巨人拒むアース
「ウルトラマンなど過去の幻想だ。数年前は我々の世界を救ってくれた。しかし、今はどうだ!」
男は指令室で声を張り上げる。その声の先には、男と同じ制服を着た隊員たち。
「以前のふがいない我々とは違うことを、怪物に知らしめてやろう」
モニターには、町を破壊せんと迫る巨大な巨人の姿。黒と赤を配したその外見にはどこか異質さを感じる。
「地球防衛隊、出動!」
男の叫びに隊員が返事をし、それぞれ走って持ち場につく。
発進した複数の戦闘機が巨人を攻撃する。連携射撃。巨人はそれをものともせず進む。
その先には、人々が逃げ惑う市街地。それを守るため、戦車が出動している。避難が済んだ場所の戦車が砲撃を始める。
巨人はそれを腕で弾き返す。戦車に直撃、爆発。さらに巨人の光弾が腕から放たれ、戦闘機が墜落。
「くそっ……どうすればいいんだ!」
モニターを見ながら男は唸る。最新の防衛兵器では全く歯が立たない。これでは、数年前の焼き直しではないか……
数年前、この世界は宇宙人に侵略された。男の所属する地球防衛隊は為すすべなく敗北したうえで。
その後、ウルトラマンなる超越存在がこの世界を救い、そして去った。
第二の危機が迫るとも知らずに。
数日前、巨人は現れた。
データにあった三人のウルトラマン。彼らに酷似しているが、どこか違う。その巨人はなんと、町を破壊し始めたのだ。巨人はその大きな体に見合わず、小規模な破壊活動を行った後に消滅。被害は最小限にとどまった。
しかし、翌日も現れた。
その翌日も。
いや、毎日。
巨人の目的はわからない。我々に倒す手段もない。
この世界の住人は皆、ある日突然巨人に殺される恐怖に怯えながら生きている。
今日も巨人は、二、三建物を破壊したのちに消えた。
「監視衛星が謎の飛翔体を捉えました! モニターに映像、映します」
オペレーターが言う。男は顔を上げ、モニターを注視する。
隕石か何かかと思ったが、そうではない。
銀色に光る……巨人だ。
俺は、赤いペンダントの射す光を追って、この宇宙の『地球』にやってきた。人気の無いところに降り立ち、人間体を取る。
「さて、このペンダントの言うとおりに来てみたけど……前みたいに宇宙人が狙っているのかな」
辺りを警戒しながら、情報収集のため店に入ってみる。人々は心なしか元気がない。新聞を読むと、一面に大きく気になる記事が載っていた。
黒い巨人が街を襲っているというものだ。どうやら、この世界にもウルトラマンはいないらしい。
「これが、この世界での俺の役目か」