学園艦が鎮守府に着任しました   作:G大佐

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お待たせしました。いよいよ……最終回です。

ふとした思い付きで書き始めたのが、まさかここまで多くの方々に読んでいただけるとは、思いませんでした! 本当に、ありがとうございます!

それでは、どうぞ!!


最終話は笑顔でいきましょう!

 さて、その後のことを話そう。

 

 まず、少将を始めとした反対派は、全員が逮捕された。一部の士官が開発報告書の偽造や資源の密売など、犯罪的行動に関わっていたことが明らかになったのだ。

 

 少将は、元帥へ殺人未遂を犯した事、指揮権を奪い学園艦娘を轟沈させようとした事が決定打となり、死刑が確定した。横須賀提督たちを拘束した憲兵たちは、現職解雇。航空隊発進の許可を出した高官たちも、軍から除籍される者がほとんどだった。

 なお、死刑を言い渡され軍法会議場を後にする時の少将は、抵抗することもなく、ただ項垂れていたという。

 

 こうして大本営は、組織の再編成、航空戦力の補充などをすることが目標となった。反対派を警戒しきれなかった元帥と中将も「責任を取って私も辞任する」と発言したが、多くの同志からの「組織を再編成しなければならない時に辞任されては困る」という言葉によって、除籍されることは無かった。

 なお、最初に辞任する思いを打ち明けた時、その話を聞いた大洗は……

 

「もしも責任を取るのならば、辞任という形ではなく、二度とこのような事が起きないように他の方々を導くという形で、償ってください」

 

 このように言ったという。そして、天龍達から聞いた深海棲艦の秘密。これも打ち明けることを約束した。日本だけではなく、世界にも。

 

 世界中に衝撃が走った。敵の中にも、友好的な態度を取る者が居るという事を知った。

 まだ完全に受け入れられた訳では無い。しかし、徐々に「そのような深海棲艦を救えないだろうか」と考える者も現れつつある。遠い未来だが、いつか『哀しみの深海棲艦』の救済も、行われるだろう。

 

 

 

 

 

 そして横須賀鎮守府では、姫が戻ってきたことに、文字通り“お祭り騒ぎ”となった。天龍達も含めて歓迎会が開かれたのだが、様々な鎮守府からも艦娘が招かれ、大規模なものになった。

 

「陸奥……!」

「ただいま、長門……。こっちの世界でも、よろしくね?」

「あぁ、勿論だとも……!」

「ふふ、泣いてるの?」

「馬鹿者……。そんな訳あるか……!」

 

「いや~。まさか木曾が改二の姿で来るとはね~」

「眼帯にマント……。中々クールじゃない」

「や、止めてくれ姉さん……。そんな、撫でまわさないでくれ……」

 

「イクちゃんにイムヤちゃん、ゴーヤちゃんも! 皆に会えてうれしいです!」

「私たちもよ!」

「イクたち、ハっちゃんが来るのを待ってたの!」

「これからは、一緒に海に潜れるでち!」

 

 それぞれ、再会を喜ぶ艦で溢れていた。その様子を、大洗と、彼女を幼くしたような少女(大洗のモデル艦が翔鶴なので、翔鶴を幼くしたようなとも言える)が、パーティー料理を食べながら眺めていた。

 

「とっても楽しいわね、愛ちゃん」

「うん! ドゥーチェお姉ちゃんが作ったお料理も美味しいよ!」

 

 愛ちゃんと呼ばれた少女。彼女は、前まで『姫ちゃん』と呼ばれていた少女である。『愛や心を知り、そして愛を与える娘になってほしい』。そのような思いから名付けられた。

 

 驚いたことに、彼女も戦車を召喚することが出来た。その戦車たちとは……

 

 M26パーシング

 M24チャーフィー軽戦車

 T28重戦車

 カール自走臼砲

 そして……A41センチュリオン

 

 そう。大洗たち学園艦娘にとって忘れることのできない“あの戦い”……大学選抜チームとの戦いで、相手が使用していた戦車を召喚できるのである。

 

「私たちの『消えたくない』といった願望や感情から生まれた、愛」

「つまりそれは、()()()()()()()()()()()()()()()()って事よね!」

「プラウダ達共通で忘れることのない、大学選抜チームとの戦いの記憶」

「それが愛殿の夢に出てきた」

「だから、その中心ともいえる大洗さんが夢に出てきたのね~」

「そしてそれが、愛ちゃんが大洗さんを『お母さん』と呼ぶ理由なんだね」

「運命ってのは、面白いものだな!」

「まさに、“事実は小説より奇なり”ね」

 

 黒森峰、サンダース、プラウダ、知波単、フリー、継続、アンツィオ、リーナがやって来た。

 

「皆さん……。どうしたんですか?」

「青葉が、大きなカメラを用意していてな。元深海棲艦組と私たち、そして提督たちとで記念写真を撮りたいそうだ」

「勿論センターは、大洗と愛ちゃんよ!」

「さぁさぁ、愛ちゃんが主役なら、そのお母さんである大洗も主役だぞ!」

「わわわ! ま、待ってくださ~い!」

「お母さん、早く早く~!」

 

 他の仲間たちに腕を引っ張られながらも、すでに並んでいる提督たちの所へ向かった。

 

 

 

 

 

「これで全員ですねー? それじゃあ、タイマーをセットしますよ~!」

 

 中央に大洗が立ち、身長が低い愛は、彼女に抱っこされる。

 

「タイマーセット!」

「青葉ちゃん、早く早く~」

「はーい!」

 

 龍田に急かされ、全員のもとへ向かう青葉。しかし、途中でコケた。

 

「だ、大丈夫ですか!?」

「おいおい、しっかりしろよ~」

「雲龍さん、天龍さん、すみません……。あ、そろそろです! カメラに注目!」

 

 長めにセットしたからか、シャッター音は中々鳴らない。

 

「愛ちゃん」

「な~に?」

「艦娘のみんなや提督さん達に会えて、嬉しい?」

「うん! みんな、大好き! お母さんは~?」

「お母さんはね……」

 

 パシャッ!

 

 その写真は、全員が笑顔で写っていた。しかし―――

 

 

 

 

 

――――私は、とっても幸せよ!

 

 

 

 

 その中でも大洗と愛の笑顔が、一番輝いていた。

 




読んでいただき、ありがとうございました。

以上をもちまして、『学園艦が鎮守府に着任しました』を完結とさせて頂きます。

大洗たち学園艦娘、そして新たに生まれた家族「愛ちゃん」が幸せに過ごせることを、どうか祈っていてください。

本当に、今までありがとうございました!

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