ヨガしかしてねぇ! 作:家庭教師はドライ
過度な期待はご注意を。
プロローグ
気が付いたら知らない天井だった。ここは何処だろう。昨日は何したんだっけ。頭が割れるように痛い。きっと寒いからだろう。体を起こそうとすると鉛の様な重さを感じた。いよいよどういう状況か分からない。肌に感じる冷たい外気が流れてくる方には外の景色が広がっている。天井と同様その光景は知らないものだった。
「おっ、目を覚ましたか」
「誰……?」
口に出してみて、我ながら失礼な言動だと思った。けれど、あちらが先にフランクな言葉をかけてきたのだから許して欲しい。見ればその格好は異質だった。まるで、数世紀以上も前のような格好。もしくは何処かの民族衣装を思わせるそれは、自分にとって強く印象に残った。
「いやぁ焦ったぜ。お前さん、山から落ちてきたんだろう? 結構な数の打撲があったし、見たところ山頂付近からゴロゴロ転がってきたって感じか」
「や、山? え、落ち……えっ?」
どういうことだろうか。必死に記憶を漁るが、まったく身に覚えがない。山?自分は登山していたのか?話しかける彼の言うことが本当だとして、それ以前の記憶も曖昧だ。ショックで記憶を失ったのだろうか……そして、以外と冷静に状況を受け止めていることに自分でも驚愕してる。いやそれは違うか。既に頭がキャパオーバー過ぎてショートしているだけなのだろう。思考がままならないから受け入れてるだけかもしれない。
「まあ、傷が癒えるまでは此処にいるといいさ。幸いもここは空家だからな。住んでもらっても全然困らん。気持ちの整理がついたら、村長に会いに行くといい。なぁに、心配ない。村は以外と人手不足だからな。むしろ
「えっ」
「おっと、体の調子が戻るまでは狩場に行かないでくれよ。そうさなぁ……まずは訓練所あたりで体を動かしてみたらいいんじゃないか? 引退した身だが、一応は元同業者兼先輩からのアドバイスだ。ハンターは体が資本なんだから大事にするといい」
「…………」
色々言いたいことはあるけど、とりあえず聞くべきことはひとつだ。奇しくもそれは一番最初に思ったことでもある。なんとなく、いやもう大体察しはついてるんだけど……自分が聞きたいことは――。
「……すみません。ここは何処ですか?」
「此処か? そういえば言ってなかったか」
「ここはポッケ村だ。辺境の地で少々冷えるが、良い村だぞ!」
めっちゃ爽やかな笑顔で言われた。
そうかー……うんうん。ポッケ村だったかー……。
いや納得はしてないよ? 何がどうなってこうなったか依然として分からないし、割りきれてもいない。ただ、
夢かなとか思ったけど、こんなに意識がハッキリしててリアルな感覚が夢とか無理があるわ。実際、言われた通りめっちゃ寒いし。夢とか思う以前からずっと冷気が窓から流れてきてたし。これは夢なんかじゃない。自分という実体のある現実だ。
……とにかく、現実を直視して一度言葉に表してみよう。
私、モンスターハンターの世界に来ちゃいましたっ☆
意味わからないし。いやホントに。深夜4時のナチュラルハイでも言ったことないこんななろう系テンプレセリフ。でも現実だからね、仕方ないね。あ、でもふざけたこと考えられる程度には回復したっぽい。口調も堅苦しくないしネ!(メメタァ)
「あぁ、散らばっていた荷物はそこのボックスに適当に入れておいたぞ。先程も言ったがこの家にあるものは好きに使うといい。別に今日でもなくて構わないが、村長には挨拶しておくといい。私も君が起きたと言伝てておく。では、私はこれで失礼するぞ!」
あ、待って待って!まだ聞きたいことあるぅ……あぁ、行っちゃった。
あの人って確か、昔はポッケ村の専属ハンターやってた人だっけ。なんか怪我したかなんかで引退したんだよね。ドドブランゴだっけ?いや、ティガレックスだったかな……今は別にどうでもいいか。悪い言い方かもしれないけど、他人のこと構ってやれるほど落ち着いてられないのも事実だ。とにかく今は、現状の確認を――。
こりゃひでぇや(白目)
いや何がってもう色々だよ。今後のこと考えると頭痛と胃痛と腰痛がマッハだよ。腰痛は落ちたせいだけど。
まず、自分の体だよ。第一として記憶。自分がどんな生い立ちとか両親の顔とか諸々は大体覚えてた。それは本当に良かったと思う。けど、問題は自分の身体の方だよ。寸分狂わず自分が扱ってきた体だったよ。何が問題って?決まってるやん。
昨日までぱんぴーやってた奴がモンスターなんぞ狩れる訳なかろうがぁッ!!
