さて、今回は再び大洗の視点ですが……?
それでは、どうぞ!
―――――なぁ、これで良かったと思うか?
―――――思いません。だって、姫様が泣いてるじゃないですか……
―――――まさか、あそこまで私たちを思っていたとはな
―――――今も、姫様は泣いてるわ~
―――――戻りましょう! 今すぐに!
―――――あぁ! ……ん? これは……
―――――そうか、思い出した……。私たちは……
『『『『私たちの名前は!』』』』
学園艦娘たちは窮地に立たされていた。先ほどまで自分やツ級たちを狙っていた戦闘機は、『対空棲姫』へと覚醒した姫に向かって攻撃することを優先していた。その攻撃に、彼女たちは巻き込まれそうになっていた。それどころか、姫の憎しみによって生まれた敵駆逐艦までもが攻撃する始末だ。
「空に海にと、キリが無いぞ!」
「どうすれば良いの~!?」
アンツィオとフリーが、駆逐イ級から放たれる砲撃から身を守る。四方を囲まれているため、移動出来ないでいた。
すると大洗が、この状況を打開する方法を思いつく。
「姫ちゃんを落ち着かせます!」
「大洗、正気!?」
「この駆逐艦たちが姫ちゃんの憎しみで生まれたのなら、姫ちゃんが大人しくなれば、同じように大人しくなるはずです!」
「……確証はあるのか?」
「ありません! ですが、あの子は……あの子は私たちから生まれたんです! 見捨てることなんて……!」
すると、激しい砲撃の中でカンテレの音が響いた。継続が微笑んでいる。
「前世の隊長が信じたように、ボクは大洗さんを信じるよ」
「可能性がゼロでは無いのなら、私はそれに賭けるわ!」
「継続さん、サンダースさん……!」
黒森峰たちも苦笑する。
「大洗殿ならば、出来るであります!」
「前世で様々な事を成し遂げられた貴女なら、きっと……」
「このドゥーチェも居るからな! 大いに頼ってくれ!」
「まっ、やってみなきゃ分からないわよね!」
「この状況からどんでん返しをするのよね~? 楽しみだわ~」
「……やってみよう、大洗」
「皆さん……!」
だが、敵駆逐艦たちは空気を読まずに攻撃をしてきた。
「おぉい!? そこは空気読んで待てよ!」
「怒りから生まれた深海棲艦には、そのような事は知ったことでは無いのね」
「大洗! 貴女だけでも先に行きなさい!」
「は、はい!」
大洗が急いで姫のもとへ向かおうとする。しかし……。
「大洗! 2時の方向、敵!」
「あっ……」
駆逐ロ級が飛び出し、砲口を向ける。攻撃を受ける。そう思った時だった。
「だらぁぁぁ!!」
駆逐ロ級が、
「……え?」
突然の出来事にポカンとする大洗。そこには、
「ここまでの攻撃でもほとんど無傷とはね。あんた等をただの艦娘だと思ったのは、間違いだったようだぜ」
「貴女は……?」
刀を持ち、
「『天龍』、ここに見参だぜ!」
不思議な感じがした。そこにいる天龍は、まるでさっきまで一緒にいたような……。
「まさか、ツ級さん!?」
「おうよ! flagshipのツ級様だ!」
何と、先程沈んだはずのツ級が、蘇ったのだ。それも艦娘として!
「蘇ったのは、俺だけじゃないぜ?」
「え?」
天龍の指さす方へ目を向けると、ハ級とイ級が魚雷によって吹っ飛ばされた。
「弱すぎる!」
「Feuer!」
そこには、『木曾(改二)』と『伊8』がいた。それぞれ、チ級とカ級だろう。
「艦載機、発艦!」
「さ~て、火遊びするような悪い子は、こうよ~!」
「攻撃開始します! 行っきますよ~!」
『雲龍』、『陸奥』、『青葉』まで居る。この流れだとそれぞれ、ヲ級、ル級、リ級だ
「皆さん、どうして……」
「それは、姫様を救いたいからよ~」
後ろから声を掛けられ、振り返る。そこには『龍田』がいた。深海棲艦では誰だったのかを思い出し……驚いた。
「ま、まさか、eliteのツ級さんですか!?」
「ピンポン~。大正解~」
「俺たちは姫様を守りたかった。だが、結局俺たちは姫様を泣かせちまった。それが悔しくて悔しくて、『戻りたい』って願った瞬間、この場に居たのさ」
「まさか、“ドロップ”……」
「そういう事になるかもね~」
青葉たちは、黒森峰たちに近づく敵艦を倒しながら、大洗のもとへと誘導する。
「学園艦の皆さん。私たちは、ここで『怒りの深海棲艦』を食い止めます」
「どうか、姫様を助けてください」
「……条件があるぞ」
「今度は、沈まないこと! 良いわね!?」
「勿論、そのつもりよ~。せっかく戻って来れたんだもの、ね~?」
『『『『はいっ!』』』』
元深海棲艦の艦娘たちが頷く。彼女たちの目には自己犠牲の感情は無く、「必ず一緒に帰る」という想いがこもっていた。
「よし! それなら、早く彼女の所へ向かうぞ!」
「戦闘機が次々と落とされてるね……。姫はかなり激しく怒ってるみたいだ」
「私たちで声を掛ければ、きっと目を覚まします!」
「行きましょう、大洗さん」
「はいっ!」
巧みに攻撃を避けながら反撃する天龍たちを後に、学園艦娘たちは対空棲姫のもとへ向かった。
何と、ツ級たちが艦娘として復活しました! 改二がドロップするのはゲームだとあり得ないかもしれませんが、まぁ、その、普通の深海棲艦とは違ってたからと言うことにしてください。
さて、次回はどうなるのか。どうかお待ちください!