ヤムチャな俺が目覚めたらシガンシナ区の門が蹴り壊されるところだった   作:@さう

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農民になろうぜ

003農民になろうぜ

 

 

 

 ドラゴンボールは大好きな作品だった。

 進撃の巨人も大好きな作品だ。

 

 

 ジャンプ系のドラゴンボールからマガジン系の進撃の巨人へ……

 てことは次はチャンピオン系か?

 一番読んでたのは刃牙シリーズだけど……

 ヤムチャのままなら無双できるが今回が特別なだけで一般人に転生するという可能性もあるし。

 でもあの世界はキャラクター以外は現実世界と変わらんから地球に帰るようなもんなのかも。

 

 などと考えている。

 

 考えながら、鍬を動かしている。

 結構手抜きだが、ざっくりと鍬が土に食い込み、ゴッソリと土がめくれ上がる。

 

 現在の俺は開拓民だ。

 

 シガンシナ区の住人は最初避難所生活をしていたが、現在は開拓民として荒地というか、草むらや森を切り開き、畑作りのためにせっせと耕している。

 

 あれか、サーシャの父親の懸念している状況か。

 多くの人を生かすために森を切り開かにゃいかんという。

 

 エレンは来年兵士に志願するらしい。

 結構モメてた。

 カルラさんが生き残ってるんだけど、父親、グリシャさんはしばらく一緒にいたもののやっぱり消えてしまった。

 

 そもそもグリシャさんは余命が少なかったし。

 カルラさんと最後のひと時を過ごせただけでも良かったのかもしれない。

 

 グリシャさんは知識があってもどうしようもなかったけれど、ウォールマリア突破後の人減らし作戦については傍観したままだった。

 どうしていいかわからなかった。

 

 巨人を皆殺しにして壁を塞ぐ事はできたが、しなかった。

 

 シガンシナ区に続いてウォールマリアが破壊され、人類の生存域は一気に狭まった。

 食料が足りなかった。

 俺が本気で開拓したら食料事情は変わったかもしれないが、確実に目をつけられるし、原作基準のあの王宮の様子だとどうなるかわからない。

 

 このままこの島から逃げて、どこかで隠れて暮らせば楽だったと思う。

 だって俺今人類最強だし。

 だけど俺はカルラさんを救ってしまったし、それによってエレン達がどうなるかもわからない。

 それが心配でずっと側にいる。

 

 一応、助けた人はいる。

 アルミンのおじいちゃんだ。

 

 俺も口減らし作戦には参加した。

 グリシャさんも軍医として同行していた。

 生きて帰った者は少ない。

 俺はアルミンのおじいちゃんだけ救って、あとは見殺しにした。

 巨人も殺せなかった。

 俺はあれが差別を受けて捨てられた人々だと知っている。

 

 九つの巨人は人に戻れる。それを食った巨人も。

 九つの巨人の髄液があればいいのなら、巨人に髄液を入れてやれば人に戻れるのだろうか?

 しかし、原作ではそんな話はなかった。

 本当に、継承なのだろう。

 だが、始祖の巨人にはかなりの力があるという。

 俺が死んだ時点ではまだそこまで語られていなかった。

 もしかして、人に戻せるんじゃないのか?

 そう思うと、自分ではやれなかった。

 

 原作を壊したく無いから、という言い訳をして、俺はまたにげた。

 

 ずっと後悔している。

 

 この世界の死は、ドラゴンボール世界のそれよりもずっと壮絶なのだ。

 ドラゴンボール世界は結構一瞬で消えたり爆散したりして死ぬ事が多いが、ここでは普通の人間のように、苦しみ抜いて死ぬ。

 

 人減らし作戦で傷付いた人々を、グリシャさんの助手として見て回った。

 巨人は人を食う。

 そんな中で生き残ったのはごく僅かだ。

 生き残った人々は、五体満足か、死ぬ間際で偶然生き残ったかの二つだけだった。

 

 地獄だった。

 

 

 

 

 原作は大事だと思う。

 けれど、救える範囲の人はなるべく救いたい。

 今度こそ。

 

 巨人だって、なるべく最低限にするつもりだけど、殺す。

 

 

 

 

 

 

 ある日、王都の方向で、巨大な気が二つぶつかり合いその一つが消えた。

 

 

 次の日、グリシャさんは、

「カルラを救ってくれて、ありがとう」

 と言い残し、消えた。

 