ホントコレ。
だってハンターですよ? あのモンスターよりモンスターしてると揶揄されたモンハン界隈のハンターなんですよ? 無茶言うなや。こちとらチェーンシリーズ着ただけで動けなくなるような貧弱現代人やぞ。生物として疑問を抱くような化け物狩れる道理が何処にあるか。この世界に対応した筋肉もりもりマッチョマンの変態……までにはないにしろ、せめて鍛え上げられた強靭な肉体と肺活量ぐらいは欲しかった……!
あ、今まで言ってなかったけど、私の性別は女です。言動が女っぽくない? うっせ、男女関係なくオタクのTwi◯terのテンションなんてこんなもんだわ。オタクに限ったことじゃない気もするけど。
まあ、体の問題点は大体そんな感じ。次は持ち物。ボックスを漁ってみたけどマフモフシリーズと初期武器の骨シリーズが入ってた。
え、以上ですが何か?
まあ、斯く言う私も焦りましたけどね。仕様通りとはいえ、なんで一銭の路銀も持ち合わせてないんだって思いましたよ。けどまあ、少し考えたら普通は狩場に金銭なんて持ち込まないなと思えたし、崖から落ちたんなら色んな道具……謂わばアイテム類が入ってるポーチ落としてても不思議じゃない。近場に落ちてても雪に埋もれちゃっただろうしね。
だから、別に持ち物に関しては特になし。入ってたらそれはそれで有り難かったけどさ。無い物ねだりしても、始まらないじゃん?
でも重要なのは次……っていうか最後の項目。大雑把に言えば、私の「今後」について。
ぶっちゃけると、ハンターなんてやんなくてもいいじゃんって思ったんだよね。貧弱だもの。
そりゃ、ハンターライセンス持ってんだからハンターやった方が良いかもしれんけど、正直命懸けとか無理。雑貨屋の手伝いとか、勉強してギルドの事務員とか色々道はあるはず。ハンターとして動いてくれると思ってくれてる人たちには悪いと思うけどね。そこも「ティガレックスに吹っ飛ばされたことがトラウマで……」って言えば無理強いもされないだろうし。
けどね、この村の辿る道を考えるとそうもいかないんだわ。原作のストーリー知ってれば割りと簡単に分かることなんだけどね。G級最後のクエストを思い出して欲しい。
絶対零度。崩竜ウカムルバス。
うん、この村はこいつのせいで文字通り崩壊する。引き起こされる雪崩に巻き込まれるか、或いはこいつに怯えて麓まで降りてきたモンスターたちに襲撃されるか。まあ、それを主人公であるプレイヤーが討伐して危機を救う訳だけどさ。私がハンターにならないと、誰も狩る人がいないんだよね。いや、専属じゃない流れのハンターはいるよ。でも、アイツを狩れるかどうかは分かんない。そして、仮に実力者がいたとしても相手が相手だし、村としてもドンドルマ辺りに少なくとも4人パーティ組める人数まで応援を頼むはずだ。でも、ゲームではそれをせずに主人公に依頼した。
要は間に合わないんだよ。応援呼んでる間に村が崩壊してしまうんだ。
そんでもって、私は頭を抱えてる。だって、死にたくないし。早々にポッケ村から出ていく? 辺境の地に、しかもぱんぴーとして降り立った私が他の場所に着くまで生き残れると思う? 無理無理、今の私はモスにも負ける自信がある。みんな、最弱って言ってるけど1メートルぐらいある猪だからね? 人間って歩いてる人にぶつかるだけでも転ぶ生き物だよ? そんなのが30㎏ぐらいある質量に自転車ぐらいのスピードで突っ込まれるって想像してみなよ。当たり所によっては骨折すんぞ。
だからさ、とりあえずひとりで生き残れるぐらいの力は欲しいわけです。少なくとも中型モンスターから逃げれる程度の力が。大型が来たらもうしゃーないと思うよ。常識的に考えたら、あの巨体相手に武器と防具以外は生身で戦うとかオカシイでしょ(真顔)。
とにかく、私は自分を鍛えるためにハンターに成らざるを得ないわけだ。出来るだけのことをして、力をつける。流石にウカム討伐は視野にいれてないが、訓練所である程度の基礎は学ぼうと思ってる。いや、それが憂鬱だから白目剥いてるんですけどね。肉体労働嫌いなんですよ……。
よし、覚悟決まったら村長に話しかけて、暫く訓練所でリハビリするってことを伝えよう! 教官とかにはハンターライセンス持ってんのに体力面とか技術面とかで訝しがられるかもしれんが無視だ! 前いた場所と気候が違い過ぎるからとか言って適当に誤魔化す! なんか燻ってきた……もう行くか! 色々本とか読んで準備とかしようと思ってたけど関係ねぇ! 私、ゲームは説明書読まない派なんです! ヒャッハーァッ!!
