ける。
パァンッ!
横須賀提督は床へと倒れ込む。そこへ憲兵がやって来て、彼を連行した。
「安心したまえ。睡眠ガス銃だ」
三人が連行されたのを見届けると、彼は大本営にいる同志に電話を掛ける。
「私だ。……あぁ。彼は
彼はニヤニヤと笑みを浮かべていた。
「そうだ。作戦指揮官が倒れた以上、私が臨時で指揮を執る」
そう。少将の目的は、作戦指揮権を奪い取るためだったのだ。無理やり提督たちに罪を擦り付け、舞台から去ったところで自分が指揮を執る。それが狙いだったのだ。
「敵艦の本土上陸を避けるため、大本営が保有する航空戦力を、
洗脳されていようと無かろうと、彼には関係ない。どのみち沈めるのだから。
(何が友好的な深海棲艦だ。そんなの、平和ボケした世界の、平和ボケ艦娘による戯言に決まっている)
電話を置くと、ニヤニヤとした笑みは鳴りを潜め、逆に眉間に皺が寄った、険しい顔つきになる。
(横須賀の若造と佐世保のガキ、呉の生意気女はこれで片づけることが出来た……。後は……)
残りの二人の顔を思い出し、少将は拳を握る。
(士官学校時代、俺は常に“あの二人”よりも成績が下だった……。それが悔しかった俺は、卒業試験の時に猛勉強を重ね、トップの成績で学校を後にした。ククク……。今でも“あの二人”の驚いた顔を思い出す)
しかし、彼の額に太い血管が浮かび上がる。
(だが、そんなトップで卒業したはずの俺が、今では少将。それなのに俺よりも下で卒業した“あの二人”は、今や中将と元帥だ! そんな事が、そんな事があってたまるか!)
怒りが抑えきれず、拳を机に叩きつける。
(反逆者を作戦指揮官へ任命した責任という形で、あの二人を今の地位から引き摺り下ろしてやる! その為にも学園艦娘には、“洗脳された艦娘”として処分せねば……)
だが、彼のこの判断が、後に大洗達の戦況を悪化させるのだった……。
と言うわけで、前回の悲劇の元凶が登場しました! 横須賀提督から指揮権を奪い、学園艦娘と元帥たちを消すつもりらしいですが……?
さて、次回は再び、大洗さん達の視点に戻ります。一体どうなるのか、次回をお待ちください。