ヤムチャな俺が目覚めたらシガンシナ区の門が蹴り壊されるところだった   作:@さう

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これからのこと

007これからのこと

 

 

「アニ、本当にアニなのか!?」

「とうさん……」

 

 アニの親父さんは、アニの肩に手を置いて、ボロボロと泣いている。

 歳いったおっさんの咽び泣く姿はなかなか胸に刺さる。

 

 アニは突っ立ったままだが、やはりボロボロと泣いていた。

 

 なんかこの親子似てるわ。

 

 

 

 

 

 

 とりあえず、アニを連れてマーレ本国へ行った。

 舞空術で直ぐだった。

 

 アニは…… なんというか、変な奴だなと思った。

 

 最初は空を飛ぶ事に驚いていたが、声を上げるわけでもなく、顔を青ざめさせていた。

 それからだんだんと慣れて、あとはなんとなーく空の旅を受け入れていた。

 顔色はともかく、だいたい無表情だった。

 そういうキャラなんだろう。

 

 アニの誘導に従って、アニの親父さんを探し出した。

 

 

 なんというか、この収容所は淀んでいる。

 地球でもあった事だが、俺は体験してないし時代が違った。

 ドラゴンボールの世界の地球でもこういうのは無かった。

 犯罪者はいたけど、世界中ふつうに平和だった。

 フリーザ様は宇宙でやらかしてたかもしれないけど、地球上にはこんなとこ無かったしな……

 

 

 俺はマーレ人、ここのエルディア人にも接触しない事にした。

 

 アニの親父さんからすると、突然アニが家に現れた感じだろう。

 びっくりはしていたものの、嬉しくて泣いてしまった。

 娘との接し方が分からず、格闘技を教える事しかできなかった不器用な親父さんだったのかもしれん。

 

 

 俺実は同じ家の別の部屋にいるんだけどね。全然気付かれねぇな。

 

 

 ーーーーーーーー

 

 

 アニは秘密の任務で一時帰宅したという事にした。

 秘密なのでほかの人に喋ってはいけないとか、色々言い含めていた。

 アニの親父さんは結構アニに似てる感じがするので、余計な事は喋らなさそう。

 

 

 新米憲兵が早速丸一日サボっていた事になるわけだが、まぁあの組織結構緩いし。

 

 

「アタシも、訓練すれば空が飛べる様になる?」

 

 アニはどうやら自分で親父さんに会いに行きたいらしい。

 

 この親子はどうも元々の性格のせいなのか、特に洗脳されているという感じではなかった。

 教育は教育、それはそれとして、自分には関係ない。

 そんな感じの態度だ。

 

「空を飛べれば、父さんと逃げられるし……」

 

 との事。

 

 エレン、アルミン、ミカサを見ていると、おそらく舞空術はできるだろうと思う。

 

 気弾はどうか分からない。気の量からして巨人化したらできそうな気はする。

 それか、人のままでもだいぶ気を練れば。

 

 舞空術は、その名の通り、術だ。

 

 ドラゴンボール世界には、特に説明無いが技が多く存在している。

 フリーザのコルド一族は、あの惑星を破壊するエネルギーを作り出す事ができる。

 あれは惑星の地殻に侵入し、内部から惑星を崩壊させる。

 時限式のブラックホールみたいなもんか?

 

 クリリンの気円斬も技だ。

 あれは高速回転する気で、フリーザの尻尾もぶった斬れる。

 簡単にコピーされてしまったが。

 

 結構活躍していたのは太陽拳だろう。あれも技。

 

 さらには魔神ブウやダーブラの魔法や特殊能力などもある。

 神様達は、物質を作り出す力を持っている。悟空の道着や宇宙最高度のカッチン鋼を作り出したりできる。

 その対となる破壊神は、物質を、因果ごと破壊できる能力がある。

 強さではなく、技である。ただ強ければ神になれるというわけではない。

 

 ドラゴンボールの世界はただの力比べの世界ではなかった。

 

 その中でこの舞空術は、技である。

 

 ビーデルさんだって気弾は覚えてなかったみたいだけど飛べる様になったわけだし。

 ウーブも飛び方を知らなかった。

 

 高速で飛ぶなら気のブーストが要るが、ふつうに飛ぶ分には問題無いだろう。

 

 しかし、親父さん抱えて飛ぶとなると腕力は上げないといかんか。

 

 

「多分だけど、飛べると思う。ミカサは半分ぐらい自分で飛べる様になってたし」

 

「そうか…… 教えてくれない?」

 

「アルミンからどれだけ習った?」

 

「気? を感じる事と、コントロールする事」

 

「あとはコツをつかめばいけるかな……」

 

 

 

 そんなわけで、アニはマーレからこっそり離脱し、俺の弟子になった。

 

 

 武天老師様! また孫弟子ができましたよ!

