ハーレムって、やっぱり男の憧れだよね!?
一人は最愛の磯風(振られたけど)、もう一人は乗りの良い『ぱんぱかぱーん!』の愛宕嬢(仮)とか。
可愛い女の子に囲まれて、たとえば左右両腕を、それぞれの娘に組まれたりとか。柔らかな双丘が、合計4つも俺の腕に当たって形を変える訳だ!
ほらほら、止さないかお前たち。後は、家に帰ってからだろう、みたいな。
・・・はぁ。
あー、提督の妄想力をフル稼働させた現実逃避ぐらいは、許されても良いと思うんだけどなぁ。
「お助け頂き、ありがとうございました。おかげ様で怪我一つ負う事なく、本当に助かりましたわ。改めて、お礼を申し上げますわ」
一見愛想の良さそうな笑顔を浮かべ、街の居酒屋の木の机を挟んで座る愛宕嬢(仮)が、深々と頭を下げた。残念ながら、俺の腕に抱き着いていたりとかは、していない。
机の向こう側だし。
あの後、巻き込んでしまった通行人を介抱したり、意識を刈り取られた冒険者3人を衛兵に引き渡したり。結構、めんどくさかったです、ハイ。
その後、お礼をしたいという愛宕嬢(仮)の案内で、大通りに立ち並ぶ店の中では、比較的高級そうな店に連れてこられた。まぁ、場末た店だと、先ほどの大立ち回り(俺は何もしてないけれどな!)の再現になりかねないから、客層も良いこれくらいの高級店が、ちょうど良いだろう。
「わざわざお礼なんて、本当はご遠慮しようかと思ったのですが。何せ実際にあの無礼な輩を倒したのは、こちらの磯風ですし。俺は何もしてないので」
流石に俺も極々僅かな妄想はしても、一応現実は把握してますよ?
自分が何も出来なかった事ぐらいは、よーく分かってます。はい。
それで愛宕嬢(仮)の誘いを辞退しようとしたら、何故か磯風が俺の袖を掴んで、睨んだんですね。
あれですね、『お前、前カノに振られたとたん、別の女を口説くつもりか?』ってことですね。うーん、睨む理由は間違いないけれど、だったら何故愛宕嬢(仮)の誘いを辞退させない?
磯風って、変な娘。
とかは、考えてないですよ!?
俺の隣に座り(俺の腕ではなく)自分の腕を組んで、その胸部装甲を見せつけていた磯風が、口を開く。
「貴様、何者だ?」
「へっ?」
思わず磯風を見てしまった。それは確かに愛宕嬢(仮)はデカいけれど。
ここでサイズ聞いたって、答えないでしょ、普通。
やっぱり何事に於いても、対抗心が強い娘なんですね、きっと。
「あなた、私が誰だか、分かるのかしら?」
「分からん。分からんからこそ、聞いている。何者だ?」
「そう、ですか。・・・この『世界』を司る、女神だと言ったら?」
「・・・何故、わたしを異世界とはいえ、人の世に連れ戻した?」
「いいえ。連れ戻したのは、あなたの隣の『提督』だわ。私は確かに『磯風』を、あなたを連れてくるつもりだったのだけど、何故か私が召喚するより前に、そこの『提督』があなたを召喚してしまっていたの。だから、驚いて見に来たという訳ね」
今、二人が揃って、怪訝そうな視線を俺に向けてきました・・・。
い、いやぁ、照れるじゃないか、・・・怖いから止めてね。
思わず、冷や汗が・・・。
えーと。
あれですね。偶然、街で元カノと今カノが出会ってしまい、お互い如何口説かれたかを暴露しあっている感じ?何を会話しているのか、男の俺には、てんで分からんですが、フィーリングっていうか、女子同士の会話って、そんなもんですよね。
い、いや、磯風の立場は元カノ確定として。別にこの愛宕嬢(仮)はデカいというだけで、今カノでもないし。でも、何故か磯風に匹敵する重圧が放たれている様な気がするのは、気のせいですよね?
それにしても、この愛宕嬢(仮)は、ちっとも『ぱんぱかぱーん!』じゃ、ないじゃん!
詐欺ですね。こうして、世の男の多くが騙されるんですね・・・。
二人の重圧で、机の上の料理を食べる気力はないが、とりあえずジョッキを口にする。
これも一つの逃避の形。とりあえず生!みたいな。
あー、こちらの酒はハイボールっぽいんだった。
まぁ、いいか。
キンキンに冷えてると、もう少し上手く感じるのかな・・・。
折角、美少女と美女が同席しているのにな。
なんでこんなに、こう、胃が痛いんだろうなぁ、不思議だなぁ・・・。
この重圧に耐えつつ、俺の妄想力が回復するまで、酔えると良いな・・・。
「・・・それで、その女神が、わたしたちに何の用だ?」
「勿論、お二人には、海の魔族を早々に退けて頂きたいと、そう考えておりまして。その支援の為のお打ち合わせを・・・」
良く分からないが、二人の会話(竜虎争うみたいな?)は、まだまだ続きそうだった。