今回は、タイトルにもある通りサンマのお話です。作者の偏見(?)などにより、ゲームとは大きく異なる描写かもしれません。「提督はこんなこと考えねえよ!」という方は、ご注意下さい。
修正)ご指摘を受け、二航戦と間違っていた所を五航戦へ修正しました。報告ありがとうございました。
季節は秋となった。この季節によく聞かれるのが、『秋と言えばどんな秋?』だ。人によって様々だろう。食欲の秋、芸術の秋、読書の秋、スポーツの秋……。
だが、この話の横須賀提督にとっての秋とは――――“サンマの秋”である。
「それでは、行ってきます~」
「時雨、夕立、望月、初雪、雪風。彼女のことをしっかり守ってくれよ」
「「「「「了解(っぽい)!」」」」」
サンマ漁の季節が訪れた。深海棲艦の出現によって海の危険がより高まったこの時代。それでも日本人の血は、サンマを代表とした海の幸に飢えていた。
『ならば、艦娘に獲って来てもらえば良いではないか』。誰かがそう言ったことによって、日本全国の提督たちには、“季節限定の漁”も課せられたのである。
今回の編成は、時雨、夕立、望月、初雪、雪風、そして大洗である。大洗を除く5人は、彼女にとても懐いている。大洗を先頭に楽しそうに出撃するその様子は、まるで遠足だ。
「彼女は魚料理とか得意って言ってたけど、大丈夫かなぁ……」
“武器”を持たない大洗に、提督は何となく不安を感じた。
その予感は的中した。大洗は、駆逐イ級の群れから集中砲火を受けていた。
「きゃあぁぁぁぁぁ!」
学園艦は、途轍もなく巨大な艦である。また前世の世界が平和だったこともあり、大洗は“軍艦としての戦闘”を経験したことがない。巨大さ故に駆逐イ級といった深海棲艦の砲撃は大したことはないが、それでも『攻撃されている』という恐怖がある。大洗は成す術もなかった。
しかし、イ級たちの攻撃は突如中断される。
「大洗さんを虐めるのは、この雪風、許しません!」
「僕を怒らせたね? じゃあ……沈みなよ」
「大洗さんに何するっぽい!」
雪風は魚雷発射管を動かし、時雨は目のハイライトが消えて声も淡々とした口調になっていた。夕立に至っては目が赤く輝き、俗にいう『狂犬モード』に突入している。
そして、この二人も黙ってる筈がなかった。
「今から本気出す……!」
「流石にさー、私でも怒るっての」
初雪と望月も、連装砲を構えて砲撃する。この二人は大洗と接点がないように見えて、実はある。彼女がいつも布団をフカフカにしてくれたり、部屋を掃除してくれている。だからこそ二人は彼女に懐き、恩義も感じているのだ。
こうして、“
大洗たちが帰投するが、提督は最早その結果に驚かなくなっていた。まさか“漁船と同レベルの網”を使ってサンマを大量に確保するなど、誰が予想しただろうか。驚きを通り越して乾いた笑いしか出ない。
「わぁ~! 凄いです、大洗さん!」
「ふふふ~。サンマのつみれ汁にお刺身、サンマご飯に王道の塩焼き……いっぱい出来ますよ~。赤城さんも加賀さんも、楽しみにしててくださいね~」
「は、はい……。ありがとうございます……」
「あれれ~? 加賀さん何か言いました~?」
「五航戦は黙ってなさい」
「もう、瑞鶴ったら……」
空母たちは待ち切れないのか、早速サンマのメニューについて話している。長門などの戦艦たちも夕飯が待ち切れないのか、ソワソワしていた。
提督がそんな光景に和んでいると、何者かにズボンの裾をクイクイと引っ張られた。
「ん? ……あぁ、建造担当の妖精さんか。建造が終了したのかい?」
妖精さんはコクコクと頷く。大洗たちが出撃している間、提督は建造を行っていたのだ。これは、ただ“戦力を増やす為”だけではなく、『
提督は、俺の分のサンマ料理も残してくれるかなと思いつつ、工廠へと向かった。
イギリスの正規空母『アークロイヤル』に酷似した艦娘が、ティーカップを片手に挨拶した。
「学園艦、聖グロリアーナ女学院ですわ。リーナと呼んでくださいまし」
「……はい?」
横須賀鎮守府に、新たな学園艦が着任した瞬間であった。
はい、と言うわけで聖グロ学園艦が着任しました。実は結構前から他の学園艦の着任は考えてました。ただ、どの学校にするかで迷ってまして……。
次回は、そんな聖グロ学園艦と大洗との話を予定しております。次回もどうぞ、お楽しみに。