 ちょっと小柄ですが、金髪のすっげぇ美女ですよ!

 ぱふぱふはともかく、お尻は締まってて凄くいいと思います!

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 あの三人には亀仙流を教えた。

 気の使い方を覚えて、それから感覚を研ぎ澄まし、人体の構造や、どうすればどう動くか、運動の方向に対してどう力を加えれば反らせるか、そういった事を、型ではなく、直接戦って教え込んでいった。

 

 アニの場合は、気の操作のみだ。

 たしかに時間の短縮にはなるかもしれないが、アルミンが人に教えるのがやたら上手いみたいで、俺と接触した時点でアニは気を消す事を自ら考えて習得していた。

 こいつ天才なんじゃないか?

 

 

 

 ーーーーーーーーーーー

 

 

 アニが四番目の弟子になった。

 この時点で俺はもう原作クラッシャーになろうと決めた。

 

 アルミンと少し話をしたのだが、

「アニは凄く才能あると思います」

 と返事。

 いや、アルミンも人に教えるのだいぶ上手いと思うけどな。

 

 アニの事については聞いたけれど、弟子にするという話は打ち明けていない。

 

 エレンの事がある。

 あいつ原作よりもだいぶ丸くなってるけど、それでもやっぱり激情家だ。

 今のところアニは直接人を殺していないみたいだが、マーレの一味として働いていた。間接的には殺している。シガンシナ区やウォールマリア、そしてトロスト区。

 エレンがそれをどう判断するかがわからなかった。

 

 

 ーーーーーーーー

 

 

「おっ? おお?」

 

 などと、女の子にしては少し野太い声を漏らして、アニは体をバタつかせている。

 ほんの数ミリだが、地面から浮いて、滑って、転びそうになっている。

 

「凄いな……」

 

 俺も思わず唸る。

 こいつ、才能がある。

 

 気になっている事はあった。

 アルミンはどう見ても普通の人間で、しかし頭が良かった。

 あいつを見ているとクリリンを思い出すのはそのせいだ。

 

 しかし、ミカサとエレンは何か少し違っていた。

 エレンはどこかから湧き上がってくる底なしの気があったし、ミカサは教えたらすぐにコツを掴んで自分のものにできた。

 

 アニはその間ぐらいだろうか。

 

 もしかして巨人化に何かあるんじゃないだろうか?

 巨人の体を構成する物質は、異空間から来るらしい。

 アッカーマン一族の強さも人のままこれにアクセスできるからだという。

 それと同じように、何か、知識とか経験とか、そして気さえも彼らの中に流れ込んでいるんじゃないだろうか?

 

 

「三週間でこれだけできるなら、すぐ飛べる様になると思う」

 

「そうかな……」

 

 アニは嬉しそうに笑った。

 ……いや、なんか、ニヤっとした感じなんだけど、最近アニの表情が分かってきた。

 

 ビーデルさんは二週間ぐらいで飛べる様になったはず。

 ちと遅いが、ドラゴンボール世界の人間と比べてはいけない。

 

 それに、修行つっても、三日に一度ぐらいアニが気を練るのを指導する程度。

 あんまり弟子って感じしないなぁ。

 

 組手とかにも興味はあるみたいだが、やはり空を飛ぶのを優先しているらしく、気を練る訓練ばかりずっと一人でやっていた。

 

 憲兵団でテキトーにダラけた生活してたのも良かった。

 修行の時間が結構取れたみたい。

 周りの連中からはサボってると思われてるけど。

 

 無愛想というか無表情というか顔怖いけど、空を飛ぶための練習のみをずっと繰り返している姿は父親を大事にする娘だった。

 

 

「そろそろ、お父さんに会いに行ってみるか?」

 

 アニは黙って頷いた。

 