ちなみにプーギーは撫でてから行きました。
少女訓練中……
ぬわぁぁぁん疲れたもぉぉぉん……。
さすが人外育成所。テンションだけで乗り切れるほど甘くはなかったよ……。普通病み上がり相手に走り込みとかやらせますかね。そんで、アホみたいに走って立ってるのがやっとの状態。膝っつーか足全体が震えて、目眩と吐き気でいっぱいいっぱいの人間に、筋トレとかバカじゃないかと。そんなことしても体壊すだけでしょ……。
え? ハンターになったものは皆通る道? HAHAHA、そりゃこちとらこの世界の住人じゃないからなぁ! こんな無茶続けてたら鍛える以前に体がお釈迦になってまうわ! 体の構造が根本的に違うんじゃなかろうかと切に思いますわホント。
あーあ、絶対筋肉痛を越えた何かに教われるよコレ。ねえ知ってる? 運動で限界を越えた体にはね、1日空けた後に筋肉痛の波が来るんだよ。しかも何日も激痛が続くんだ。フフ……怖いか? 怖いわだぁほッ!
全身激痛で明日一日中動けなかったらどうすんだよ……。今日もらったハンター心得になんか書いてないかなぁ。読んでみるか……ペラペラ
『万人が痛みを乗り越える手法は確立されていない。だが、緊急時における脳の働きで痛みを緩和する物質が分泌されることが確認されている。が、それらも緊急時であるがゆえに常時使用できる方法ではない。もっとも確実なのは……』
お、それらしいっぽい文脈発見。なんだ、ちゃんと指南書らしいこと書いてあるじゃ――
『痛みは気合いで乗り越え、慣れることを推奨する』
1.そっと本を閉じる
2.徐に立ち上がる
3.ベッドに本を叩きつける←今ココ
畜生めぇ!!
少しでも期待した私が愚かだったよ! なんだ慣れるって。人間の痛覚舐めてんのか。生物に備わった生命維持のためのブレーキだぞ。筋肉痛ごときで騒いぐなって思うかもしれないけど、体は正直なんだよ! 心がやべぇって叫びたがってるんだよ!! 貧弱な私にとっては死活問題なんだよ!!!(切実)
……はぁ、アホくさ。どのみち筋肉痛は来るんだ。耐えられなかったら泣き叫んでやろう。近所迷惑かもしれんが知ったことか。いざとなったら100:1の水で割った捕獲用麻酔液飲むから近隣の皆様には安心して頂きたい。あ、でも材料ないや。買うにしても……うぬぅ、市販のやつ結構高いんだよな……。所持金1700ゼニーしかないし無駄遣いできないよねぇ……ん? ゲームより200ゼニー多い? 訓練所の報酬だよ報酬。後、生肉とか砥石とかハチミツとか貰った。正直嬉しい。
あ、そうそう。一応挨拶回りはしました。村長を始めに、雑貨屋に武具屋、ネコバァとかポッケポイントの人とかetc……。そんでもって、そのまま訓練所へGO。鬼教官とご対面ってな感じです。
喋り方やらテンションやらでネタにされがちだったけど、実際は滅茶苦茶優秀な人だった。ハンターに必要な基礎知識は暗唱できるらしいし、一通りの武器使えるし、なにより訓練所にある闘技場のタイム。あの時間は実際に教官がハントして出したタイムを基準にしてるんだって。下位個体とはいえ普通に大型狩れるんだから私からしてみれば十分凄いわい。まあ、実技になると体育会系のノリで指導してくるから苦手だけど。
ていうか、今何時だろう? 時計とかないから日の傾きとかで判断せにゃならんのかな? いや、でも謎技術が発達してるモンハン界だし懐中時計ぐらい作れると思うんだが。ド田舎だからそんなに時間気にしてない……いや、集会所あるし、ギルドの仕事とかで絶対時間気にしなきゃならんでしょ。村に出回ってないだけかな?
