翼を広げた黒い鷹   作:フォード2

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1人目のインタビューです。第1話から第4話まで続きます。


第1話 ティターンズ

 ティターンズ元隊員の私はインタビューを受けることになった。ティターンズとはどのような組織であったか聞きたいらしい。私はインタビュアーに栄光と挫折の日々を語る。

 

 インタビュアーは私がティターンズに入隊した理由を最初に聞いてきた。なぜティターンズのような組織に入ったのですかと素っ気なく聞いてくる。

 

「私は北米大陸出身のアースノイドです。私の実家はトウモロコシ、小麦、大豆を育てる大規模な農家でした。しかし、私の故郷はコロニーの落下によってめちゃくちゃになりました」

 

 

「事件が起こったのは0083年でしたね。当時、連邦政府はコロニー輸送中の事故と発表していました。真実を知ったのはティターンズに入隊してからですね」

 

「ご存知だと思いますが、これはジオン残党の『テラーズフリート』が北米の穀倉地帯に打撃を与えるために仕組んだ作戦でした。地球の食料生産を支える北米が壊滅的な被害を被った事で、地球は宇宙の農業コロニーに食料生産を頼る事態になったのです」

 

「事件を受けて、地球連邦軍にはジオン残党狩りを目的とするティターンズが結成されました。結成当初は地球圏の平和を守るために誇りを持って入隊する人物が多かったのです。私もその1人でした。初期のティターンズは規律ある素晴らしい軍隊でしたよ」

 

 

 もう1つ、アースノイドならでは理由を説明します。インタビュアーさんはコロニー出身のスペースノイドでしたね。

 

「私を含む地球出身者はコロニーが落ちてくる恐怖を知っています。コロニー落としは『空が落ちてくる』というトラウマをアースノイドに与えました。私はあのような恐怖は二度と味わいたくないと感じましたね。だからこそ、私はティターンズに入隊するために必死に努力しました」

 

「私は、生まれも育ちも地球でした。私がティターンズに入隊した理由は、ジオンへの復讐とコロニー落としのような悲劇を防ぐためです。私は地球圏に平和をもたらしたいというまっすぐな志を持っていましたが、その志はバスクオム大佐によって踏みにじられましたね」

 

 

 インタビュアーはグリプス戦役後に隊員がたどった人生を知りたいようだ。私は一般的に言われていることを交えながら語り始める。

 

「グリプス戦役後、ティターンズに所属していた隊員は様々な末路を辿ることになりました。その中でも地球連邦軍に復帰できた私は幸運でした」

 

「テレビや新聞で報道されていた通り、軍法会議や軍事裁判で極刑や懲役刑の判決が下った隊員も大勢います。ネオジオンやジオン残党といったかっての敵に加わったり、火星にいるジオン勢力に合流した奴もいるらしいですね」

 

「大多数のティターンズ隊員は連邦軍から退役しましたが、戦うことしかできない人、戦いを好む人は民間軍事会社に就職したようです。おそらくはティターンズ出身者の腕を買っているのでしょう」

 

 


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