お前なんで俺ん家にいんの?   作:アナタは

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少し趣向を変えて


ウルトラロマンティック

 

 

 

 

 

きっと誰もがロマンティックな出会いには1度は憧れるのだろう。

自分の危機に颯爽と現れて助けてくれたり、綺麗な風景が見える丘で天体観測をしようとしてばったり出くわしたり。

それはきっと素敵で心も身体もドキドキするぐらいの恋をしてしまうのかもしれない。

 

けど現実でそんなことは有り得ない。

だからこそ誰しもがロマンティックな出会いに憧れはすれどもそれを口に出したりはしない。

そうやって何処か妥協して日々を過ごし何やかんやで運命の人と出会って恋に落ちたり落とし所を見つける訳だ。

それもきっと素敵なのだろう。

けど誰しもが憧れるロマンティックな出会いをすればきっとそれはもっともっと、素敵な恋が出来るんじゃないだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヤバイわ.......出る.......」

「ちょ、やめっ.......」

 

 

そして俺は背中に背負った超絶美人である女優の乙女汁(自主規制)を頭から被った。

はてさて、どうしてこうしてこうなったのか。それを説明するには少し時間を遡らなければならない。

 

 

 

――――――

 

 

 

 

俺の目は逝かれたのかも知れない。

いや普段から「虎之助の目は飴玉なのかしら?」とか散々ディスられている訳で本格的に俺の目ん玉って飴玉なのかなって。

 

だって目の前に白鷺千聖が倒れてるんだぜ?

 

白鷺千聖と言えばテレビで子役時代から活躍している超有名人の女優で超絶美人可愛い女の子なのだがそれが道路のど真ん中でまるでダイイングメッセージを残しているかのようにぶっ倒れているのだから。

はっきりいって夢と言われた方が納得いく。

ふむ、と腕を組んで考える。

 

よし。

面倒くさそうだからこの場から離れよう。

何故か知らないが早くここから離れた方がいい様な気がしてきた。

俺のサイドエフェクトがそう言っている。

しかし足が動かない。

 

「ちょっとぉ、どこ行くのよぉ」

 

若干呂律が回ってない舌足らずな言葉。暗がりでも分かるほど赤くなった顔。

俺の足を掴んだ張本人はゾンビのようにノロノロと立ち上がる。

ふらふらしていて今にも倒れそうで見ている方がヒヤヒヤする。しかし這い上がるように足から掴む場所を腕に変えてもなお逃しはしないと力強く掴まれている。

時すでに遅し、俺は捕食されたようだ。

いや、ていうかさ

 

「あの、酔ってますよね?」

「酔ってなんかないもん」

 

あ、いまのちょっと可愛い。

じゃなくてこの人確か俺と同い年やないですか?

なんでよっぱらってんだよ。

これじゃまるで上司のセクハラにうんざりして仕事終わりに浴びるほどお酒飲んでべろんべろんになったOLみたいじゃねぇか。

ていうか初対面ですよね?

 

薄暗い証明が街灯ぐらいしかないここはさながらスポットライトに照らされたステージのように俺と彼女を照らす。

正直場違いな程彼女は美しかった。

女性の服装に疎い俺でもそう思える程似合っていてお酒のせいで今は美しさよりも女の子らしい可愛さが際立つ。

きっと俺じゃなければそのまま拉致監禁あんなことやこんなことのオンパレードだったに違いない。

リサや友希那で慣れてなければ即死だった。

 

さてどうしたものかと目の前のお姫様の様子を伺う。

もう捕まってしまったものは仕方がない。

不本意ではあるが仮にもこの未成年の酔っ払いは女優で有名人で女の子。

もう夜遅いし送ってくか。

あらやだ俺ちょっとイケメンかも。

 

「.......うぇ」

「うぇ?」

 

そんなふうに自画自賛していると目の前の彼女は謎の声を上げた。

うぇ?うぇーいとか言い出して踊り出すの?うわ、酔っ払い怖い。

真っ直ぐ彼女を見詰める。

綺麗だ、可愛いと言うよりも何処か洗練された美しさが彼女にはあった。

あのいつも画面の外側で、俺とは住む場所が全く違う人気女優が目の前にいる。

そう思うとやっぱり現実味がない。

やっぱ夢か?