 

 

 

 いつの時点でかはわからないが、カルラさんはグリシャさんから全てを打ち明けられたらしい。

 

 地下室の鍵は、エレンではなく、カルラさんが持っていた。

 いつかシガンシナ区を奪還した時、エレンに伝え、渡してほしいと。

 

 

 

 ーーーーーーーー

 

 

「ヤムチャ、ありがとう」

 と、エレンが言った。

 頭は下げてないし呼び捨てだが、その決意漲る目を見ていると、まぁいいかと思えてくる。

 

「ヤムチャさんのお陰で、僕達ひもじい思いしなくて済みました。冬を超える度に人が死んでいったけれど、僕達は、生き残れました。ありがとうございます」

 

 アルミンはしっかりと頭を下げた。

 

 俺、壁の外に出るのも巨人を巻くのも簡単だし。

 たまに狩して獲物あげてた。

 

 生き残るというのは分かっていても、ついつい肉を食べさせてしまった。それだけヤバイ食料事情だったのだ。

 

 芋は食べ放題かと思ってたがそうでもなく、結構な量が徴収される。

 それにここ開拓地だから元々の収穫もまだ少ない状況。

 冬籠りの間に餓死者や凍死者がバンバン出た。

 助け合いの精神はあるものの、みんな痩せ気味だ。

 なんだかだるいなーと動かないでいると、そのまま餓死や凍死してしまう。

 弱った気に気付いて食料を持っていても、もう食べれなくなっているか、食べた後に死ぬ。

 すぐに消化吸収されるわけではないし、体温が下がりきっていたら身体機能が追いつかない。

 すぐに温めるのも危ないので徐々に体温をあげている途中で手遅れになったりもする。

 ドラゴンボール世界の体がどれだけ恵まれていたか、現代日本の衣食住がどれだけ素晴らしかったか実感した。

 薪も微妙に足りなくて、配分間違うと凍死まっしぐらだ。

 地獄だ。

 

 弱った気を感じるとなるべく助ける様にはしていたが医療の知識は俺には無い。

 体が弱って免疫力が落ちて、死んでいく人はどうしようも無かった。

 それに、救えたとしても、食料が足りないのだ。

 エレン達や、その他の人達にそれとなく狩で得た獲物を配っていたが、一度それが憲兵に見つかり、持っていた避難民がボコボコにされた。

 その人は怪我が元で死んでしまった。

 狩が禁止というより、狩をする暇があったら畑を作れということらしい。

 あの憲兵をうっかり殺しそうになった。

 しかし、殺してしまったら、この避難民を守って戦い続けなければならなくなる。

 そしたら死体の山だし、本当に守りきれるかわからない。俺は一人だ。目の届かないところでだれか刺されるのを止める事はできない。

 この世界に仙豆は無い。

 

 

 どうしたらいいのかわからない。

 ドラゴンボール世界が恋しくてたまらない。

 なんだよこの世界。

 

 

 狩ってきた食料は最低限を配る様になった。

 憲兵に目をつけられない程度にはガリガリだけど死なないという程度に。

 

 それに、俺はカルラさんとアルミンのおじいさんを救った。

 配給は家族あたりで配るため、家族の数が増えるとちょろまかされる可能性も上がるし、子供と大人では食べる量も違う。

 エレン達三人だけなら生き残っていたが、カルラさんやアルミンのおじいさん、そして、原作より長く生きたグリシャさんの事も考えたら食料がもつかわからなかった。

 

 最初は三人のためだったが、それではなんか気まずくなり、避難民全員に与えたところ、一人それが原因で殺されてしまった。

 

 

 死者はできるだけ抑えたつもりだ。

 しかし…… 

 

 

 何度この世界の王になろうと考えた事か。

 

 けれど、巨人の力を巡る悲劇は今のところ俺にもよくわからない。

 これが解決する事がこの世界にとってのハッピーエンドだと思う。

 そのためには、原作のキャラと、ストーリーが要る。

 

 

「エレン。お前は本当に兵士になるのか?」

 

「ああ。調査兵団になるのが目標だ」

 

 エレンはカルラにそっくりだ。

 やたら目力がある。

 

「農民にならないか? 畑も大きくなってきたし。俺と一緒にここに残って農業するわけにはいかないのか?」

 

 俺の言葉に、

 

