ヤムチャな俺が目覚めたらシガンシナ区の門が蹴り壊されるところだった   作:@さう

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第1話

ヤムチャな俺が目覚めたらシガンシナ区の門が蹴り壊されるところだった

 

 

001ドラゴンボール世界の終焉

 

 

「クリリン! ヤムチャ!」

 

 見下ろすとボロボロの悟空が叫んでいた。

 悟飯も泣きそうな顔をしている。

 

 やっぱこうなるか……

 

 サイバイマンは倒した。

 ベジータ戦もギリギリ生き残った。

 

 しかし、フリーザ様はやっぱ無理だった。

 最終形態までは生き残れたが…… まぁ、ずっとクリリン達と行動してただけなんだけど。

 

「悟空ーーーー!!」

 

 隣でクリリンが叫んだ。

 

 次の瞬間、俺とクリリンは爆散して死んだ。

 

 

 

 

 俺はゆるーく考えていた。

 

 原作でヤムチャは三回死んでる。

 サイバイマンの時、そして魔神ブウに二回。

 

 サイバイマンの時のが今になったって事だろう。

 その程度に考えていた。

 どうせクリリンや他の人たちと一緒にドラゴンボールで生き返らせてもらえるだろうと。

 

 原作知識はあったが、結局クリリンより強くはなれなかった。

 ギリギリ追いつけない。

 世界の矯正力的な何かだろうか?

 

 原作では転生したウーブが地球人最強になってしまうが、現時点で地球人最強はクリリンだ。

 農夫のおっちゃんが戦闘力5だというのに、ラディッツ編で200、このナメック星編では1万を超えてる。

 俺はそれより少し劣る程度。

 

 人造人間編ぐらいからもう大して役にたてなくなってくるけど、それはそれとして。

 生き返ったらまた一緒に修行しようぜ。

 新しい技とか考えながらさ。

 

 原作のヤムチャはずっとフラフラしてたけど、俺も嫁が欲しいなぁ。

 

 

 

 ドラゴンボール世界では死んだら復活できる。

 

 そう信じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 たった一台のトラックがフラフラと蛇行した事から大事故が起こった。

 避けようとした車が他の車とぶつかったり、同じく避けようとした車同士ぶつかったり、玉突き事故というか雪崩事故というか、大変な事になった。

 歩行者もなぎ倒された。

 原因の一台の運転手は超過労働による運転中突然死だった。

 トラックは歩道を乗り越え、ビルに直撃。

 歩行者5名が怪我、一人が死亡。

 ドライバーを含めると死者二名。

 そして俺は死んでしまった歩行者一人だ。

 トラックとビルの壁に押しつぶされて体がいくつかに千切れて死んだ。

 

 巻き込まれ事故で死んだ後、神様に呼び出された。

 俺の魂には少し問題があって、浄化装置のフィルターに詰まってしまうらしい。

 それで、

「お前さん漫画好きなんじゃろ? 漫画世界に転生させてやろう」

 という事で、神様曰く、魂を薄く伸ばす作業のために転生させていただいた。

 

 

 そして俺はヤムチャになった。

 

 

 ドラゴンボールは好きな漫画だし、舞空術で空飛んだり、気弾を放てるのは凄く楽しかった。

 辛い戦いもあったけど、やっぱり悟空がいるとなんか安心する。

 

 俺はまだ、ドラゴンボール世界で生きていくものだとおもっていた。

 

 

 

 ーーーーーーーーー

 

 

 

「……なんだここ……」

 

 目がさめると、そこは街中だった。

 石造りの家が多くて、ヨーロッパの観光地にでもいるのかと。

 

 もしかして地球に帰ってきたのだろうか。

 ふと自分の手を見てみる。鏡は無いが、その手は間違いなく俺の、ヤムチャのものだった。

 

 ちょっと興奮した。

 だって、ヤムチャのパワーを持ったまま地球に戻れたとしたら、これは人生イージーモードですわ。

 ……いや、どうやって金策するかは考えないといけないけど。

 とはいえ、ドラゴンボール世界でもバイトはしてたけど、凄まじい体力と舞空術が使えるだけで、めちゃくちゃバイト捗ったし。

 歩合制のバイトならとんでもなく稼げる。

 

「おい、にいちゃん。変な格好してんな。大丈夫か」

 

 俺は石造りの道の上で座り込んでニヤニヤしていた。

 

「あっ、あははは。すみません。ちょっと考え事してたもんで」

 

 おかしい。

 ドラゴンボール世界ならともかく、なんでこの明らかに堀の深い白人のおっさんが日本語を喋っているんだ。

 

 地球じゃ無いのか。

 とすれば、ドラゴンボール世界のどこかか。

 建物の造形がドラゴンボール世界よりも地球っぽかったのでちょっと期待したんだが。

 

 ドラゴンボールで復活したけど、場所の指定が無かったとか、そういう感じだろうか?

 

 とりあえず街中をフラフラ歩いてみる。

 

 この街は城郭都市らしい。

 ますますヨーロッパっぽいな。

 でかい壁がそびえ立っていて、この街を囲んでいる。

 建物との差を見るに、あの壁は50メートルぐらいあるんじゃないのか?

 ヨーロッパにそんな高い壁あったかな?

 やっぱ復活する場所を間違えてここに来ただけか。

 

 気を感じてみるが、この街中にみっちり人が詰まってるらしい。

 畑とかは外なんだろうか?

 

 水の匂いを頼りに歩いていくと、川があった。

 

 近くに船が泊まっている。

 生活用水に使ってるかは知らないが、運河の役目もあるらしい。

 船はロープウェイの様になっていて、これで移動するらしい。

 面白いな。

 気の感じからして、そこまで人がいるわけでもなさそうだがこういうインフラが整っているというのはなかなか……

 

 ……ん? どっかでコレ見たような……

 

 どこで見たんだ?

 

 

 と、三人の子供が座り込んでいた。

 なにやら話し込んでいる。

 黒髪二人と金髪一人。

 黒髪の一人はなんか叫んでる。

 

「100年壁が壊されなかったからといって、今日壁が壊されない保証はどこにも無いのに……」

 

 金髪の声が聞こえてきて、俺は気付いた。

 

 あの船、そしてあの言葉。

 

 

 次の瞬間、大きな音が街に響いた。

 何かの爆発音か?

 そして突然デカイ気が現れた。

 

 子供達が走っていく。

 

 俺も近くの屋根に上がって、それを見た。

 

 大量の蒸気をあげながら、壁から出ている肉肉しい顔を。

 

「超大型巨人……」

 

 思わず口から声が漏れる。

 

 

 

 

 ドラゴンボール世界で死んだと思ったら、進撃の巨人の世界に来ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーー

 

 天津飯は三つ目人という宇宙人の子孫だそうです


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