仮面ライダー×Fate/GrandOrder 残光記憶都市   作:地水

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 もともとはリハビリついでに始めた仮面ライダー×FGOのクロスオーバー小説。
二部準拠、特異点に迷い込んだぐだ男にあるライダーが遭遇する、そんなお話もこれにて最終回。
残すは裏設定や裏話ですが、まずは物語の最後を見届けてやってください。


最終話

「先輩……先輩!!」

 

 

誰かに身体を揺すられながら目を覚ます藤丸立香。

そこは、ノウム・カルデアにおける自室だった。

傍にはマシュの姿があり、涙で頬を腫らしながら自分の名前を呼んでいた。

 

「先輩、目を覚ましたのですね!よかったぁ…!」

「マシュ……俺、どうしていたんだ?」

「憶えてないのですか?先輩…?」

 

自分が何が起きたのか理解していない立香に、マシュは不思議そうに見つつ状況を説明を始める。

 

―――事の発端は、突如発生したある特異点での調査に赴こうとした時の事。

同行しようとしたセイバー アルトリア・ペンドラゴン、アーチャー エミヤ、ランサー クー・フーリンの3騎は例シフトに失敗しコフィンから弾かれてしまい、マスターである立香だけがレイシフトに成功した。

たった一人だけで特異点へ放り出された立香の生存確認すらままならず、ダヴィンチちゃんや他のキャスターのサーヴァント達の奮闘も空しくどうにもできない状態だった。

 

……諦めかけていたその時、突然現れた銀色のオーロラのような壁が現れ、そこから立香が現れて倒れこんだという。

そして現在、こうして自室のベットにて寝かされていたという。

 

「本当に無事でよかったです。あの後、特異点は無事消滅しました」

「どうやら俺、相当マシュやみんなに迷惑かけてしまったようだね」

「でも先輩が帰ってきて本当によかったです」

 

流れていた涙を拭いて、マシュは笑みを浮かべる。

そんな健気な彼女に対して、立香はほっとした様子で笑顔を向けた。

 

「それで先輩、特異点で何があったのですか?」

「信じられないかもしれないけど、俺、助けられたんだ」

「助けられたって……誰に?」

 

 

「―――仮面ライダー、愛と平和を守るヒーローにね」

 

 

―――――

 

 

何処かの空間。

そこに変身を解いた黒井響一郎の姿があった。

何故自分かここにいるんだ?本当ならばあのまま特異点と共に正しい歴史の中へを消えるはずだった。

魔力元であるマスターも居なくなった今、魔力が切れて自然消滅を待つはずだが……。

 

「何故、オレはここにいるんだ?」

「―――そりゃまあ、俺がこの場に呼んだからな」

 

そこへ現れるのは、一人の青年……見覚えがある、ディケイド・オルタの姿だ。

いまだにその顔をフードで隠す彼は、その奥で笑顔を向ける。

 

「よぉ、黒井響一郎。元気にしていたか。さっきぶりだね」

「お前は……一体なにをするつもりなんだ」

「具体的に言えば、お前をこのまま逝かせるには惜しいって思ってな。そこで、こういうものを用意していた」

 

そういうと、ディケイド・オルタはあるものを取り出す。

それは黄金の杯…聖杯だった。

驚く響一郎に対してニヤリと口角を上げながら見せると、ディケイド・オルタは悠々と語りだす。

 

「何でも叶う万能の願望機、何か使えるかなと回収しておいてよかったぜ」

「それをどうするつもりなんだお前」

「本来だったら別に使わなくてもよかったけど、お前がいるなら話は別だ」

 

そういうと、ディケイド・オルタは聖杯と高く掲げる。

すると聖杯から漏れ出した光が、響一郎を包み込む。

それと同時に不思議な感覚に陥った。まるで「ショッカーの世界」にいた頃と同じ感覚だ。

 