とまた考え始めているとポロリと彼女は瞳から一筋の雫を落とす。

それを皮切りにとめどなく流れ出す涙。

 

不覚にも見取れてしまう。

はっとなって咄嗟に足りない頭を捻って言葉を出そうと模索するが口は開いても声が出ない。

なにか言わなければ。何か言わなくちゃ。

でもまるで俺の口は酸素を求める金魚のようにパクパクと開いたり閉じたりを繰り返しているだけだった。

正直に言うと俺は今の状況に理解が追い付いていない。

だって小腹が空いてコンビニに出ただけなのに有名人、それにとびきりの美人にこんな出会い方をして。

これがもっと違う出会い方であれば馬鹿正直に喜んで連絡先でも聞いていたのかも知れない。

無謀にも気を引こうと話に花を咲かせたのかも知れない。

俺は決して頭は良くはないし容量だって悪い。

 

「よく分かんないですけど.......我慢しなくていいと思いますよ」

「.......えっ?」

 

まるで自分が泣いているのに気が付いてないかのように惚けた顔で俺を見上げる。

ただこれだけは俺にだって分かる。

 

「そんな分厚い鉄仮面みたいな無表情貼り付けてもただ辛いですよ」

「私だって.......私だってそうしたいわよっ!?」

 

鉄仮面が崩れる。

決壊したかのように先程とは比べ物にならない程の涙を流しながら彼女は叫ぶ。

目の前で子供の癇癪のように泣き散らしているのは女優の白鷺千聖ではなく、ただの1人の女の子である白鷺千聖だった。

 

誰も自分を見てくれない。

皆の期待が重い。

成功して当然。

 

それを黙って俺は受け入れる。

彼女は幼い頃から女優として活躍していた。幾つもの役になりきり舞台に上がり続けた。

見事に成功して見せた彼女はいつしか正しく皆の憧れになり目標になった。

誰もが女優ならば白鷺千聖を目指せといった。

彼女ならば、彼女だったならば。

故に誰しもが女優としての白鷺千聖という偶像を作り出し期待する。

崇拝され尊敬される。

きっとそれは凄い事なんだと思う。

 

貼り付けていた仮面を取り払って泣き散らす彼女の顔はお世辞にも綺麗とは言えないものだけど、俺はなんとなく今の彼女の表現の方が好きだった。

けどね、さっきからばしばし叩かれてる俺の鳩尾そろそろ限界なんで勘弁してくださいお願いしま.......ぶほっ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あのですね」

「何かしら?」

 

何かしら、じゃねぇよ。

 

「色々言いたい事は沢山あるが取り敢えず着崩した服ちゃんと着なさい」

「ふふっ、なぁに?恥ずかしいの?」

 

そう言って艶っぽく微笑み俺の顔を撫でる。

エロいな。エロいけどな.......

 

「いや何か千聖さんがそうやって下着チラつかしてもグッとこなくて見るに.......あだっ!?」

「ふんっ!何よ何よ!どうせそういう風に装ってもどうせ私は経験皆無だし彼氏いない歴=年齢だしそう言われても仕方がないかも知れないけどちょっとぐらい恥ずかしがりなさいよっ!」

 

 

はいはいツンデレ乙

っていでぇ!?

物使うのは反則だろ!

あ、どうも。最近ナチュラルに心の声を読み取られて隠し事が何も出来なくなりつつある虎之助です。

 

案の定起きたら千聖さんがいた。

そんな気はしてたんだよ。けどね、それ思ったら絶対この人来るってのは分かってたから考えないようにしてたんだが無駄だったみたいですね(諦め)

 

確かに千聖さんはエロい。

もう雰囲気からしてエロい。

けどね、俺も頭から乙女汁(自主規制)を被せられたらそりゃもう100年の恋も覚めるってもんよ。

それに今も腕を組んでふんっ、とそっぽ向いてる素の千聖さん見てると子供っぽくて到底そんな気にならんわ。

 

少しぐらい意識してくれていいじゃない.......

「あ?なんて?」

「なんでもないわよ、バカ」

 

まぁなんというか今の千聖さんの方が俺は好きだけどね。

あん時はほんと見てられなかったからなぁ.......

あの後も俺の家泊めろって聞かなくてそれは不味いって思ったんだけど、しつこかったから仕方なしに泊めてあげたんだけど借りてきた猫みたいに大人しくて結局何事もなかったんだよなぁ。

うんうん、けどやっぱり美女美人には笑顔が1番だ。

 

「だからそういうこと言ってっ!」

「な、なんだよ急に」

「バカバカバカ!」

 

 

 

 

 




オリ主
相変わらずのラノベ主人公っぷり。
相手の好意には疎いクセに相手の気持ちや内心を読み取るのが得意。
頭から乙女汁をぶっ掛けられて色々覚めた。
出会い方が違ったのならきっと何か変わったのかも知れない。

白鷺千聖
悲劇のヒロイン
コロッといかれてしまった。
神憑りな演技力に持ち前の美貌を生かしオリ主に迫るも相手にされない。
素の子供っぽい所を知られているのもあるが乙女汁が不味かった。
自称パーフェクトガール()だが割とオリ主が絡むとポンコツになる。
近頃の悩みは気になる相手からの連絡が遅いこと。
ちょっとしつこ過ぎたかな?としょんぼりする。可愛い。

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