日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

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第35話

海戦を終え、紀伊以下の日米合同艦隊によるグレードウォールの武装解除と捕虜の集計・治療等の各作業が慎重に進められていく。

第2艦隊は司令官のアケイル中将以下、艦長を含めグレードウォールの艦橋要員全員戦死、4000人近い艦隊将兵が死傷という壊滅的被害を負い、グレードウォールは大破、駆逐艦8隻と軽巡洋艦1隻を失い大敗を喫した。

 

対して日米艦隊は、紀伊の乗員に100名近い死傷者を出し、紀伊も右舷の対空砲の8割が使用不能となる等の損害を被ったが依然として戦闘と航行に支障はなく、砲撃を受けた護衛艦まやも乗員に負傷者が十数人発生したがこちらは損傷はほぼ無しであった。

日米艦隊に投降したグレードウォールの乗員達は臨検により、グレードウォールの甲板に集められた後、艦隊の後方に待機していたムー海軍の輸送船と病院船に引き渡された。

 

 

 

 

「さて、ここからが正念場だな」

 

 

 

戦闘が一段落した松田は、本来の任務であるレイフォル港急襲作戦に向けて思考を切り替える。

紀伊は損傷箇所の応急修理を終えているため、このまま任務を続行し、レイフォル港攻撃に参加する事となった。幸いにも主砲やトマホークなどの攻撃火器は使用可能で、防空能力は落ちたが他の護衛艦により充分カバーは出来るため作戦続行は可能と判断されたのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ラルスフィルマイナでは出撃した第2艦隊壊滅の報がもたらされ、司令部はざわめいていた。

 

 

「第2艦隊壊滅……アケイル中将戦死……」

 

 

 

司令部の空気は非常に重く、レイフォル方面軍の幹部達は頭を抱える。

 

 

「皆、気を落とすな。アケイル中将達は命を賭して時間を稼いでくれたんだ。この隙を無駄にしてはならん!ランボール少佐、敵地上部隊の現状は?」

 

「はい。海戦直後より敵部隊の動きが停止しています。やはり海上からの艦砲射撃という事実が効いた様です」

 

 

ランボールの言う通り、国連軍地上部隊の最前線部隊は海戦前に日米合同艦隊からの第2艦隊出撃の報告と上層部からの警告に基づき、敵による何らかの逆襲に備えて部隊の移動速度と作戦の一部を変更した事により、1日程動きを止めているのである。

結果的に第2艦隊は壊滅したが、国連軍地上部隊の牽制と時間稼ぎには成功している。

ほんの1日程度ではあるが、レイフォル方面軍には1日という時間はとても大きく意義があるものであった。

 

 

「今は時間との勝負だ!レイフォリアとラルスフィルマイナの防備を固めよ!」

 

 

ファンターレはこの1日を大いに利用し基地とレイフォリアの守りを固めようと、レイフォル方面軍の陸軍部隊の展開を急がせた。

レイフォリア防衛を担うレイフォル方面軍麾下の帝国陸軍第5師団はその持てる戦力全てを動員し、ラルスフィルマイナとレイフォリア南側の防備を固めていく。

 

 

 

 

そしてその日の夜

 

 

 

「司令官殿!」

 

 

ラルスフィルマイナ統合基地内にある第5師団に新設された帝国初となる第23重戦車大隊が駐留するエリアを訪れていたファンターレは、第5師団長『マーレ・アリエッタ』大将と第23重戦車大隊長『レイ・ラグルス』大佐の案内を受けながら、ある場所に居た。

 

 

 

「大将、大佐、どうかな?例の切り札の用意は?」

 

「はい。勿論完了しています!」

 

 

3人が居る大の地下に建設された秘匿車両格納庫内には、天井にある蛍光灯の光に照らされた、複数の巨大な物体が鎮座している。

両方ともシートが掛けられ、片方は首を上に向ける程にとても大きく横幅も車両格納庫の半分を占めており、隣に鎮座しているもう片方はそれよりも二回りも三回りも小さいがそれでも人間の背丈よりも高くそして大きかった。

 

 

「我が第23重戦車大隊に配備された帝国の最新技術が惜しみ無く投入されたこの新型重戦車こそレイフォル防衛の切り札的存在であります!」

 

 

レイ大佐が先ずは巨大な物体の隣にある小さい方の物体のシートを剥がす。

 

 

「おぉ……これがワイルダーか」

 

 

ファンターレの目の前に姿を表したのは、シェイファーやハウンド等の帝国陸軍主力戦車よりも一回りも二周りも大きい戦車だった。

それまでの帝国陸軍戦車には見られなかった巨大な角張ったデザインの砲塔と車体、砲塔の鼻先から突き出ている76ミリの長い砲身を持つ強力な戦車砲………見る者が見ればそれの外観は旧日本陸軍が開発していた幻の中戦車『5式中戦車』と全く同じ外観を持つ。

 

 

帝国陸軍初となる量産型重戦車『ワイルダー』の姿がそこにあった。

ワイルダーは第23重戦車大隊に先行量産型が50両配備されており、この部隊の事実上の主力戦車を勤めている。

 

 

 

「これならムーの戦車と渡り合えます!」

 

「うむ。頼もしいな」

 

 

ファンターレはワイルダーの隣に鎮座している、更に巨大な物体に目を向けると、その物体に近寄る。

 

 

 

「まさかコイツを本当に作り上げてしまうとはな………計画倒れになったと聞いていたが」

 

「あれは重戦車の重要性を理解していない軍の上層部の嫌がらせがあったのです。ですが島国である我々が求めていた戦車をコイツは表現しているのです」

 

 

シートが剥がさせると現れたのは、全長10メートル、幅4メートル、高さ3メートル、車体前部に2門の小型砲塔、その後ろの一段高くなっている車体中央部に聳え立つ短砲身の榴弾砲を持つ大型砲塔を備えたソレは、陸上戦艦とも言える程の巨大な超大型多砲塔戦車であった。

 

 

 

 

「これこそ我が陸軍における史上最大最強の超重戦車で、帝国の戦車開発の父とも言える皇帝陛下の名を冠した『ルークス』超重戦車です!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




原作で富嶽そっくりのグティマウンが作れるなら、5式中戦車やオイ車と類似した車両が登場しても可笑しくないと思いますね………

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