警官のユリカからもたらされた情報。それによると、宇宙で危険視されている種族を狙う通り魔が出没しており、キール星出身のリーゼも危ないとのことだ。
リーゼはその日からバイトや外出を取りやめ、自身の居住スペースにいる。買い出しはユリカが代わりに行っているとのことだ。
既に一週間が経過したが、通り魔に新たな動きは見られない。おそらく、他の宇宙人たちも警戒しており、通り魔にとっての犯行のチャンスが減っているのだろう。
だが、いつまでもこのまま待つというわけにはいかない。
彼らの不安材料を取り除くため、マキはアンゲルと共に動き出した。
ユリカが提供してくれた情報をもとに、通り魔の行動パターンを割り出す。そして、夜。
犯行現場付近に二人はやってきた。
「ここで奴を捕まえてリーゼを安心させてやらないとな」
「でも、相手は通り魔ですよ? 大丈夫なんですか」
不安がるアンゲル。その後ろに人影が近づく。
「!」
「わっ!!」
そこにいたのは、マドカだった。
「ちょっと、あんまり大声出さないでくださいよ」
「どうしてここに」
「あなたたちだけでは心もとないのでね」
マドカはそう言って、先導する。その後ろを、マキとアンゲルがついていく。
「おそらくこのあたりでしょう。しかし、あなたたちは戦闘能力が高いとは言えませんからね……ここで待っていてください」
「いや、俺も行く」
マキが名乗り出るが、アンゲルに止められる。
「ダメですよ! マキさん、もう変身できないじゃないですか!」
マドカが一人で暗い闇の中へ歩いていく。
数刻後。
物音ひとつしない静寂の中で、アンゲルがごくりと息をのむ。
するとその時、ヒュンと風を切り、凄まじい速度で何かが横切った。
「!」
それはマドカの近くを通り過ぎようとして、しかし失敗する。マドカの出した腕がその何かを捉えたのだ。
「何だ、お前は……邪魔を、するな……」
何かは、マドカの腕で殴り飛ばされてその高速の動きを止めた。
アンゲルが光をあてると、その姿が明らかになる。
その体は深紅。そして紅蓮の仮面を装着し、その手には切っ先の鋭いナイフが握られている。
「あなたがレッドマンですね」
マドカが問うと、赤い男はうなずいた。
「私は正義の戦士、レッドマン」
そう答える彼の目には、一点の曇りもない。
マドカはそんな様子のレッドマンを責め立てる。
「あなたは確かに、悪を討った。だが同時に、罪もない宇宙人をも殺害した。そのことについて、どう弁解するつもりですか」
「奴らは、悪。存在など、断じて認めない」
「……あなたは、人間が一人犯罪を起こしたからと言ってそのすべてを殺しつくしますか」
「人間だって同じことをやっているさ。害獣は駆除する。たとえそれが生きるための行動だとしても」
「動物と知的生命体では話が違う! あなたの矢っていることは殺人だ。それはあなたがいうところの、悪の宇宙人と同じだ」
「悪を減らし、人々を守っている。それが正義でないとなぜ言える!」
二人の論戦は平行線だ。マキもその行方を見守る。
しかし、先にレッドマンが動いた。
「貴様が正義の妨害をするというのなら、悪と断定し、貴様を討つ!」
取り出した槍・レッドアローを取り出し、投げつける。
「マドカさん!」
マキとアンゲルが飛び出す。
そこに立っていたのは、等身大の戦士だった。
古代の戦士・ウルトラマンティガ。それが、マドカの持っていた力だった。
「こう見えても、五年前は怪獣相手に戦ってたんだ。舐めない方がいいよ」
その手に捉えたレッドアローをレッドマンに投げ返す。
レッドマンは槍を蹴り上げ、レッドナイフを握りなおして急接近してくる。
「貴様だって怪獣たちを殺してきたのだろう! それと同じだというのに、なぜ邪魔をする!」
ナイフの連撃をティガは的確にさばき、エネルギーの矢を放つ。
「奴ら邪神は人類に明確な敵意を持っていた! だが、宇宙人たちの中にはそうでないものも多い!」
レッドマンは頭部からの光線でそれを捌く。
距離を取ったレッドマン。その腕に電撃エネルギーが充填され、目が発光! 両腕を合わせ、電撃光線・レッドサンダーが放たれる!
一方ティガも、その体にエネルギーを集め、必殺のゼペリオン光線を放つ!
両者の光線が激しく激突! その衝撃波は、等身大の戦闘ながらマキたちのところにまで及ぶ。
その影響で、マキとアンゲルの頭上に、巨大な鉄片が落下!
「危ない!」
レッドマンとティガがすかさず光線の打ち合いを止め、駆け寄るが間に合わない。
体の小さなアンゲルをかばうマキ。すると、胸のエナジーコア型のペンダントが輝き―――
そこには、銀白の戦士が立っていた。鉄片をその胸の頑強な鎧で防ぐ。
その姿は、マキが初期の戦闘で変身していたウルトラマンザ・ネクスト アンファンスに酷似していた。
その胸部にはエナジーコアはなく、ゼロのウルティメイトイージスに似た鎧が装着されている。
マドカが駆け寄って聞く。
「君、変身できないんじゃなかったのか?」
「わかりません。でも、とっさに守ろうとしたら、この姿に」
「ふむ。それが、君の再始動の姿ということか。いいね!」
アンゲルも無事だったようで、マキの姿に見惚れている。
「すごいじゃないですか! もしかして、ノアという方が残してくれた力なんでしょうか」
「かもしれない。それか、偶然による奇跡か―――でも」
マキはレッドマンに振り返る。
「力は、悪を討つために使うものじゃない。守るために使うべきだ!」
レッドマンはそれには何も答えず、無言で去っていった。
「これで、良かったんだろうか」
「どうだろうね」
「ひとまず戻りましょう。もう真夜中ですよ」
数日後
この一件が報告され、マキは報酬をもらうと同時に、国の対地球外生命体特設チームの初期メンバーに選ばれることとなった。
「メンバーは俺だけって、どういうことだよ……予算は降りてるし、仲間を集めないとな。アンゲル、リーゼ、それからユリカさんも入ってくれないかな」
「おっ頑張ってるな、隊長!」
「メンバーが一人なんで、自動的に隊長になっただけですよ……って言うか、マドカさんは神話の研究って何やってるんですか?」
「ああ、これか? 神話を紐解くと、五年前に現れた怪獣たちのことがわかるんだ。この伝承によると、ガタノゾーアには二体の弟がいるとされている。彼らの名前はイソグサ、それからゾス=オムモグといってね……」
そして、あの日からレッドマンの凶行は起きていない。だが、彼を完全に説得できたわけではない。もしかしたら、また会うことも、ぶつかることもあるかもしれない。
マキは、新たな自分の力を、ザ・ネクスト・リスタートと名付けた。新たな世界で、彼は再始動を始める、その覚悟を示したのだ。
そして今日も彼は往く。この広い世界のどこかで、誰かを守るために。
The End
ザ・ネクスト・リスタート(オリジナルキャラクター)
ウルトラマンティガ
レッドマン
登場