 あれから三週間ぐらい。

 極秘任務でそんなにすぐ帰ってこれるものかちょっと俺も分からんが、浮く事が出来るようになったアニにとって、今回は空を飛ぶ感覚をつかむための大事な修行でもある。

 

「前みたいに俺が持ち上げていくけど、俺の気の流れとか、空を飛ぶ時の感覚をちゃんと掴むんだ。これも修行だよ」

 

 アニは黙って頷いた。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 ほんの三週間ぶりだというのに、アニの父親はまた泣いていた。

 もしかして涙もろいのかなこの人。

 アニは泣かなかった。

 泣かないどころか、決意みなぎる瞳をしていた。

 いつか自分だけの力でここに来る。

 父親を連れて逃げる。

 そんな決意があるのだろう。

 

 

 でも、逃げるって、どこへ……

 

 

 正直なところ、俺にはエルディア人とマーレ人の区別つかん。

 

 どこか別の国に逃げたとして、普通に混じって暮らせるなら良し。

 しかしエルディア人とバレたらどうなるんだろう?

 マーレ以外でも差別されてるんだっけか?

 差別というか、マーレが巨人を使って戦争してるから、恨まれてはいるだろうな。

 

 俺にはあんまり見分けつかんけど、こっちの人だとわかるんだろうか?

 

 獣の巨人の前任者は、自分がエルディア人とばれてしまった事で妻子をなくしている。

 差別意識というか、忌避意識と言った方がいいだろう。

 それほど嫌われている。

 

 これをどうすればハッピーエンドになるんだろうか。

 

 獣の巨人の前任者、そして、現在の獣の巨人継承者であるエレンの義兄、ジーク。

 

 エルディア人安楽死作戦は漫画で読んだ時、ひどい話だけど、確かにもうそれしかないなと思えた。

 

 今の俺なら何かできそうだけど、でもどうしたらいいかはまだわからない。

 

 始祖の巨人はエルディア人を操れるが、その他の人々を操れるわけではない。

 そして、エルディア人を差別し、忌避し、嫌っているのはその他の人々だ。

 エルディア人が変わったところで、新しい子供が生まれなくなったところで、生きているひとたちの地獄は続く。

 

 

 まだ余裕はあるだろうか?

 

 まずはジークと接触しない事にはわからない。

 

 アニに渡りを付けてもらえそうではあるが、それを頼むとせっかく離反の決意をしたアニとマーレとの関係を強化してしまうし、もしジークと決裂したら、アニも狙われてしまう。

 アニを介さず、ジークに接触しなくてはいけない。

 

 

 まぁともかく、アニが飛べる様になるまでかなぁ。

 

 

 ーーーーーーー

 

 

 それから少し頻度を上げて、二日に一回修行を見る様になった。

 この間の掴んで飛んだ時の感覚が結構刺激になったらしく。

 俺が修行を見る時は、基本的に俺が掴んで飛んでいる。

 

 すでに浮く事はできているため苦にならない。

 

 

 ーーーーーーー

 

 修行開始から一ヶ月過ぎた頃、アニは空を自由に飛べる様になっていた。

 気でブーストかけるのはまだなので、俺基準ではそこまで早くは無いが、普通に馬より早いので、これぐらい飛べれば大丈夫だろう。

 

 ただ、やはり気のコントロールが難しいらしく、長い間飛んでられない。

 

 15分ぐらい飛んで、30分休憩しながら気を練って、みたいな感じだ。

 

 まだ父親を抱えて逃げられる感じでは無い。

 収容所からは逃げられるだろうけど、その後は多分車使った方がいい。

 

 

「飛べる様にはなったけど…… 服だって重く感じるし…… まだダメだね」

 

 アニがボソボソとそう呟く。

 

「うーん。腕力の方はまた違うしな。気のコントロールはできてるんだから、そのうちできる様になるって」

 

 俺はアニを励ました。

 

 

 一応の目標が達成されたので、組手を始めた。

 気のコントロールも兼ねている。

 

 エレン、ミサカ、アルミンの時とは違って、なんと空中でも戦えるのだ。

 ドラゴンボール世界の事を思い出した。

 

 これは結構大事な訓練で、空中から叩きとされた時、いち早く気をコントロールして地面に激突する前に体を止める。これができないともしもの時に危ない。

 