「これは……」

「受肉……ってわけではないが、お前を元の仮面ライダー3号として独立させるんだよ」

「お前は一体何者なんだ?何故そこまでする?」

 

響一郎の問いに一瞬、悲しさを孕んだ笑みを浮かべるディケイド・オルタ。

少し溜めた後、彼は口を開く。

 

 

「―――あえて言うならば、おれは言わば『仮面ライダーだった誰か』に過ぎないのさ。表に出ているこの【俺】も、ディケイドの力を借りている素顔を仮面で隠した誰かなのさ」

 

「ライダーならば誰でもよかったのさ。偽悪ぶったカメラマンでも、笑顔を守る冒険者でもね」

 

「今回は運よく【俺】になったわけだ。じゃなければ、破壊者なのに裁定者(ルーラー)なんてクラスに割り振られるわけないっての」

 

「お前を助けたいと思ったのは……そうだな、この霊基がそう訴えかけていたからだ。なんてったって何十人ものライダーを重ねて合わせた代物だからな」

 

 

にこやかにな笑顔で語り掛けてくるディケイド・オルタ。フードの中から覗く口元からは何処か苦しそうな表情が見て取れた。

響一郎は手を差し出し、握手をしあう二人。

 

「ありがとう、ライダー。お前の事は忘れないよ」

「仮面ライダー3号、お前はもっと人を救える。世界を超えて助けに行け」

「―――じゃあな」

 

そうつぶやいた後、響一郎は消えてゆく。

この空間から弾き出され、別の世界へ向かったのだろう。

そう判断したディケイド・オルタは名残惜しそうに聖杯を見つめる。

 

「さーてと、これどうするべきかな」

 

 

―――――

 

 

立香が謎の特異点から脱出し、数日の経過した頃の事。

あの後、例の特異点は消滅し、結局何が起きたのかは藤丸立香の証言だけとなった。

仮面ライダーと名乗る謎のサーヴァント、キャスターによる【異世界の上書き】はなどあの都市で起きた事についてゴルドルフ新所長やダヴィンチちゃんといった面子は信じられないことだとコメントをしながら、にわかに信じたい体験を受け止めるしかなかった。

 

そんな中、一人のサーヴァントが不機嫌そうに廊下を歩いていた。

いつもの甲冑の衣装とは別の衣装……かつての亜種特異点で来たとされている通称【新宿のオルタちゃん】衣装を纏ったジャンヌ・オルタだ。

彼女は何かに対して怒っている様子だ。

 

「まったく、なんなのよ!あの仮面野郎!!」

 

苦虫を噛み潰したような顔をしながら、ずかずかと足取りを進めていくジャンヌ・オルタ。

―――というのも、今朝突如例の特異点での記憶を見たのだ。

本来ならば関わりのないはずの彼女(じぶん)との記憶が流れ込み、そこであった【あの男】とのやりとりに悶えていたのだ。

たまたま通りかかった青いドレス姿に甲冑を身に纏った金髪の騎士……アルトリア・ペンドラゴンがジャンヌ・オルタ心配そうに訪ねてくる

 

「くっそ、思い出すだけで身悶えしてくるわ!あの女以上にいけすかない奴がこの世にいたなんて!」

「大丈夫なのですか、ジャンヌ・オルタ」

「ん?ああ青い方か。……大丈夫よ、ほっときなさいな。これ当分はしつこくこびりついてしまうから」

「そうですか……なんだか他人事ではない気がしますが……」

 

どっと疲れた様子のジャンヌ・オルタにアルトリアは付き添いながら何処かへと向かう。

 

こうして様々なサーヴァント達が集うカルデアでの少し奇妙で変わらぬ日常が続いていく。

……ただ一つ、『珍妙な侵入者』がやってきたことを除けば。

 

アルトリアとジャンヌ・オルタの2人が廊下を歩いてると、誰かの鼻歌が聞こえてくる。

気が付くと、そこにはカルデア所属の制服を身に纏った一人の男性職員が廊下の向こう側からやってきていた。

馴染みのない顔で誰なのだろうか、と思っていたら向こうの方が気付きこやかな笑みを向けて会釈をする。

 

