日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

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第32話

後退を始めたまやのMk45から放たれる5インチ砲弾は、毎分16発の発射速度でグレードウォールに降り注ぐ。

 

 

「全弾命中。しかし効果は認められず!」

 

 

しかし、戦艦であるグレードウォールには5インチ砲の砲撃は殆ど効果はなく、装甲の厚い部分に当たった砲弾は全て弾かれてしまう。

 

 

「敵艦より砲撃!」

 

「SM-2攻撃はじめ!」

 

 

後退を続けるまやに向けてグレードウォールが主砲を放つが、まやはSM-2で艦に直撃しそうな砲弾と至近弾になりそうな砲弾のみを迎撃し、迎撃目標から外された砲弾はまやの周囲にある海上に着水、爆発により発生した衝撃波がまやの船体を揺さぶる。

 

 

「敵さん、完全にこっちを目の敵にしてるな!」

 

 

まやの艦長はグレードウォールが自艦を脅威と見なして、紀伊よりも先に仕留めるよう判断したアケイルの指揮能力に感嘆する。

 

 

「後退を続けろ!1発でも敵の砲弾が直撃するすればおしまいだ!」

 

 

後退を続けるまやへの攻撃の手を緩めないグレードウォールに対し、紀伊はまやの後退援護のためグレードウォールに砲撃を仕掛ける。

 

 

「撃ち方はじめ!」

 

 

紀伊から放たれる砲弾は最初の砲撃よりも精度が上がってきており、着弾位置がグレードウォールへと近付いている。51センチ砲弾の爆発で起きた衝撃波はグレードウォールの船体を揺さぶり、巻き上げられた海水が降り注ぐ。

 

 

「ぐぅっ!」

 

 

グレードウォールの艦橋にも衝撃が伝わり、アケイル達は衝撃から身を守る。

 

 

「敵の砲撃が正確になってきたな………敵巡洋艦は引き離せた!目標を敵戦艦に戻せ!」

 

 

まやを充分引き離したと判断したアケイルは目標を紀伊に戻し、再び紀伊との砲撃戦を開始する。

双方の砲弾が南方海域を飛び交い、衝撃と爆音が響き渡る。

 

 

「うぉっ!」

 

 

お互いの距離が縮まり砲撃精度が上がり、遂にグレードウォールに紀伊から放たれた砲弾が直撃した。

 

 

「右舷直撃弾!」

 

「被害報告!」

 

「右舷7番から12番広角砲、機銃群被弾!火災発生!」

 

 

3発の51センチ砲弾が紀伊に向けていた右舷の対空砲群に直撃し、高角砲と機銃が吹き飛ばされる。

 

 

「高角砲弾薬庫火災発生!」

 

「消火作業開始!」

 

 

砲弾の直撃により高角砲の弾薬庫に火災が発生、更に多数の死傷者が発生したため直ちにダメージコントロールに入る。

 

 

「3発でこれだけの被害か………流石はグレードアトラスターを仕留めただけはあるな。だがこっちとて帝国最強を名乗ってはいない!」

 

 

グレードウォールもお返しと言わんばかりに撃ち返し、紀伊に直撃弾をお見舞いした。

しかし、放たれた砲弾は大和型を上回る紀伊の分厚い装甲に弾かれてしまう。

 

 

 

「効かないか!?」

 

 

 

砲術長は自慢の46センチ砲を跳ね返した紀伊の防御力に驚きの声をあげる。

 

 

 

「諦めるな!砲撃続行!」

 

 

グレードウォールは諦めず紀伊に向けて砲撃を仕掛ける。

 

 

 

 

 

 

「敵さんも中々ガッツがあるな」

 

 

一方で、松田はグレードウォールからとてつもない戦意を感じ取っていた。

 

 

「相手は大和級相当、仕留めるのは中々難しいですね」

 

 

紀伊は大和型を上回る性能を発揮し、グレードウォールと対等に戦闘を繰り広げていた。

砲撃精度はグレードウォールがまやに攻撃を集中している隙を突いていたため、紀伊が若干ではあるが上回っている。既に紀伊はグレードウォールに3発の直撃弾を浴びせており、火災が起きているのが肉眼でも確認できる。

 

 

 

「このまま押し込むぞ!」

 

 

紀伊はグレードウォールに攻撃を集中させ、砲弾を浴びせ続ける。降り注ぐ砲弾にグレードウォールの船体には着実にダメージを蓄積させていき、甲板や艦内に被害報告が矢継ぎ早に艦橋へ伝えられ、各部署のダメージコントロール責任者は艦内電話や伝声管、伝令兵を駆使して指揮を続けているが到底対処が追い付いてなどいない。

 

 

「右舷に至近弾!」

 

「うぉっ!」

 

 

特に徹甲弾は水中弾効果により魚雷のようにグレードウォール右舷の喫水線下に直撃、穴を穿つとそこから大量の海水が入り込んでいく。

 

 

『右舷第3と第4区画に浸水発生!』

 

『居住区画火災発生!消火作業中!』

 

「傾斜復元!左舷第5と第1区画に1000トン注水!」

 

 

浸水により艦の速度が低下し、右へ向けて船体が傾斜するが注排水装置による注水作業で傾斜は直ぐに元へ戻った。

 

 

 

 

 

 

「やっぱり注排水装置がネックか……」

 

 

松田は直撃弾を与えてもダメージコントロールで直ぐに態勢を建て直してくるグレードウォールに状況的に戦いが膠着状態になってしまう事を予想する。

そもそも紀伊を含めた日米艦隊の目的はレイフォル港の制圧が主任務であるため、弾薬と燃料はそれに合わせて調整して搭載しているため、このままグレードウォールに付き合っていては砲弾と燃料に余裕がなくなってしまう。

 

 

「何とかして状況を動かせれば良いんだが……」

 

 

膠着状態の戦闘を進展させる切っ掛けをどうにかして作る必要がある。松田は何か良い案が無いか考える。

 

 

「意見具申!バルクルス基地に航空支援を要請を提案します!」

 

「仕方無い!少し早いが航空支援を要請!」

 

「了解!」

 

 

 

松田は国連軍航空部隊による航空支援要請を出した。

 

 

 

紀伊からの要請を受けた国連軍司令部はバルクルス基地に待機している海上自衛隊八戸基地から派遣された第2航空群第2航空隊第22飛行隊に出撃命令を出した。

当部隊所属のP-3C哨戒機10機は暖気運転で滑走路で待機しており、主翼下にはASM-1C空対艦ミサイルが搭載されている。

元々この部隊はレイフォル港制圧を担当する日米合同艦隊の支援を担当しているため、要請があればこのように何時でも出撃できるよう即応態勢で待機していたのである。

 

 

『ODIN1、take off!』

 

 

命令から僅か数分でASM-1Cを携えた10機のP-3CがF-15の護衛を受け次々とバルクルス基地から飛び立っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




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