 やはりアニは格闘技を習っていただけあって、組手の時は生き生きしていた。

 アルミンとやっていたからか、思っていたより強い。

 

 この格闘術をあの親父さんが考えたんだよな……

 あのくたびれたおっさんが……

 荒削りではあるものの、相手の力をうまく使って倒す様な技が多い。

 

「飛べるってのは厄介だね…… 投げようとしても空中で止まっちまう。空中に足場があるってのはこんなに厄介なんだね」

 

 と、さっそくアニの親父さんの格闘術の否定になってしまって申し訳なくなった。

 

 

 

 

 アニはどんどん強くなった。

 多分今はエレンやアルミンより強い。

 舞空術使えるし。

 これでマーレ側に戻って女型の巨人になって暴れられたら厄介だな。

 

 この感じだと、アルミンやエレンも多分頑張れば飛べるんじゃないだろうか?

 ミカサはほっといても飛びそう。あいつは底が知れん。

 

 

 気付けばアニは二ヶ月で空は飛ぶわ格闘術は進化させるわでかなりの使い手になっていた。

 

「流派…… 亀仙流だっけ? 世界は広いねぇ……お父さんだけじゃなかったんだ…… 空まで飛べるなんて」

 

「舞空術は鶴仙流の秘技だったみたいだけどな」

 

「いろんな流派があるんだね」

 

 アニは30分ぐらいは連続で飛べる様になった。

 気でブーストをかけるのも可能だ。

 

 この世界にもアニの親父さん考案の以外に多くの格闘技があるだろう。

 さもなきゃ対人格闘訓練なんて無いし。

 しかし、それを知る機会は少ない。

 

 休み休みだが、もう一人で父親の所に行けるだろうし、やっぱり休み休みだけど、父親を抱えて逃げることもできるだろう。

 

 しかし、ちょっと厄介なんだが、マーレ側、というか大陸側は飛行船を実用化している。

 あんなもん舞空術で上に周り込めれば簡単に落とせるが、やっぱりまだ銃弾の方がアニより早いし、銃弾を弾き返す程の身体強化はできないみたいだ。

 飛行船となれば機関砲だろう。威力が段違いだ。

 

 逃げ切れはするが、発見される可能性と、弾が当たれば死ぬ可能性がある。

 

 まぁそれだって夜中にこっそり逃げれば平気だろうけど。

 

 あとは、アニの父親が消え、アニとも連絡つかなくなったら普通に脱走とバレて、二人の関係者が結構な拷問を受けそうなところもきつい。

 おまけにアニは女型の巨人の継承者だ。マーレにとって失うわけにはいくまい。

 

 差別して洗脳したエルディア人を使って戦争に勝ってきた。それにあぐらをかいて、他国の兵器の進歩に微妙に置いていかれた。

 窮地に立たされ、負けそうになっている。

 エルディア人を使って戦争してるあたり、これはファッション差別だろう。

 エルディア人は悪魔だから、戦場で使い捨てていいし、社会不満をぶつけてリンチにかけていい。

 

 戦争はしてなかったけど、個人で言えば日本でもそういう考え方のアホはいた。

 ドラゴンボール世界ではそういうものが無かった。

 

 この進撃の巨人世界では戦争も差別もある。

 

 

 ーーーーーーー

 

 

 

 順調に壁外調査中の調査兵団の元へ向かった。

 

 彼らはウォールマリア内の廃城にいた。

 エレン、ミカサ、アルミンの三人は強いが、立体機動装置や高い建物が使えないと微妙に分が悪い。

 

 屋根から飛び上がって巨人に取り付いてうなじを刈るぐらいはできると思うが、危険が多くなるし、気のコントロールで注意散漫になるかもしれない。

 

 そんなわけもあって、三人を全面に押し出してウォールマリア奪還とか、そんな事にはなってなかった。

 

 それは三人も望むまい。彼らは生き残れるが、ほかの団員が大勢死ぬ事になる。

 

 それ以前に、トロスト区の決戦からまだ数ヶ月しか経ってないしな。

 

 

 夜陰に紛れて廃城前に降り立つ。

 見張りはいるが、アレはアルミンだし、俺が到着する前に気で気付いていたみたいだ。

 

 

 

「アルミン、実は話があるんだ。」

「はい」

「俺、空が飛べるんだ……」

「はあ……」

 