ま、いいか。今日は疲れたし考えるのは明日でもいいや。流石に掛け布団はあるよn痛ぇ!? なんか踏んだ! ハンターの心得じゃん! 私が叩きつけたんだもんな! 私が悪いな! はい閉廷!
おぉう……テンション高くしても痛いもんは痛いよ……。やっぱ筋肉痛はやだなぁ……ん?
『追記:
我輩だ! 教官だ! 訓練後は疲弊しているかもしれんが、ストレッチは絶対するんだぞ! 筋肉痛は致し方がないが疲れは明日に持ち込んではイカン。訓練の効率が落ちるからな! 善きハンターライフを目指して頑張っていこうな!』
ちゃんとアフターケアしてたんか……疑ってスマソ。
ストレッチねぇ。たしかに筋肉痛に加えて痛めたりしたら目も当てられんし、やんなきゃヤバイかも。多少は筋肉痛も抑えられるかな? 焼石に水程度だろうけど。運動後のストレッチ……うーん、正直何したらいいか分かんね。前屈とか柔軟か?一人だとあんま効果的じゃないって聞いたし無理だわ。えぇ~どないしよ、なんかこう……良い感じの何かないんかな?
あ。
~数ヵ月後~
「おい……見ろよあれ!」
「なっなんだぁッ!?」
人々に驚愕されるものの、関係ないと言わんばかりにそれは村へと運び込まれていった。人間を遥かに凌ぐ巨躯。並外れて筋肉の発達した四肢。あらゆるものを砕かんという意志さえ感じる顎。吹雪舞う山脈に降り立った大咆哮。その名を――
轟竜ティガレックス。
ポッケ村が頭を悩ませていた輩の一角。多数の草食モンスターを食らい、生態系に大きな影響を及ぼしていた存在。だが、地を駆けるために発達した翼腕と脚力で爆走し、この雪山は自分の縄張りであると示さんばかりに咆哮していた姿は見る影もない。体には無数の刀傷があり、尻尾を切断され、翼爪は砕かれている。そして何よりも、爛々と獲物を射止めてきたその瞳からは光が失せていた。
そう、彼は既に死んでいる。討伐されたのだ。下位の個体であったとはいえ、竜の名を冠していた轟竜は戦いに敗れたのだ。では一体誰が? 各々が疑問を呈す最中、その答えは悠々と自分から歩いてきた。
その姿に村人たちは唖然とする。
纏う装束は青く刺々しい。表面は甲殻類を思わせる光沢があり、陽の光を鈍く反射している。一部の者にはそれが、火山もしくは沼地に居座る将軍のものであると気付くだろう。だが、人々の視線が釘付けになったのはそこではない。胸部より少し上の部分……詰まる所、顔である。その顔は確かに、彼らには見覚えのあるものだった。誰も彼も開いた口が塞がらず、ただ呆然と見つめる最中、その人物は少し上を向いて目を細める。そして、何かを呟いた様に見えた。その言葉は非常にか細くほとんどの人間に伝わることはなかった。
ただ一人、その声を聞いたものがいた。たまたま通りかかった武具屋のアイルーの耳にはしっかりとその言葉が焼き付いた。
「帰ったらヨガしよ」
これは、少女とヨガが織り成す
どうも、書いた後に主人公の詳細を書いていないことに気づいた間抜けです。あんまり深く考えてないんで、ダイス転がして決めました。
STR(筋力):15 …… 割りとアスリート並
SIZ(体格):9 …… 160~165cmぐらい
CON(耐久):11 …… 特筆なし
DEX(敏捷):10 …… 100m走15秒ぐらい
APP(外見):17 …… 誰もが振り返る美人
POW(精神):13 …… かなり我慢強い
EDU(教養):21 …… 名のある大学院卒
INT(知性):10 …… 普段の思考はIQ100ぐらい
割りとハイスペックで草。これマジでなんも調整してないっす。基準が分からない人はTRPGでググってね。