今の磯風の力、舐めないで貰おう。   作:アルティフィナ

9 / 24
第1章、9.作戦

「では、司令の力では、海から来る敵は、倒す事が出来ないという事か?」

 

まぁ、出来ないけどね。

そんなに、はっきりと言わなくても、いいんじゃないかな?

普通の魔物なら、何とかなるんだけどね。一応俺、魔術士だしね。陸に住む普通の奴ならね。普通じゃないのは、ちょっと厳しいんだよね。

腕組みをした磯風が、正面から俺を糾弾している・・・、つもりは多分、本人にはなくて、ただ事実を確認しているだけなのだろう。仁王立ちして睨んでる様にしか、見えないけどね。

とりあえず、ここで見栄を張って、『俺だって、ヤレば出来る!』などと嘘を言っても仕方ない。特に元カノというのは大抵は、こちらの嘘を見抜くスキルがある、というのが世のお約束だろう。

 

「う、うむ」

「司令一人では、ギタギタに裂かれ、ボロボロにされて殺されてしまうだろう、と?」

「う、うむ・・・」

 

・・・磯風さん何か、楽しんでません?

口角が上がってますけど?

 

「そうか。いいだろう。この磯風、戦歴なら、あの雪風にも遅れはとらぬ。・・・大丈夫、わたしが、護ってあげる」

 

え!?

何、その男前なセリフ!

惚れちゃうよ!?

既に惚れてるケドね?ついでに、既に振られたケドね!

凹むよなぁ。

まぁ、磯風からすれば、自分が振った相手でも、躊躇いなく接するのが武人の嗜み。

というか、今更全く気にしてないというか、単に俺が気にされてないだけ、ということですね。はい。良く分かってます。

 

さて、こうして無事に『魔術士提督は、実戦では役に立ちません』宣言が出来たところで、いよいよ何かしらの策を考えねばならない。

駆逐艦である磯風の力を最大限に生かすには、やはり雷撃戦だろう。水雷戦隊で夜襲を掛け、アウトレンジから酸素魚雷を叩き込む。

これだ!

磯風と言えば、第十七駆逐隊。磯風と浜風、浦風、谷風、そして磯風の最後を看取った雪風って、磯風しかいないし。

・・・分かってたけどね。

だが、たとえ単艦だろうとも、やはり魚雷の攻撃力は破格だ。

小さな体に大きな魚雷、この娘の胸部装甲以外は中学生並みの小柄な体格でも、装備数は限られるにしても雷撃一撃の破壊力は大きいだろう。正しく小型艦に大きな攻撃力を持たせる、その為の魚雷装備だ。

 

「磯風、そう言えば磯風の艤装を見せてくれないか?」

「ここでか?」

 

即答ですか!?

べ、別に下心とか、ないんだからね!?

勿論、間違ってポロリとかしてくれても、一点凝視の瞬間記憶を最大効率で発揮する所存です。

 

「・・・第十七駆逐隊磯風、推参」

 

目前に立つ磯風が、眩い輝きに包まれる。

おおっ!

こ、これはっ!

あー、ちょっと期待してたけど、リアルでも〇ューティーハニーみたいな変身シーンはありませんでした。それはそれとして。

 

あー、それって多分、12.7cm連装砲?

・・・終わった。

この艦娘、魚雷持参してないじゃん!

でも、ひょっとして、一見持ってなさそうでも、やっぱり魚雷発射管とか使うときに現れるのかな?駆逐艦の艦娘って、皆それなりに雷装値高いよね?

 

「あ、ありがとう。一旦しまってくれ。今の装備は、12.7cm連装砲と三連装機銃の様に見えたのだが、磯風も魚雷を放てるのかな?」

「うむ、元々魚雷も装備していた、というより、わたしの前世での最後は、砲撃処分でその魚雷を誘爆させて貰ったのだが、残念ながら今のこの船体には雷装は無い様だな」

「つまり?」

「・・・つまり、今のわたしに可能なのは、砲撃戦だけだな」

 

磯風の目が泳いだ。

そうですよねー。

終わった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。