 実は空を飛べる事、三人には黙ってたんです。

 絶対エレンが教えろとしつこく迫るだろうし、教えたらあいつ勝手に壁外に飛んでくだろうし。

 今後マーレと戦争になったら、あいつ一人で首都蹂躙しに行っちゃうし。

 

 しかし、アニに教えちゃって、今あいつ強いし。

 女型の巨人でも舞空術が使えたらとんでもない脅威だと気付いた。

 

 アニの望みを叶えて敵戦力を減らすつもりだった。

 確かに敵ではなくなったけど、もしもの時の心配が逆に増えてしまった。

 

 

「はあ…… 確かにヤムチャさんの気は凄まじいですけど…… それで人が空を飛べるっていうのは…… そういう機械があるならわかりますけど」

 

 さすがアルミン。機械を使えば人は飛べるだろうという風には考えられるんだな。

 

 俺はアルミンの目の前で浮いて見せた。

 

「はっ?」

 

 アルミンにしては珍しく奇声をあげた。

 

「これは…… 気のコントロールで……」

 

 とか、俺が飛んでいる様子を見て、気の流れを感じている。

 

 あ、こいつアニよりずっと早く飛べる様になれるな。

 

「ああ、これはエレンとミサカには内緒でな」

 

「あー、はい。わかりました」

 

 表情でなんとなくわかる。アルミンもこれをエレンに教えたらどうなるかわかるんだろう。

 

「気を強化して走ってきてるのかと思っていました。ヤムチャさんなら馬なんかよりずっと早く走れるはずですし」

 

「まぁ確かにそうだけど、空飛んだ方が早いしな」

 

 そんなわけで、アルミンは舞空術中の俺の気の流れを観察し、後は自己流でなんとかしてもらう事になった。

 たまに見るつもりだが、アルミンならできるだろう。

 

 くれぐれもエレンとミサカにバレない様に。

 でもミサカは彼女自身がもう少しで飛べそうな感じなので気付きそう。

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーー

 

 

 

 

 それからしばらくして、俺はジークに接触した。

 

 あいつ、思いの外脳筋で、初めて巨人をボコボコにした。

 

 俺を使えるかどうか試したのかな?

 

 車力の巨人が隠れていて、俺が獣の巨人をボコったら逃げていった。

 多分本国に連絡を取るつもりだろう。

 気は一つなので、背中に誰か乗ってて既に無線で連絡しているという感じではなかったし。

 獣の巨人をボコった後に、さっさと追いかけて追いついてボコって引っ張ってきた。

 

 車力の巨人は偶然だった。

 中の人はピーク。

 美人……というか、可愛いけど暗い女性だった。

 ピークの愛国心というか、マーレにどれだけ尽くすつもりがあるかはわからない。

 マーレへの忠誠心はどうかわからんが、そもそもライナーやベルトルトはエルディア人のためという気持ちがあった。

 ピークもそっち側かもしれん。

 

 マーレのエルディア人はこのパラディ島のエルディア人を悪魔と言われて育っているのでなんとも。

 

 差別対象で差別対象を始末する。

 差別対象の中に、さらなる差別対象を作って不満を逸らす。

 マーレも割と考えている。

 

 ピークは殺した方がいいだろうか?

 ジークの目的を知っている奴は本人以外居ないはずだし。

 話し合いの邪魔になる。

 

 

 ジークに接触するつもりが、余計なのが一人混ざってしまった。

 気で分かってたからジーク一人になるのを待ってたけど、話をしようとしたら獣の巨人になって襲ってくるし。

 

 まぁ、確かに、本来巨人の領域であるこの辺に俺が一人で歩いて現れたら怪しいのはわかるけど。

 

 そんなわけでピークも隠れてこちらを伺っていた。

 ジークボコったら逃げたので追って捕まえてボコってつれてきた。

 

 あれ? 俺結構暴力的じゃね?

 

 

 縛る必要もない。

 巨人化が解けてぐったりしている二人を目の前に転がして、これどうしたもんかと悩む。

 

 穏便に話し合いをしたかったのに、これ完全に『死にたくなければ俺の言う事を聞け』みたいな感じになってる。

 

 

 ともかく、話し合いをしようか。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーー

 

 ドラゴンボール世界の技についての解釈


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