仮面ライダー×Fate/GrandOrder 残光記憶都市   作:地水

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 もともとはリハビリついでに始めた仮面ライダー×FGOのクロスオーバー小説。
二部準拠、特異点に迷い込んだぐだ男にあるライダーが遭遇する、そんなお話。


第1話

「うぅん……ううん」

 

 

―――少年『藤丸立香』は何処とも知れない場所に立っていた。

黒い短髪に海色の瞳の容姿を持つ彼は、今までぼやけていた意識をはっきりとさせると周囲を見渡す。

辺り一面は廃墟となった高層ビルや施設と思われる建物が転がっている。

 

 

「何処だ、ココ……冬木に似てるっぽいけど…」

 

 

人理保障継続機関・カルデアでの訪れ、『マシュ・キリエライト』を始めとした仲間達との出逢い。

人理焼却による人類絶滅の危機、歴史上の偉人・英雄が時代を超えて召喚された英霊・サーヴァント。

特異点Fから始まった七つの特異点での未来を取り戻す戦いは終わり、ようやく明日へ続く未来を取り戻した……はずだった。

 

だが、立香がいる場所は何処からどう見ても自分の知るカルデアの内部でなければ、今までレイシフトした先の時代にあった光景でもない。

そもそも、何故自分がこの場所の至るまで【記憶がない】。

とりあえず、ジッとしたままではどうにもならないと思い、何かを見つけるまで歩き出した。

 

 

「……どっからどう見ても、現代だよね。何処なんだココ」

 

 

当てもなく歩いている傍ら、周囲の様子を伺う。

街の様子は相変わらず人気がなく、何処かしらに炎上の光景と空が淀んでない事を除けば特異点 冬木とそう変わりはない。

しいていえば、建物が何処か日本の都会と感じるだろう。

 

 

(東京か…懐かしいな、日本。カルデアに行ったっきりあの戻れなかったんだよな。こんな形でまたみられるなんて……)

 

カルデアに連れて行かれた後、様々な出来事があって戻れずじまいになっていた。過去に日本に発生した特異点で赴くことがあったけれど、どれも立香の故郷ではない。

何処とのなく悲しみを感じているその時だった、―――背後から大きな足音が耳に届いたのは。

 

「ッ!!?」

 

嫌な気配がする、そう何かの予感を巡らせた瞬間……立香の横を『何か』がすり抜け、捨ててあった廃車が破壊される。

首を振り向いて背後を見るが、そこには人の姿も敵の影も何もいない……。

だが、姿が見えていないはずなのに【何者か】の殺気が目の前から放たれているのが嫌というほどはっきりとわかる。

【不可視の襲撃者】というべき相手が出現した事に立香は冷や汗をかく。

 

「マジかよ……こんな時にか!!」

『――――……ッ!!!』

 

けたたましい咆哮が放たれ、空気を震わすほどの振動と同時に立香は一目散に走り出す。

後を遅れて不可視の襲撃者が追いかけ、距離が狭まれていく。

 

襲撃者の正体がなんなのか分からない以上、迂闊に手を出すのは愚策と判断したからだ。

それに、本来なら戦闘の時は自分が契約しているサーヴァント………マシュや、カルデアで契約しているサーヴァントが対処するのだが

この場所にいるのは自分ひとりだけで、根拠はないが何故だが『サーヴァントでさえ呼びかけに応じてくれるかさえ怪しい』…。

 

そう直感が訴えてくる立香は、なんとか追手から巻こうと逃亡を図る。

いくつもの特異点で何度も危険と巡り合わせ死線を潜り抜けてきたが、今回ばかりは命が取られるかもしれないと感じ取る。

 

 

「くそっ!まだだ、まだ会えていないんだ!こんなところで倒れるわけには!!」

 

 

脳裏に思い浮かぶのは、仲間達サーヴァントの姿、そして相棒であり契約したデミ・サーヴァント…マシュ。

何も見知らぬ大地で朽ち果ててたまるかという気持ちが高ぶったその時、彼の手に宿る令呪が光り輝く。

 

 

「もしかしたら……!――来てくれ!俺の呼びかけに答えてくれ!!」

 

叫ぶと同時、不可視の襲撃者がすぐそばまで迫り、凶器の刃物が立香を付け狙う。

その刃が切り裂く、まさに寸前―――遠くからエンジン音が吹きすさび、遠くからやってくる高速の大きな白い影。

立香と敵対者の間を割ってきたのは、白いボディのオープンスポーツカー。

 

「あれって…車!?」

『―――――!!!』

「―――邪魔だ!!」

 