「やぁ、元気かい?ところでダヴィンチちゃんの工房はどっちだったかな」

「それならここを真っ直ぐ向って、次の左角に当たる所を向かえばいいと思います」

「そうかい、何分ここには初めてなもんでね。そちらは変わりないようで」

「……ここには?」

 

アルトリアに教えられ、上機嫌に受け答えた男性職員は彼女の疑問符をも気にせずダヴィンチちゃんがいる工房へと向おうとする。

ハッと気づいたジャンヌ・オルタが彼を呼び止める。

 

「ちょっと待ちなさい、アンタまさか…!」

「おーっと、それ以上はまた会った時に取っておきたいね。今は引っ越し次いでのコレを届けないといけないから」

 

男性職員は手元にあったそれを見せつける。その手には黄金の杯……あの特異点で失われていたと思われていた聖杯があった。

ジャンヌ・オルタの険しい表情がまるで「コイツ、してやったな」というべき苦笑を浮かべる。

それについて、ニヤリと口角を上げた男性職員は背を向けていたところクルリと翻し、正面を二人へと向き直った。

 

「あ、そうそう。名乗っていなかったね……」

 

 

「サーヴァント・真名は【仮面ライダー】、今回からカルデアの新しい職員として働くことになった。以後お見知りおきを」

 

 

――――――

 

 

とあるどこかの世界。

平成を終えて令和に移り変わった時代。しかしそこにも平和を脅かす【悪の魔の手】は忍び寄る。

 

「―――くそっ、よくもやってくれたねぇ…!!」

 

悪態をつきながら、ボロボロの体を引きずるのは赤と青を主体とした一人の仮面ライダー。

『ライダー』と刻まれた仮面の裏には苦痛と屈辱を孕んでいた。

―――仮面ライダーザモナス、時代を管理する組織・クォーツァーの一人「ジョウゲン」が変身する仮面ライダーであり、先の平成ライダー達に倒されたはずだった。

ザモナスは手元にあった懐中時計型アイテム・ライドウォッチを見つつ、毒を吐いていた。

 

「これがなければやられていたよ。くそっ、使わせてやがって!」

【AMAZON NEO】

 

青と赤で彩られたライドウォッチ………アマゾンネオライドウォッチを起動、内包されている仮面ライダーアマゾンネオの驚異的な生命力を行使し、平成ライダーの猛攻なんとか凌ぎ切った様子だ。

だが、このライドウォッチに刻まれたデメリットも大きく、ザモナスの身体は人間のタンパク質を欲する生命体"アマゾン細胞"によって侵蝕されつつあった。

もはや人間から文字通りの怪物になりつつあるザモナスがすることはたった一つ……。

 

「こうなったら、復讐してやるさ……!俺が俺である内にオーマジオウとその仲間を……!!」

 

怒気と怨嗟の籠った言葉と共に、自分達を打ち負かしたライダー達を打倒すべく向おうとする。

その結果が自分をも滅ぼす大災害という自滅が待っていたとしても。

 

そんな最中、強烈な排気音が辺りに響き渡り、驚くザモナス達。

現れたのは白きボディのスーパーカー、そしてそこから降りてきたのは一人の仮面ライダー。

 

「なるほどな、だったらそういうわけにはいかないな」

「貴様は……一体誰なんだ!?」

 

 

 

 

 

「仮面ライダー3号、闇に葬られたはずの仮面ライダーさ」

 

 

 

 

 

 

歴史に消えていったはずの仮面ライダーは拾った奇跡と共に再び走り出した。

未来を取り戻したはずの一人の少年は、今度は数多の未来に打ち勝つべく戦いへと戻る。

 

絶望か、それとも……。

この先に待ち受ける彼らの物語の生末……それは、誰にも行く末はわからない。

 

 

 

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