前半は、何かポーラっぽくない感じですが、まぁ彼女も真剣なときにはこうなるかもということで……。
自らを“アンツィオ”と名乗った威勢のいい艦娘に、ポーラは戸惑っていた。
彼女は、空母『アクィラ』と似ている。だがマントのような物を纏い、髪型もドリルツインテールだ。
「え~と、アンツィオさん?」
「え、あ、いや、ドゥーチェって呼んで欲しかったけど……。まっ、いっか」
「そ、その~……」
「む? 何か“呼ばれた”ような気がしたからやって来た訳だが、何か問題あったか?」
ポーラは冷や汗をダラダラと流した。酔っ払った勢いで建造したとはいえ、今この鎮守府には、ポーラ以外“誰も居ない”のだ。
どうしようか。彼女が下した決断は……。
「ご、ごめんなさいっ!」
「うおぉっ!? どうしたどうした!? 頭を上げろ!」
頭を勢い良く下げて謝るポーラ。それに驚き、慌てるアンツィオ。
ポーラは説明した。この鎮守府には指揮をする提督がいないこと、他の艦娘はみな他の鎮守府へ異動し、もう自分と妖精さんを除いて誰も居ないことを。そして、自分が“酔っ払った勢いで
アンツィオは腕を組み、黙って聞いていた。ポーラはそれが恐ろしかった。実は静かに怒ってるのではないか。そんな不安が押し寄せてくる。
「……なるほどな」
「本当にごめんなさい!」
「………………」
ポーラは恐る恐る顔を上げる。きっと、怒りに満ちた顔に違いない。口調からプライドは高そうだから、自分を指揮する者が居ないとは何事だと思ってるだろう。ましてや“建造した理由”が酔っ払った勢いなどと、本人からすればたまったものではない。
「……え?」
だが、当の本人は――――
「お、怒って、無いんですか……?」
「怒る? 何故だ?」
「な、何故って、酔っ払った勢いで建造したのに……」
「それだ! それだよポーラ!」
「……え?」
肩を摑んで笑うアンツィオ。だが、ポーラは理解が追い付かず、目が点になる。
「いいか? アンツィオ高校には、“欠かしてはいけない二つのもの”がある。それは……」
「それは……?」
「“ノリと勢い”だ! イタリア艦のお前が、酔っ払ったノリと勢いで、私を建造する! 最高じゃないか! はっはっはっはっ! はーっはっはっはゲホッ! ゲホッ!」
高らかに大笑いするアンツィオ。噎せて咳き込んでしまう辺り、愛嬌がある。
だがポーラは、目の前が滲んでるにもかかわらず、再び疑問を投げかけた。
「何で……何で私のことを許してくれるんですか……?」
「ん? “許す”だと? お前は“悪いことを全くしてない”じゃないか! それどころか、お前は偉い!」
「え……?」
「話を聞いて、この風景を見て、分かったよ。お前は、
「……はい」
「ずっと耐えてきたのだろう? だがもう安心しろ! このドゥーチェが居るからな!」
「……う、あ…………」
「ん?」
「うああああああああん!!」
ポーラは、泣きながらアンツィオに抱き付いた。突然泣き出したことに、アンツィオは慌てる。
「おぉぉ!? ど、どうした!?」
「寂しかった……! ずっと独りぼっちで……。でも、ザラ姉さまに見送られたから笑っていようとして、でも“酔ってる時”にしか全然笑えなくて……! ポーラが、“ポーラじゃなくなっちゃう”ような気がして……!」
「……よしよし。泣いて泣いて泣きまくって、スッキリしろ。その分、あとから笑おうじゃないか」
「わあぁぁぁぁぁ!」
アンツィオは、ポーラの背中を彼女が泣き止むまで撫で続けた。
そして、ポーラは泣いてスッキリしたのか、敬語の入った態度から
「本当に大丈夫なの~?」
「大丈夫だ! 海外から来た艦娘が行方不明ともなれば、大本営とやらも各地の鎮守府に、私たちを保護するよう命令する筈だからな!」
鎮守府にいる妖精さんを全員集合させると、どんどん自分に乗せていくアンツィオ。
アンツィオの考えたこと。それは、『大本営からの迎えよりも
「大体、“手続きに時間が掛かる”からこそ、
「そうだけど、脱走だとか変な風に思われないかな~……?」
「そう思われる前に保護して貰うんだ」
「なら~、行き先はどうするの~?」
アンツィオは、どこからか地図を取り出す。
「ふむ……。ここから比較的近いのは、横須賀だな! 横須賀鎮守府へ向かうぞ!」
さぁ、アンツィオ姐さんとポーラが横須賀に向かいます! 一体どうなるのでしょうか?