ヤムチャな俺が目覚めたらシガンシナ区の門が蹴り壊されるところだった 作:@さう
004訓練兵三羽鴉
ボロいけれども楽しい我が家。
カルラさんを中心にすると、アルミンのお爺さんが義理のお爺さんで、俺は義理の兄弟かな?
ギリギリ家族である。
アルミンのお爺さんは年だし、結構弱っていたのだが、アルミンと同じく才能があったのか、あの三人の様に体内の気を感じられる様になってからは健康そのものだった。
農作業にもせいが出る。
カルラさんはグリシャさんを亡くしてから一度も弱音を吐かず、農作業に内職にせいを出している。
強い女性だ。
俺はといえば、農作業したり、たまに狩に出たり。
そこまでは以前と変わらないが、三人が旅立ってから、たまに訓練兵を見に行くという仕事が加わった。
舞空術ですぐだし。
狩しながら見に行きます。
面白くてついつい三人を鍛えすぎた感あったので、どうなるか気になったせいもある。
懸念通りというかなんというか。
あの三人対人戦闘でぶっちぎりの三トップだし行軍関係の訓練でも体力が有り余っている。
荷物を肩代わりされて屈辱にまみれるアルミンのシーンがカットされてしまった。
気の使い方教えたのはやり過ぎだっただろうか?
気になるのは、アニがやたらアルミンに懐いている事だ。
懐いてるっていうか、つけまわされてるっていうか……
原作ではエレンを気にしていた様だが。
ベルトルトは…… そうか、こうしてみると確かにアニが気になっている様だ。
アニがアルミンに懐いているのは武術のせいだろう。
アルミンはどう見てもイケメンなんだが、なぜか女性にモテなかった。
治安が悪い地域程マッチョがモテるという話もあるし、このご時世ではヒョロガリはモテないんだろうか?
だとすれば、俺はこんなところで原作に介入してないで、よそで生活してたらモテモテだった可能性も……
アニはアルミンを闇討ちしようとして、アルミンはそれを驚きながらも捌いている。
そこからアニが小刻みにローキックを入れ、ジャブで牽制し、ハイキックをアルミンが避けたところで、一気に脚を取りに行く。
アルミンは体を回転させて、アニの肩に手を当てて、地面に転がす。
そこで一言二言話をして、アニは去る。
そんな事が一日一回以上はある。
アニはいつも闇討ちが失敗して不思議らしいのだが、あの三人は人の気配ぐらいならわかる様になっているので、闇討ちはよっぽど気を抜いてるか寝てるかじゃないと成功しない。
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やがて、アルミンがアニに武術を教え始めた。
亀仙流にはこれといった型が無いので基礎訓練の様なものだが。
人類の戦力になるなら、と思っているのだろう。
女型の巨人強くなっちゃうからやめてほしいのだが、エレンも使えるし、まぁいいんだろうか?
原作通り、訓練中にうっかり死にそうになってる奴がいたので助けたりしながら日々は過ぎていった。
「これならヤムチャさんに鍛えてもらったほうがマシだったぜ」
とかエレンがよく呟いているけど、実際にはアルミンやミカサとよく組手しているので訓練中もどんどん強くなっている。
クリリンの事を思い出してちょっとしんみりした。
そんな中でも、やはりライナーやベルトルトは優秀な兵士だった。
元から戦士として訓練しているからだろう。
判断力や行動力が洗練されている。
体力では三人がトップでも、やはり兵士としての価値はライナーやベルトルトの方が上だった。
つか、エレンとミカサは座学で二人に負けてるし。
アニも意外に好成績。
これは原作でどうだったか知らないが、アルミンはアニに武術だけでなく座学も教えている様だ。
これ原作の流れに影響しないだろうか。
俺が知る限り、アニはずっと地下で水晶の中だった。
原作で退場する時点で改心して身を隠す分には原作に影響しないはずだ。
もしもそうなったら、俺が攫って匿っておこうと思う。
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そしてとうとうあの日がやってきた。
二度目の超大型巨人との邂逅。
壁の補修に就いたエレンたち訓練兵が超大型巨人と出くわして、トロスト区の壁が破壊され、侵入してきた巨人たちによって地獄絵図が広がる。
俺はこの日まで、何度ライナーとベルトルトを殺しておこうかと考えた事か。
今日、訓練兵もトロスト区の住人も多くの人たちが死ぬ。
でもここで俺が出しゃばると、重要なシーンがいくつも潰れてしまう。
エレンはどうやら巨人化できる事をまだ自覚してない様だし。
どうすればいい……
あの時、救える命は救う。巨人も殺すと決めたのに、何もわからないまま、俺はこの日を迎えた。
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主人公はヘタレです。