この星の人々は生気がなく何かに怯えている―――
その原因を探ろうとしたマキたち。だが、周囲にそれらしき異変は見つからない。
「ちょっと邪魔! みんなどいて」
すると、覇気のない人々を押しのけ、一人の青年が現れた。
青年は小さなバイクに乗ってマキたちの近くまでやってきた。青年は髪の色素が薄く、マフラーを首に巻き、白衣を纏っている。
「ども。あんたたち、ここの人じゃないでしょ。なんでこの星に?」
青年は警戒しながら訪ねる。もちろん、他の人々はマキたちに目もくれない。話しかけてきたのはこの青年だけだ。
「この光の射す先で、いつも事件が起こる。だから、それを解決しにきた」
マキがいうと、青年は諦めたように言った。
「無理だよ。あれは解決できる代物じゃない」
青年はシーカと名乗った。彼は、この星で有数の優れた頭脳を持つ者だった。
数年前、彼がまだ若いころ、星の外から来客がやってきた。それが悲劇の始まりだった……
やってきたのは「星間連盟」。この宇宙の平和を守るため、様々な活動をしているらしい。そんな彼らがこの星に依頼をしてきた。
その内容は、”光”の研究。
その光は、選ばれたものに巨人となる力を与えるというもので、星間連盟はその組成については解明済みだった。しかし、科学的に実験を行っても、人を巨人に変えることはできなかったそうだ。巨人化の謎について説くのが、この星に求められたミッションだった。
「今思えば、その星間連盟ってやつも怪しかったな。でも、本題はそこじゃあない」
莫大な研究費を受け取ったこの星は、主任研究員にシーカを指名。三年にわたり研究が続けられたが、成果は出ず、星間連盟の担当者は研究費の提供を打ち切り帰っていった。
「研究は事実上凍結した。でも、その後で事故が起こったんだ」
放置されていた”光”の複製サンプルは、地震をきっかけにして空気中に飛散。シーカは慌てて回収したが、その時この星の大気が混ざり、その組成が変化した。
「これは、偶然にも人の体積や細胞を変化させる作用を持っていた。つまり、この不慮の事故によって実験は成功したんだ」
星間連盟との連絡手段は残っておらず、シーカはこのことをとりあえずこの星の上層部に伝えた。
この星は戦争をしたことのない温厚な気風だったため、最終的に破棄されることになった。
「もっとも、研究者として興味深いものだったから、僕は自分用に少し隠し持っていたんだけどね」
そして、破棄が行われる日。厳重にロックされた金庫からその”光”を入れた容器を取り出した、その瞬間―――それは盗まれた。盗んだのは、彼と共に研究を行っていた研究者・セカイだった。
「セカイ……まさか、ウルトラマンセカイ!?」
驚きの声を上げるアンゲルに、シーカはうなずく。
「知ってたようだな、まあそれも当然か」
シーカはセカイが行ってきた悪行について語った。
「彼はその”光”を複製し、自分を巨人化。それだけに飽き足らず、動物や細菌、植物まで巨人化させた。数にモノを言わせ、この星の侵略に乗り出した……」
「それで、どうなったんですか?」
マキが遠慮がちに聞く。
「そうだね……まず、僕が巨人になった」
彼はポケットから小ぶりのチャクラム(円盤型の武器)を取り出した。それは不思議な文様が彫り込まれており、不思議なパワーを感じる。
「これは僕が”光”を手にしたときに気づいたら持っていたものだ。これを使って巨人に変身する」
巨人となったシーカは、セカイの悪行を止めるため戦った。しかし、シーカは複製が作れなかったため一人だけなのに対し、セカイは複製を繰り返し、力は弱いが大量に巨人を生み出した。
「さすがに数が多すぎた。僕一人じゃ倒せなかった。だけど、そんなときに彼がやってきたんだ」
「彼? それは、いったい……」
「彼は、僕に味方してくれた正義の巨人さ。名前は、クレナイ ガイ。またの名を、ウルトラマンオーブ」
ウルトピア…ウルトラマンセカイが作り出した人工惑星。最近から生み出した複製ウルトラヒューマノイドが生活していた。最後は、セカイによって破壊された。O-50と同じ世界に存在(オリジナル惑星・オリジナル設定)
惑星ダンパレダ…星間連盟の依頼を受け、「オーブの光」による巨人化の研究を行う。主任研究員のシーカと研究員のセカイが巨人化し対立した。O-50と同じ世界に存在(オリジナル惑星・オリジナル設定)