今の磯風の力、舐めないで貰おう。   作:アルティフィナ

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第1章、3.思惑

「ふむふむ、要するに、この『提督』とやらが『艦娘』を率いて、『深海棲艦』を粉砕する訳ね!?」

 

見つけた!

女神は、思わず両手を握りしめる。

魔族が身に着けたスキルは、恐らくはこの世界の『概念』に違いない。

魔王が海から来たから、この様な『概念』を取り入れたのか?

それとも、この『概念』に従い、わざわざ海を拠点にしたのか?

どちらにしても、『深海棲艦』と魔族の生態は、かなり似通っている。ならば、『深海棲艦』を倒せる者を召喚する事が必要だ。

 

とは言え、問題は幾つかある。

魔族は『深海棲艦』のスキルを身に着け、それを攻撃の手段にしている。

では、勇者にこの『艦娘』の艤装を与えれば、魔族に勝てるだろうか? これなら、宝剣を与えるのと、何ら変わりない。勇者が『艦娘』の艤装を扱えれば、何とかなりそうなのだが。

勇者が『ファイアー!』とかって、いけてると思う。

ただ、使い方が理解出来なければ、あるいは艤装を具現化しても維持出来なければ、宝の持ち腐れというか、失敗に終わるだろう。少なくとも剣に比べるとだいぶ複雑だ。

あの艤装とやらは、直接それで魔物を殴る訳ではないらしい。中にはそういう手段もあるらしいが、マイナーっぽい。

多分、より簡単なのは、艤装を持つ『艦娘』ごと召喚する事。

やっぱり勇者はボツ。

よし、とりあえず、『艦娘』は必要だわ。

 

だが、『艦娘』だけでは、何やら力を発揮出来ないらしい。

この艤装という武具は、絶えずメンテナンスが必要なところが痛い。

だが、戦いで使ったら一度消して、次の戦いの際に具現化すれば。燃料、弾薬満タンの新品に。

コレなら、なんとか、なるかしら?

そもそも、どうして補給とか、そんなメンドクサイ『概念』を織り込むの?

何処の軍隊だって、普通自分たちだけで戦うじゃない?

かのナポレオンだって、そうじゃん!

現地で搾取しろよっ、って、民に迷惑掛ける案を女神が推奨して如何する・・・。

あ、だから焦土作戦で負けたのか。

まぁ、剣だって折れるし、弓は良くても矢は消耗品か。

仕方ない、ここは妥協が必要だろう。

とりあえず、これならいける。

 

次。

ふむ、艤装は良いけれど、『艦娘』自身の『入渠』って・・・。

とりあえずは、温泉地を本拠地にすれば?

精霊の泉みたいな?

これも、何とかなるかしら?

霊験あらたかな秘湯、と言うことで。

 

後の問題は、何故だかこの『艦娘』、妙な縛りがある。

何故、『艦娘』だけで戦えないの?

『提督』って、いるの? 必要なの?

むぅ、確かに兵站を整える事も、戦略を練る者も必要か。

いや、確かにそうだけれど。

何か、納得がいかない。

女を戦わせて、男だけ安全な場所で待ってます、って、何ソレ?

女神の握りしめた手のひらに、爪が食い込む。

いっそ、男を『艦娘』にするかしら?

『男(艦)娘』みたいな?

うーん、ここで余り『概念』を崩し過ぎると、上手くいかない。

仕方ない、ここも妥協が必要だ。

女の子だ。

代わりに『提督』には『童貞失くしたら、死んじゃうスキル』を与えるかしら?

それも良い手だが、戦うより(ヤってから)死ぬ方を選ばれても困るわよね・・・。

 

だったら連れてくるのは、男には甘い顔はしない娘。この『有明の女王』?とかって娘とかは、少なくともウチでは、お呼びじゃない。

いくら強くても、『ヘイ、テートク!』みたいな娘もダメ。

うん、この娘。『たとえ司令が相手でも、容赦なぞしない』コレだ。

勿論、『本物』を連れてくる。『概念』だけじゃなく、水底に眠る、本当の英霊。

 

さて、『艦娘』は決まりとして、この『提督』って、どうしても必要?

やっぱり、いらなくない!?

私だって天地開闢以来、独り身なのに!?

・・・コホン。

ちょっと、私情を挟みそうになってしまったわ。

せめて、『提督』も女性にするかしら?

今回、情報収集する中で、この世界にはそういう『概念』も沢山見かけた。

ちゃんとコピーしてきたから、後で一人で楽し・・・。

そうじゃない。

まずは、この『提督』を如何するか、だった。

 

どうせなら、この『提督』にも戦わせたい。勇者にこの『概念』を学ばせて『提督』に仕立てるかしら?

うーん。流石に一度に二人、それも一人は『本物』の英霊となると、一度に召喚というのは厳しい。とてもこの百合なる世界を描いた薄い本を、熟読する余力もなくなってしまう。

既にこの世界にいる魔術士で、『提督』の才のある輩はおらんのか?

・・・そう言えば一人、何年か前にこちらの世界に流れてきた転生者がいたはず。

ちょっとは気にしてやっていたが(実質、ほってあったが)、確か魔術士になっていた。

こ奴、確か自分は『提督』だったとかって、言ってなかったかしら?

当時は良くわからん事を言うと思って、ほってあったのだが。

・・・むむっ、此奴だ!

元『提督』発見!

何々、前世は、と。

イベント期間中一睡もせず『乙』クリア後、衰弱死?

良く分からんが、死を賭して『提督』をやり切ったのか?

良いではないか。

此奴、魔術士なら猶更、再び『提督』として最前線で死しても、本望であろう。

こ奴らなら、否、こ奴らしか、あり得ない!

 

これで勝つる!

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