インタビュアーはグリプス戦役後に私がたどった人生を知りたいと聞いてきた。さらに私が現在勤めている職業についても当たり障りなければ教えてほしいと言う。
「私は幸運にも連邦軍に復帰できました。でも、ティターンズ出身者というだけで、宇宙出身のスペースノイドからは嫌われましたよ。特につらいのはエゥーゴに所属していたパイロットと顔を合わす事です。彼らから見れば私は仲間をあやめた敵ですからね」
「結局、私は1年後に連邦軍を退職してジャンク屋に就職しました。今は民間に払い下げされたハイザックに乗っています。ハイザックは機動力が良く、操縦しやすいモビルスーツですよ」
インタビュアーがもっと詳しく話してほしいと要求してきた。私はグリプス戦役後の混乱した時代を振り返った。
「エゥーゴとティターンズの最終決戦で漁夫の利を得たのはアクシズでした。戦力を温存していたアクシズは各コロニーを短期間で制圧、地球に侵攻を開始しています」
「しかし、連邦軍にアクシズに対抗できる力は残されていませんでした。頼りになるのはエゥーゴとカラバだけでしたね。連邦軍でも、グリプス戦役で優秀なパイロットが大勢戦死したことにより、パイロットの育成と確保が課題になりましたよ」
私は第1次ネオジオン戦争で経験した事を語ることにした。連邦軍がネオジオンの地球降下作戦を防げず、連邦政府本部と議会の占領を許した経緯を話そう。
「ネオジオンの地球侵攻を防げなかった理由は戦力が疲弊していたからです。私もネオジオンと戦いましたが、機体は旧式のジム2でした。我ながら、あのような混乱した状況でよく戦えたなと思います」
「0088年、私は地球のアフリカに配属されていました。印象に残った出来事はネオジオンの地球侵攻ですね。特にネオジオンの部隊がハイザックとマラサイを使っていた事に衝撃を受けました。ネオジオンはティターンズ残党も取り込んでいたのです」
「彼らは戦争犯罪人として処罰されることを恐れていたと思います。軍法裁判では極刑判決が下ることもありましたから。かっての敵と共闘して戦うことになった彼らの心境が気になりますね。内心では見下していたと思いますよ」
戦争中にはダブリンへのコロニー落としがあった。インタビュアーはこの件についてもコメントを求めてきた。
「この事件こそ、連邦政府の無為無策ぶりを象徴する出来事ですよ。エゥーゴの〈アーガマ〉とカラバが住民の避難を支援していましたが、当の連邦政府は何もしなかったのです」