スポーツカーは猛スピードになりながら、不可視の襲撃者へ激突。頑丈なボディをもろに受け、遠くの瓦礫の方へ突き飛ばしていった。

スポーツカーが立香の目の前へと止まり、運転席から持ち主の姿が現れる。ダークグリーンに金色のラインが走る強化スーツを身に纏い、首に巻かれいる金色のマフラーが激しく靡く。

飛蝗を思わせる仮面に黄金色の複眼が立香の姿を捉え、問いの言葉を投げかける。

 

「お前か?俺をここへ呼んだのは」

「貴方は…」

「――仮面ライダー3号」

 

仮面ライダー3号……そう名乗ったライダーのサーヴァントは、スーパーカー・トライドロンから飛び降りると、不可視の襲撃者の方へ立ち向かっていく。

 

 

「トウッ!タァ!ハァッ!!」

 

 

3号ライダーは拳と蹴りによる格闘のコンボを襲撃者へお見舞いしていく。

襲撃者は短剣「ダーク」を取り出し、3号ライダーへと素早く投げつける。だが3号ライダーは軽く躱すと、距離を縮めて手刀を繰り出した。

 

「ハァ!!」

『ぐがぐ!?』

「どうした?小細工ばかりで倒せると思うなよ」

 

一旦距離を取り、立香の傍へ戻る3号ライダーは挑発を込めた言葉をなげかける。

その様子を見て、立香は彼が先程名乗った名前を口づさむ。

 

 

「仮面、ライダー…?」

 

 

突如現れたサーヴァント・仮面ライダー3号に息をのむ立香。

自分の目の前に立つ彼は、まさに幼き日に夢見たTVの中のヒーローそのものだ。

 

「あぁ、お前がマスターって奴か」

「多分、オレが貴方を呼んだ。あなたはライダーのサーヴァントなんですか…?」

「さぁね、何分と俺も初めてだからね。理解しているのは俺も『サーヴァント』という存在であるのも、相手も一筋縄じゃいかないやつってことだ」

「俺『も』……ってことは!」

 

先程吹き飛ばされた不可視の敵が立ち上がるような音がすると、その姿を二人の目の前に現す。

黒い靄で構成されてた巨体には、いくつもの白い髑髏の仮面が張り付けられている。

さらには背中からは毒々しい液体によって形作られた少女の上半身が生えており、右腕は赤くまるで異形の様。

もはや怪物と言うべき『ソレ』をようやく視認した立香は驚愕の声を上げる。

 

「まさか……、―――サーヴァント!?」

 

姿形は自分が知ってるのと全く違うが、身体の至る所に張り付けられたあの「骸骨の仮面」は見間違えるはずはない。

―――ハサン・サッバーハ。かつて中東の暗殺教団の党首であり、歴代の党首達はそれぞれの技を収めた達人達。

かつてのカルデアでも何人かのハサン達が召喚されており、共に冒険をしてきた。

だが立香の知るハサンの特徴を兼ね備えながらも、今現在遭遇しているハサンはおおよそ彼らとはかけ離れていた。

 

「ハサン?でも、あの姿は…!」

「互いを纏め上げて辛うじて存在はできているようだ。気を付けろよ?明らかにアレはお前を殺しにかかっている」

「嘘だろ…!」

「下がってろ!来るぞ!」

 

【異形のハサン】というべきアサシンのサーヴァントは、高く踏み込み跳びあがる。

振り抜かれた左腕の巨腕が立香を屠るべく抜けられるが、同じく高い跳躍力を誇る3号ライダーがその拳を受け止めた。

あいさつ代わりの裏拳をお見舞いしながら、3号ライダーは声をかける。

 

「悪いがいきなりソイツはよしてくれ。仮面のよしみとして聞いてくれないか」

『うがあああああああ!!!』

「やっぱりか、サーヴァントになる奴は気難しい奴らばかりか!」

 

自然落下しながら取っ組み合う異形のハサンと3号ライダー。

長細い右腕と大きな左腕という不釣り合いな両腕では簡単に抜け出せる。だが、それを見越してか、異形のハサンの背部にある「毒の娘」が動く。

3号ライダーに寄り添うように近づき、彼に抱き付こうと腕に広げる。

 

『【妄想毒身-ザバーニーヤ-】…!』

「チッ…いきなり必殺技とは芸がない!トゥ!」

 

毒の娘に嫌な予感を感じた3号ライダーはハサンの胴体を足場にして蹴り上がり、いったん離れて距離を取る。

地面へ着地した3号ライダーは、手短にあった大きな瓦礫をハサンの思いっきり投げつける。

投げ飛ばされた瓦礫はハサンに激突直前、毒の娘が少女の姿から液体として飛び散って瓦礫を飲み込む。

瓦礫は全て跡形もなく溶かされ、嫌な予感が的中した3号ライダーは仮面の裏で苦虫をかみつぶしたような表情を浮かべる。

 

