この世界の女神なる輩から、ただ深き水底で朽ちるのを待つ身であったわたしが、何故この世界で、再び生を受けるに至ったのかを聞いた。
そもそも、この女神は登場からして、如何にも胡散臭かった。この女を追ってきた、情けなくも気絶した冒険者とかいう奴らに、改めて活をいれて問いただしたところ、『オレらは、あの女から金で雇われただけだって!』と震えていた。
余程、この女から裏切られた事が、辛かったのに違いない。
冒険者らが真実を語ったのならば、この女が現れた目的は、司令を誘い込む事にある。
さては、あの無駄な脂肪で、司令を篭絡する事が目的か!?
だが、それだけではあるまい?
・・・いいだろう、この磯風が相手になってやろう。
わたしは尻込みする司令を優しく諭して、あえて女の誘いに乗る事にした。
この女、現れた時点から発する気からして只者ではないとは思っていたが、実際は人でさえなかった様だ。とは言え、この女神と名乗る女は胡散臭い奴ではあるが、少なくとも語った内容に嘘はない様だった。
ただ、あの女神とて、全てを明かしていた訳でもあるまい。
今は、それで良いが。
女神曰く、この磯風と司令の力を以て海から来る魔物を倒し、この世界の平和を取り戻して欲しいのだそうだ。
その後も食事をしながら、女神の話を聞いた。
この世界の理。海から来る魔物たちの力。そして、わたし自身に与えられた力。
もっと色々と聞きたかったのだが、何やら『やっと手に入れた薄い本が待っている』との事で、更なる疑問は次回会った時にでも聞く事にした。
如何やらこの世界を統べる女神という立場は、それなりに忙しいのだろう。
女神の説明の中でも特に重要なのは、この磯風が力を発揮するには提督、つまり司令の事を、このわたし磯風が、全身全霊を以て愛し・・・、コホン。信頼していないとならない、との事だった。
望むところである。・・・コホン。
まぁ、そうでなければ世界が亡びるというなら、仕方ない。そう、仕方ない事なのだ。
そういう訳だったので、帰りを急ぐ女神と別れ、司令と工房に戻ってきた。
まずは、そう、作戦会議だ。
如何すれば司令が、この磯風を愛し・・・、コホン。信頼してくれるかを、考えねばならない。
共に戦う戦友ならば、自然と信頼も培われるものではある。
とは言え、戦況がそれを許さない場合もあろう。
そもそも、ただ待つと言うのは、この磯風の望むところではなかろう。
古来より『成り成りて成り合わざる処』持つ者が『成り成りて成り余れる処』を求めるのもまた、必然というもの。
うむ。
そうだ、まずは女神が示唆した様に、司令だけでは海から来る魔物を倒せぬと云う事を十分に理解頂き、その上で、この磯風ならば彼の魔物を成敗出来ると云う事を知って貰う必要がある。
うむ。
この磯風、いつでも出撃可能だ。