「そうだよ。エレン。巨人と戦うなんて危ない。私はエレンが一緒ならずっと芋生活でも……」

 

 ミカサはずっとヤンデレだった。

 これも巨人の力を巡る悲劇の一つだろう。

 

 ミカサが目覚めたのはエレンを主人に設定したから。

 強くなったが、その代わりにご覧の通りだ。

 

 リヴァイはエルヴィンに懐き、エルヴィンが死んだあとで力を失い、なんとも普通の人間らしい最後を遂げた。

 ケニーは先代に支え、そして、まさかの逃げ遅れで死んだ。

 

 原作ではミカサはまだご存命だったが。

 マジ美少女の彼女を死なせるのは絶対にダメだと思う。

 エレンには生き残ってもらいたい。

 

「ミカサ、お前は残ってもいいんだぞ。母さんのこともあるし」

 

 カルラさんはここに居残りだ。

 

「ダメ。エレンは私が見てないと危ない」

 

 何イチャイチャしてんだこいつら。

 と、いう気持ちなのは俺だけでは無いようだ。

 アルミンもシラーっとした目で二人を見ていた。

 

「エレン、ミカサ、そしてアルミンも。お前たちは強い。体力テストは簡単に合格できるだろう。だが、慢心してはダメだ。慎重に、そしていのちだいじに」

 

「ヤムチャさんのいのちだいじにはもういいよ」

 

「ハハハ。まぁ、危なくなったら助けにいくから」

 

「……なぁ、ヤムチャさん、本当に兵士にならないのか? たしかに年いってるかもしんないけど、ヤムチャさん程の人が兵士にならないなんて人類の損失だ」

 

「エレンもずっとそれ言ってるな。いいって。それにカルラさんやお爺さんの事もある。俺がここにいれば安心だろ?」

 

「それはそうだけど……」

 

 カルラさんやアルミンのお爺さんを助けた事で、三人がここに留まる気になるんじゃないかと思ったがそんな事にはならなかった。

 やはり、意思は強いし、何より俺がここにいるから。

 

 この三人はわしが育てた。

 

 ドラゴンボール世界とはやはり人間の体の作りが違うらしく、鍛えたら鍛えるだけ強くなるという事は無いみたいだが、この数年でかなり強くなったと思う。

 

 意外にも、飲み込みが早かったのはアルミンだった。

 いかんせん生まれつきの体質なのか筋肉は付きにくかったものの、対人戦ならエレンとタメを張れるぐらいに強い。

 武術を教えたのが良かったんだと思う。アルミンに合っていた様だ。

 亀仙流というのは基礎体力向上というか、決まった型が無いというか、咄嗟の判断力や感覚を主に鍛える武術なのだが、アルミンは自分の中の気を発見するのが早く、それを上手く使って、体の各部や感覚を強化する事ができた。

 気の使い方が上手い。

 クリリンに似てるなと思って、ちょっとしんみりした。

 俺が最後に見たのはクリリンが爆散する姿だったし…… 生き返ってるとは思うけどさ。

 

 俺は亀仙流最後の門弟だ。

 悟空の妻のチチさんは武天老師様の弟子である父の牛魔王から習った孫弟子なので、系列的には、こいつら三人はチチさんと従弟弟子?なになるのかな?

 

 武天老師様、こっちの世界に孫弟子ができましたよ!

 

 エレンの方も基本は亀仙流だが狼牙風風拳を気に入ったみたい。

 いわゆる高速タコ殴りなんだが。

 とういうか、こいつ放っておいても最初に突っ込んでくし、攻撃技は合っていたのかも。

 気は気迫の力とは言ったもので、エレンはどんどん気が湧き出てくる。絶対量はまだまだ少ないものの、なかなか力尽きないのだ。

 やっぱ主人公だわ。程度は天と地ほど違うが悟空もこんな感じだった。

 

 ミカサは…… こいつなんでもできる。

 この世界にも気はあるが、体の作り、設定が違う。

 でも、もう少し頑張ったら舞空術ぐらいマスターできそう。

 

 

 

「いのちだいじに。いのちだいじにだぞ」

 

「わかったよもう」

 

 

 

 

 

 三人は訓練兵になった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

ヤムチャの優れた五感で盗み聞きを繰り返す主人公

 

もちろんグリシャとカルラがアレしてる時は時は離れましたよ

 

アッカーマン一族における独自解釈あり

リヴァイとケニーの主人の話

 

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