「やっぱり触ってはダメか。下手な怪人より厄介だなこれは」

「気を付けてライダー!静謐の毒はサーヴァントでも危険なほど強力なんだ!!」

「なに?アイツの能力の事、分かるのか?」

「全部は分からないけど、いくつかなら……!」

 

3号は立香に背を向けながら尋ねる。立香もその戦う背中を見ながら頷く。

その間にも異形のハサンから分身が生み出され、二人を仕留めるべく取り囲んでいく。

 

『【妄想幻想-ザバーニヤ-】』

「こんな状況で言うのも変だが、どうやらお前とは気が合うようだな」

「同じだ、オレも何故だかアンタを信じられる」

 

お互いまったく見知らぬ存在同士ながら、この世界に流れ着いた何者かさえ知らない二人が雌雄を決す時は今だ。

 

「力を貸せ。アイツを倒すにはお前が必要だ」

「わかった、オレもできうる限りの援護はする!」

「頼んだぞ!」

 

マスターとサーヴァント、藤丸立香と3号ライダーの共闘が今成立した。

その直後、ハサンの分身体が一斉に襲い掛かる……が、3号が抱え跳び、遠隔操作によって走ってきたトライサイクロンのバルカン砲が蹴散らしていく。

トライサイクロンに飛び乗った3号は、助手席に立香を乗せると、ハンドルを握ってアクセルを握り締める。

 

「掴まってろ、フルスロットルだ!」

「うわあああああ!?」

 

距離を離していくトライサイクロンを見て、異形のハサンは右腕を構える。

呪いの右腕が一層赤く輝き、振るい上げると伸びていく。

【妄想心音-ザバーニーヤ-】、悪魔《シャイターン》の右腕に触れられた相手は生み出された偽の心臓を握り分され、共鳴して破壊されるだろう。

それは立香はもちろんのこと、例え3号ライダーといえども心臓を失えばひとたまりもない。その右腕がフルスロットルで逃げて行くトライサイクロンへ伸びていく…。

 

『【妄想心音-ザバーニーヤ-】』

「今だ!ガント!」

「ッッ!!」

 

立香に触れる直前、彼の着込んだ魔術礼装に仕込まれた呪いの一撃が右腕に叩き込まれる。

右手に受けながら短いひと時の体の自由を奪われる異形のハサン……時間を稼ぐには十分だった。

車体を180度回転したトライサイクロンがハサンの下へ走り始める。3号は運転を手放し、トライサイクロンからジャンプ、右腕にパワーを集中させて必殺の一撃を叩き込む。

 

「ライダァー……パンチィッッ!」

『ぐがあああああああ!!!』

 

3号ライダーの拳から放たれた【ライダーパンチ】が、アサシンのサーヴァントへ炸裂。

ハサンの霊基の中心である霊核を撃ちぬき、決定打を決められた。

 

「ふぅぅ…し、死ぬかと思った」

「上出来だ。へっぴり腰かと思いきや中々やるじゃないか」

「アハハハ……上手く言ってよかった」

 

一息ついた立香に、珍しく相手を認める3号ライダー。

一方、異形のハサンは数歩後ずさり、膝から崩れていく。やがて黒い靄の体からいくつもの人間の影が崩れるように這い出ては消え去っていく。

最後に残ったのは異形の右腕を持った者、毒の体を持った娘、一人の髪を纏め上げた仮面の人物。

3人は消えていく体を見ながら、ぽつりぽつりと言葉を呟く。

 

『我ラヲシタ事ガ、自ラヲ見失ウトハ不甲斐無イ……』

 

『アァ、晩鐘ノ音ガ聞コエル……』

 

『願ウナラバ怪物ト成リ果テタ我ガ身ヲ』

 

 

彼らの構成する霊基が砕け散り、金色の粒子となって消えていく。

3号は消えていった場所を見ながら、立香に問い尋ねる。

 

「お前、アイツらの事を知ってるようだったが…知り合いか」

「うん。といっても彼らじゃない本人を知ってるだけだけど……変わらずいい人達だったよ」

「そうか……俺達ができたのは、歪んだあいつらを倒すだけだった」

 

3号はそう言いながら、変身を解く。

そこに現れたのは、一人の大人びた日本人の男性。3号だった男は再び尋ねる。

 

「ところで名前はなんだ?正直、マスター呼びは性に合わないんだ。教えてくれ」

「えっと、藤丸立香。藤丸立香って言います!」

「なるほど……俺は黒井響一郎だ。よろしく、立香」

 

 

藤丸立香と黒井響一郎。白紙にされた未来を取り戻すために戦う少年と、歪められた歴史を戻すために消えていった男。

似て非なる者同士が今ここに邂逅した。

 




 
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