因みに『何でも屋アクロス』の世界線です。
暇潰し程度にどぞ~
ここはG&Kの本社近くにある廃れた酒場。そこには、第三次世界対戦を生き延びた戦士達についての情報を語ってくれる変な場所である。
しかし、真実かどうかは裏付けされている訳ではない。まぁ娯楽に飢えた人々がたまに立ち寄る程度である。
「らっしゃい...お嬢さん一人かい?」
さの酒場の店長らしき人物は入ってきた人物にそう聞く。するとその人物はニコリと笑った。
「えぇ私一人よ。今回は貴方が知っている人物について聞きに来たわ」
「ふむ...成程」
その女性が言った事に合点したのか彼はニヤリと笑った。
「どんな情報が欲しいんだ?」
「ほぼ都市伝説化してて、飛びきりの人物の情報ね。料金はこれでどうかしら?」
そう言うと、彼女は懐から金を出した。
「ふむ。何か飲み物は居るかね?」
「そうね。なら何か軽い飲み物をよろしくお願いするわ」
女性の飲み物を準備しながら店長はポツリポツリと始める。
「そうだな。なら初めから少し話そうか。嬢ちゃんは『日本の若鬼』と聞いてピンと来るかね?」
「知らないわ」
彼女の反応にそうかと返した店長は飲み物を出しながら口を再び開く。
「なら初めから話そう。時は第三次世界大戦末期。壊滅状態だった日本在住だった一人の少年の事を指す異名だ」
彼は少し後悔したような、その一方でとても自慢げに語りだした。
~彼は、手先が器用である、それに集中力が化物じみていた~
~その能力を買われて、とある部隊の隊長になった~
~初陣EMPでダメになった乗り物を戦闘中の短時間で直した~
~撤退作戦において、兵士の戦死数は無しである~
等の話をしていたら今まで黙っていた彼女が突っ込みを入れた。
「待って少年なのよね?普通はあり得ないわ」
「確かにな。でも事実さ。偶に居るんだよそう言った化け物がね」
しかし、納得いかないのか、彼女は質問をした。
「その隊長さんは生きているの?」
「あぁ、生きている。若鬼の通った後には必ず痕跡が出来るからな」
即答であった。しかし、と続ける。
「今は何処にいるか分からない。最後にいた場所は数年前にーーーと言う司令部にいた」
「そこは壊滅しているわ。内乱でね」
女性の一言に、彼はニヤリと笑った。
「嬢ちゃんは知らないかもしれないが、歴戦の猛者から狙われても無傷で逃げ切れる奴が内乱程度で死ぬとでも?」
「人間は簡単に死ぬわ」
そう言った女性の目を見て、彼はそうだなと答えた。
「ま、信じるか信じないかは嬢ちゃん次第だ」
「そうね、ありがとう。飲み物も美味しかったわ」
そう言って立ち上がる彼女を店長は止める。
「最後に一つ忠告しておこう。彼に会うなら敵対はしない方が良いぞ」
「?」
女性は少し話が分からないといった感じで首をかしげた。
「奴の強さは自身の強さではなく、仲間を鼓舞する事に長けている」
それに、奴は人たらしだからな。と彼はつづける。
「ご忠告感謝するわ」
その言葉だけである程度察したのか、彼女はそう言って店を後にした。そして暫くたった後店長はポケットに入れていた一つの物をだす。
「若.......」
暫く黄昏ていたがやがて彼はいつもの睨み付ける様な顔付きになった。
「ふっ、そう言えば最後まで本名で読んでやれなかったな」
そのポケットから取り出していたコインにはこう書かれていた。
直すが仕事!殺すは2の次!
「きっと、面白い奴らを従えてるんだろーな」
彼はそのコインでコイントスをしてからポケットにしまった。
「俺が死ぬまでには、探し出して会いに行くか」
そう言った彼の言葉はだれにも届かず虚空に消えていった。彼の顔は何時もより明るかった。
ではでは、また別の作品にて会いましょう!