轟音と共にグレードウォールから放たれた9発の46センチ砲弾はムー大陸方向に向けて飛び去っていく。
「まやに敵弾を迎撃させろ!」
その直後、護衛艦まやから9発のSM-2が発射され、グレードウォールから放たれた主砲弾を追尾する。
「防げるか……」
世界最高の防空能力を持つイージス武器システムを搭載した護衛艦まやのSPY-1D(V)レーダーは超音速で飛翔するミサイルを捕捉・追尾できる性能を持っており、グレードウォールから放たれた9発の砲弾は捕捉と追尾は出来ている。
しかし、そんなイージスシステムでも障害物に阻まれては目標の捕捉は出来なくなる。放たれた砲弾は山を越えた向こうにあるデスデモーナ基地へと向けて放たれたので砲弾が山を越えればミサイルを誘導するMk99射撃管制装置のAN/SPG-63レーダーから放たれる電波が山に阻まれて追尾は不可能になる。全弾迎撃するなら砲弾が山を越える前に行わなければならない。
まやのオペレーターはメインディスプレイを凝視しながら、SM-2が砲弾に命中するように祈る。
「インターセプト5秒前!………スタンバイ、マークインターセプト!」
その直後、SM-2が砲弾のほぼ真後ろで破裂、大量の破片が砲弾に浴びせられ、9発の砲弾は山の手前で爆発を起こした。
「ターゲットスプラッシュ!全弾迎撃成功!」
「紀伊のトマホークも着弾した模様!」
ディスプレイから砲弾の反応が消え、ギリギリでの迎撃に成功した。
その様子はグレードウォールからも見えていた。
『主砲全弾、目標遥か手前の上空にて爆発!敵戦艦が放った噴進弾は山頂に直撃!』
「馬鹿な………」
艦橋に居た参謀達は空中で主砲弾が爆発した光景に言葉が出なかった。アケイルですらその光景を信じられないと言う言葉で見ている。
「どうなっている?信管異常か?雷か?まさか、敵か味方の航空機に偶然当たった訳ではないのか?」
「9発ともか?馬鹿な!有り得んぞ!」
参謀達は偶然であろうとする意見を口にするがアケイルだけは現実を受け止めていた。
「あの巡洋艦だ」
「はい?」
「あの巡洋艦から放たれたロケット弾が砲弾に命中したんだ」
「しかし長官、航空機ならまだしも、超音速で飛んでいる砲弾に砲弾を当てるなど不可能です!」
「ならどう説明する?こちらが主砲を発射した時、あの巡洋艦も同時に9発のロケット弾を発射したのが見えた。恐らくなんらかの方法を使いロケット弾を我が方の砲弾に向けて誘導したんだ」
「しかしそんな事が………」
「敵は航空機だけではなく砲弾ですら迎撃できる能力を持っているという事だ。この事実は受け入れるしかない」
こう言うアケイルではあるが、内心彼も参謀達とほぼ同じ意見を持っている。しかし、司令官であると言う立場から焦る様子は見せる様子は無い。むしろ、紀伊と同程度の新たな脅威の出現に、直ちに命令を下した。
「艦長、目標変更。あの巡洋艦に攻撃を集中させよ」
「しかし敵戦艦と地上目標への砲撃はどうするのですか?」
「あの巡洋艦が居ては砲弾を無駄にするだけだ。今一番脅威なのはあの艦だ」
「了解。射撃指揮所、射撃目標変更!」
グレードウォールは目標を紀伊とデスデモーナ基地から、まやに変更し諸元を合わせると直ぐ様砲撃を仕掛ける。
「敵艦発砲!」
「どこに落ちる!?」
「これは……本艦艦首90度、距離200に落ちます」
「本艦を脅威とみなしたか。回避航行!」
「了解」
まやはその場で回避に入る。コンピューター計算で着弾位置は分かっているため慌てて避ける必要は無いのだが、砲弾が海面に着水した時に起こる爆発による衝撃波は凄まじく、その際のダメージを少しでも避けるための行動であった。
『着弾!』
着水した砲弾は予想通り、まやの前方に着水、爆発で発生した衝撃波がまやの船体に直撃、船体が揺さぶられる。
「次は来るぞ!主砲用意、牽制射をしながら後退!」
まやはグレードウォールから距離をとるため、Mk45をグレードウォールに向ける。
「砲術士、目標はデカい。当てるつもりで撃て!」
「了解!主砲射撃管制、手動にて行う!」
砲術士がコントロールスティックでMk45に照準を合わせる。
「照準よし、射撃用意よし!」
「機関後進一杯!撃ち方始め!」
続く